2015年の金市場の先行き
2015年は金の産出量は減少し、ドル高継続には疑問が残り、中国の金需要がより重要な年となることでしょう。
2013年は世界の株式市場の年となり、金・銀相場は下落しました。その後、2014年は米国と米国以外の国々は経済状況においては異なる道を辿ることとなりました。ここで、ブリオンボールトエィドリアン・アッシュが2014年を振り返り、2015年の金市場の先行きを解説しています。
全ての「米国市場関連」のものは、弊社の年間資産収益率表でも見れるように、今年上昇しました。
しかし、金はドル建てで健闘し、ユーロ建てとポンド建てでは上昇し、日本円建てとルーブル建てでは、大きく上げました。それに対し銀は、工業用メタルであることからも、原油や銅と同様に再び大きく下げることとなりました。
それでは、2015年の先行きはどのようなものなのでしょうか?
米国の金融政策が再び重要となるでしょう。しかし、アナリストが現在分析するほどではないはずです。
今年米国の量的緩和が終了することは、2013年の暴落した金相場に既に織り込み済みでした。2014年に述べたように、多くの経済上の良好なニュースもまた、特に株式市場などの他のアセットクラスの価格には織り込み済みでした。
2015年には、米国が金利を引き上げることを予想されています。しかし、連邦準備制度理事会は、金利引き上げは「忍耐強く」対応するとし、利上げのペースについては一気に金利を引き上げることはせず、経済情勢を見ながらより緩やかな取り組みとも言及しています。そのため、金利引き上げの遅れは、ドル建て金・銀相場にリバウンドを引き起こすかもしれません。
事実、私は量的緩和は終了したのではなく、中断しているだけだと思っています。
貴金属が底値をつけてきていることからも、金生産量は今年をピークとして減少することでしょう。費用削減が起こることで、新たなプロジェクトは延期、もしくは中止となることでしょう。そして、設備投資等の先行投資が減少することで、将来の金産出量は減少することとなるでしょう。これは、即座には影響は出ないかもしれませんが、産出費用を考慮した心理的な底値は、投機家筋にとっては1200ドルの水準となっています。
銀もまた産出量が2015年に減少することでしょう。それは、副産物として銀が産出される金属がコモディティ価格の下げで、設備投資等が減り、産出量が減少するためです。現在の価格は、アナリストが銀産出費用として計算してる水準を上回っています。しかし、今月の過去5年間の再低値のトロイオンスあたり14ドルは、ほぼ銀の産出費用であったのです。
需要について見てみると、世界のデフレ傾向は、金と銀の購入を妨げることでしょう。しかし、その富を守りたい貯蓄家は、もしデフレーションが、信用リスクや、銀行破綻のリスクを生み出すのであれば、金に魅力を感じることでしょう。
それに対し、銀は工業需要が減少するかもしれません。2014年の過去5年で最も高い水準となった金と銀のレシオは、「工業用需要」よりも「資産保全」のニーズが上回ったことを示しています。
最も重要な点は、私達は中国の庶民の膨大な金需要が、世界第2の経済を誇る中国経済の停滞に対し、どのように反応するかを予想できていないことです。そして、中国経済がハードランディングや信用バブルが崩壊した場合については、なおさらのことです。
しかし、2015年は、もしかしたらこの予想のつかない状況を実際に確認する年になるのかもしれません。