金市場ニュース

金急落時の売却分が8%低い価格で買戻される

金投資家心理は、第1四半期に「強気」で終わったことが、ブリオンボールトがまとめる金投資家インデックスで明らかとなリました。

2013年春の急落時に売却された金投資家が保有する金地金は、今年3月末までに75%が、急落時より0.8%低い価格で買い戻されています。ここで、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュが、ブリオンボールトがまとめる金投資家インデックスの3月数値について解説しています。

ブリオンボールトのサービスを利用する個人投資家の傾向としては、重量において購入量が売却量を上回り、購入者数も売却者数を引き続き上回りました。そのため、金融システムの保険の位置付けである金投資へは、継続して「強気」であり、人々は昨年春の価格急落時以来、より低い価格で金を着実に購入していたのでした。

先の傾向は、ブリオンボールトがまとめる金投資家インデックスによって明らかとなったものです。このインデックスは、ブリオンボールトにおける、金保有量を増加させた顧客数と減少させた顧客数から算出され、3月数値は53.0となりました。

この数値が50であった場合は、その月のネット購入者数とネット売却者数が完璧に一致したことを意味します。この数値は、2月の53.5から多少下げたものの、第1四半期の最終月の3月は、前四半期最終月の12月の52.9とほぼ同水準となりました。

それでは、このインデックスが示すものは何なのでしょうか。

世界でも有数の金投資サービスを提供するブリオンボールトの顧客の大多数は、それぞれがその投資方法を決めて投資を行う個人投資家です。そして、顧客の90%の居住地は、西欧もしくは北米です。

これらの投資家は、グッド・デリバリー・バー(ロンドン金市場受渡適合品)の形態で、3月末に32.7トン(105万トロイオンス)の金地金を保有し、これは2月末から200キロ(6400トロイオンス)増加させています。

この評価額は、3月末のロンドンPM Fix価格のトロイオンスあたり1291.75ドルで算出すると、13億6000万ドル((約1406億円相当)であり、多くの中央銀行の金準備高を上回っています。これらの金地金は、ブリオンボールトからは独立した地金保管専門業者によって、ロンドン、ニューヨーク、チューリッヒ、トロント、シンガポールの中から顧客が選択した保管場所で貯蔵されています。

金投資家インデックスは、単なる投資家へのアンケートとは異なり、ブリオンボールトの顧客の実際の売買動向を元に、その月のネット購入者数とネット売却者数を算出し、全体の顧客数との割合を50を基準として表すものです。

この詳細については、ご希望であれば、ロンドン貴金属市場協会の定期刊行誌「Alchemist」の2013年5月号の金投資家インデックスの記事(英語)をご覧ください。

先のチャートは、2011年9月に71.7とピークを迎えたこの数値が、過去3年間にどのように変化したかを表すものです。ここでは、今年1月の過去18ヶ月で最低となった51.9という数値から、金投資家インデックスが3月に53.0へと上昇したものの、昨年12月の52.9とほぼ同水準となったことが見ることができます。

金投資家インデックスが53のレベルであった過去4回において、ブリオンボールトのユーザーは、重量においては、その月に購入量と売却量が同量であるか、売却量が購入量を上回っていました。

しかし、、3月は、2月同様に購入量が増加し、昨年の価格急落時に売却された1.1トンの75%の金地金がこれまでに再度購入・保管され、再購入分は急落時の価格から8%低い価格で買い戻されています。

平均金価格が1414.80ドルであった、2013年の価格急落時以来、ドル建て金価格は平均1297.87ドル(ロンドンPM Fix価格)となっています。しかし、2014年3月の平均金価格は、1336.08ドルと、昨年9月以来の高い水準となりました。

そのため、金価格が過去6ヶ月で最も高い水準でありながらも、金地金現物は、個人投資家にとっては、値頃感のあるものであったのです。

金投資の金融システムの保険の位置付けは継続しています。そして、どのような保険もそうであるように、保険に加入する最適な時期は、その保険が対象となる問題が起こる以前であるべきなのです。

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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