金需要の推移から見えること
初心者にも分りやすい金のブログとして、経済アナリスト、そして金市場の第一人者の豊島逸夫氏にも推薦されている「はじめての金読本」で、2011年第4四半期からの金需要の推移から見えてくるものを解説しています。
今年は年初から金価格の下落が続いています。FRBによる量的緩和ペース縮小によって、さらにもう一段の下げも予想されるところです。
背景については前回もお話した通り、リーマンショック以降の流れが逆転して、債権から株式へ、新興国から先進国へ、商品から株式へ、金からドルへ、と、欧米投資マネーが動いているからです。
それが金需要の動向にどう現れているのか、2011年Q4以降の推移を見てみましょう。
出典:
Thomson Reuters GFMS, World Gold Council
もっとも大きな変動を示しているのはパープルのラインで示した金ETFでしょう。なかでも目を引くのが2013年第2四半期で、価格急落時期とぴったりと重なります。
金ETFと対照的な動きを示しているのが、ジュエリーと地金・コインの2項目で、価格が下がるほどに需要が拡大しています。
欧米のファンドが売った金ETFの大型金塊がリファイナリーで小型金塊に鋳直されて、アジア、中東、欧州の個人へという構図です。
個人の金購入意欲は根強いものがありますから、欧米ファンドによる金ETFの売りが止まれば、(それがいつのことか明言は出来ませんが)需給はしっかり引き締まることが予想されます。
ここでふたつ補足しておきます。
ひとつはジュエリーの需要について、です。あまりよく知られていないことですが、アジア、中東において高品位ジュエリーは、資産と同様の位置づけにあるということです。ですからジュエリーの需要の半分くらいは、投資需要とみなして構わないと思っています。
もうひとつ、チャートからは分かりませんが、2006年以降、長く売り越しが続いていた日本のジュエリー需要・個人投資需要が、この第3四半期に、買い越しに転じています。あまり注目されていないようですが、潮の流れに変化の兆しが見え始めた印象です。
(参考)
本日はここまで。