金価格ディリーレポート(2025年6月2日)米中緊張と地政学リスクが高まる中、ドルが下落して金価格は2%急騰
月曜日金価格は、トランプ政権の通商政策をめぐる緊張が急速に悪化し、米中、そして欧州とロシアの地政学における新たな軍事的緊張が高まる中、米ドルが今春の3年ぶりの安値に向けて沈む中、月曜日に2.0%を超えて急騰しました。
5月に年初来初めての月間の下げで、0.7%の下落を記録した金地金価格は、ロンドン時間月曜日の昼過ぎまでに、トロイオンスあたり3360ドルを記録していました。これは、6週間前に記録した最高値となります。
この間米国ドルは本日、世界の主要通貨に対する貿易加重指数であるドルインデックスで、6週間ぶりの安値をつけ、2022年4月(ロシアがウクライナに侵攻した直後)以来の安値を記録していました。
「ごまかす理由はない。中国の脅威は本物だ。中国の脅威は現実であり、それは差し迫っている可能性がある」と、ピート・ヘグセス米国防長官は土曜日のスピーチで述べ、シンガポールで開催されたシャングリラ対話サミットで、北京が台湾を武力で併合しようとしていることについて警告していました。
中国外務省のスポークスマンは、「ヘグセス氏は、この地域の国々が平和と発展を求める声を意図的に無視し、代わりに冷戦時代のようなブロック対立を喧伝した」と述べていました。
一方、トランプ大統領は米国への鉄鋼とアルミニウムの輸入関税を水曜から50%に倍増させ、中国や欧州連合(EU)を含む貿易相手国からの「対抗措置」について触れていました。
「米ドルの強さは、法の支配、中央銀行の独立性、予測可能な政策など、その制度的完全性から来るところもある」と、アメリカのマーケットメイキング会社シタデル・セキュリティーズの金利トレーディング・グローバル・ヘッド、マイケル・デ・パス氏は述べ、「ここ3ヶ月は、それが疑問視されている。」と続けていました。
カナダの証券会社TD証券のシニア・コモディティ・ストラテジスト、ダニエル・ガリ氏もまた「金の上昇は、米ドルがその価値貯蔵機能を一部失ったことに関連している。」と述べていました。
しかし、月曜日にドルが下落した一方で、ユーロと英国ポンドで値付けされた金も急上昇し、それぞれトロイオンスあたり2930ユーロと2474ポンドを超える1週間ぶりの高値水準へと1.1%上昇していました。
英国のキアー・スターマーオ首相は、「我々は戦闘態勢に移行している」と述べ、オランダで開催される今月の北大西洋条約機構(NATO)軍事同盟サミットを前に、世界第6位の経済大国であるロシアに対する「ロシアの攻撃性の高まり」を警告していました。
ロシアは週末、ウクライナによる大規模なドローン攻撃で打撃を受け、4つの飛行場に駐留していた戦略爆撃機70億ドル相当が破壊されていました。
ロシアとウクライナの当局者は本日、トルコのイスタンブールで会談し、2022年以来2度目となる直接和平交渉を継続する予定でした。
中国本土の金融市場は端午の節句のため休場していましたが、他のアジア株は急落し、香港のハンセン指数は0.7%安で引ける前に2.7%も下落し、日本の日経平均は1.3%下落していました。
欧州株も下落し、ユーロストックス600種株価指数は0.3%下落していました。米国株式先物は、先月NY市場が月間で2023年後半以来の大幅上昇となった後に下落に転じていました。
欧米の国債価格も下落し、政府および多くの金融・商業機関の借り入れコストの基準金利である米国債10年物利回りは、金曜の2週間ぶりの低水準である年率4.36%から3ベーシスポイント上昇していました。
主に工業用金属である銀の価格は、トロイオンスあたり33.28ドルまで上昇し、先週末の水準よりも0.9%だけ対ドルで上昇しました。この相対的な弱さにより、金銀比価は3営業日ぶりに100を超える水準へ上昇(銀が割安)していました。
自動車触媒を中心とする工業用途が需要の3分の2を占めるプラチナは、1.1%下落してトロイオンスあたり1046ドルとなり、前週月曜日にプラチナ価格が2年ぶりの高値を付けた後に、金とのディスカウントを1ヵ月ぶりの高値の2300ドルへと引き上げていました。
ロシアが第1位の採掘量を誇るパラジウム価格はこの間0.4%上昇し、トロイオンスあたり978ドルとなっていました。