金購入者が売却者を2対1の比率で上回る
しかし、金投資家インデックスは、4月に価格のボラティリティーが下げる中、金投資傾向が弱まったことを示しました。
ブリオンボールトがまとめる、欧米に居住する個人投資家の金投資への傾向を示す、最新金投資家インデックスによると、2ヶ月連続で金投資傾向が弱まったことが明らかとなりました。ここで、ブリオンボールトのリサーチ主任エイドリアン・アッシュが解説しています。
このインデックスは、3月の数値53.0から少ないながらも下げ、4月の数値は52.8となりました。これは、過去18ヶ月で最も低い水準となった1月の51.9に続く低いレベルです。
そして、4月の金価格のボラティリティーは、31年来の急落を見せる前月の2013年3月以来の低さとなっています。
金投資家インデックスは、ブリオンボールトのユーザーの金投資傾向を、月間の金保有高を増加させたユーザー数と減少させたユーザー数を全体のユーザー数に対する指数で表すものです。そのため、これは単なる投資家へのアンケートを基にしたものではなく、欧米で最大のオン・ライン金投資サービスを提供するブリオンボールトの保有する、実際に行われた投資データを基に算出されています。
ブリオンボールトのサービスは、現在52,000人を超えるユーザーによって利用されており、その保有する金の評価額は14億ドル(約1380億円)を超え、銀は2億7800万ドル(約280億円)を超えています。これは、世界の中央銀行の金準備高と比較しても多額のものです。ここでユーザーによって保有されている金は、ユーザーの選択で、ロンドン、ニューヨーク、チューリッヒ、トロント、シンガポールで貯蔵されています。
先のチャートは、金投資家インデックスが、過去3年間にどのような動きをしたかを示しています。この数値が50を超えた場合、その月間のネット購入者数がネット売却者数を上回ったことを示します。この数値は、2011年9月に71.7と最高値、2010年2月に48.8と最低値を記録しています。
2014年4月のブリオンボールトのデータにおいては、4月の月間金購入者は売却者を2対1の比率で上回っています。しかし、顧客が保有する金の総量(ディリーレポートで確認できるように)は、ほぼ変化なく、32.7トンと25キロの減少となりました。
そのため、2013年春からの傾向は続いていると言えるでしょう。それは、金融危機時に安全資産への逃避のために金へ投資をした大規模な投資家は、その保有高を減少させているものの、多くの投資家は、金地金を投資資産としてポートフォリオに加えているというものです。
新たな投資家と話す中で、彼らは金融危機を未だに忘れていないことが分かります。金は、引き続き過去10年間で最も収益率の良い投資資産であり、金価格のボラティリティーが低い現在、金保有量を増加させているのです。
日々のボラティリティーを測ったところ、先月は、金価格が31年来の急落を見せた前月の2013年3月以来の低水準でした。事実、それ以来、金価格は毎月トロイオンスあたり1200ドルと1400ドルの間で終えています。そして、その取引の多くは、1300ドルを境に50ドルほどの狭いレンジで行われています。
金を金融市場の保険の位置付けで見ると、一部の個人投資家は、経済全般が以前と比較し安定をしていることから、その保有高を減少させています。しかし、先月その倍の数の個人投資家は、少ない量でありながらも、着実に保有高を増加させることを選択したのでした。