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金価格ディリーレポート(2025年4月7日)トランプの関税「薬」が株価を押し下げる中、 金3000ドル、銀30ドルを取り戻す

ドナルド・トランプ米大統領とその経済チームが、先週発表した大規模な貿易関税の再考を拒否したことが伝えられる中、世界の株式市場が暴落を続け、金は月曜日早朝の2.0%の急落で、3週間前につけたトロイオンスあたり3000ドルを始めて割ったものの、ロンドン昼過ぎに取り戻していました。
 
日本の日経平均株価は7.8%下落し、18ヶ月ぶりの安値となり、香港のハンセン指数は13.2%急落、中国本土のCSI300は7.1%急落し、昨年10月以来の1日の下げ幅となっていました。
 
また、欧州株式市場もまた急落し、Stoxx欧州600種指数は5%以上下げて17か月ぶりの低値をつけ、米国の株価指数先物は、 トランプ大統領の「解放の日」の貿易関税からも、株式市場から資金が引き出され、取引開始早々に急落していました。
 
S&P 500種とドル建て金価格チャート 出典元 ブリオンボールト
 
「いつか人々は、アメリカ合衆国にとって関税はとても美しいものだと気づくだろう!」 トランプ氏は日曜日に述べ、安価な輸入品を減らし、国内の製造業の雇用を促進することを目的としたこの政策を、アメリカ経済にとっての「薬」と呼んていました。
 
「不況に値しなければならない理由はない」と、トランプ大統領のスコット・ベッセント財務長官は別に述べた。
 
しかし、金利先物取引によれば、連邦準備制度理事会(FRB)が5月に利下げを実施する確率は、先週水曜日のトランプ大統領の「解放の日」以前には14%と見られていたが、現在では50%を超えて上昇していました。
 
ニューヨークのS&P500株価指数は、先週すでに9.1%下落した後、本日取引開始時にその席物は4.4%も下落していました。このような下落は、2020年のコロナ危機の発生時以来最悪で、木曜日と金曜日だけで5兆ドル以上の時価総額が消えていました。
 
これとは対照的に、金現物価格は、月曜日早朝の2.0%の下げで3000ドルを割って2973ドルと3週間ぶりの安値を付けた後に、ロンドン時間昼過ぎにトロイオンスあたり3040ドルへと戻していました。これは、先週火曜日のロンドン市場の史上最高値3167ドルを100ドル強下回る水準となります。
 
日本貴金属マーケット協会(JBMA)の池水雄一代表理事は、「株価の急落は、先週のヘッジファンドのマージンコールを引き起こし、彼らが金を売って現金を調達することを促した。」と最新のレポートで述べていました。
 
オーストラリア系銀行ANZのシニア・コモディティ・ストラテジスト、ダニエル・ハインズ氏は、「金の売りが長引くとは考えていません。」と述べていました。
 
年間需要の60%近くが工業用である銀の価格は、ロンドン時間早朝に4.3%下げて7ヶ月ぶりの安値を一時つけた後に、ロンドン時間昼過ぎには30ドルを取り戻していました。
 
しかし、銀価格は、金と比較した場合、大恐慌時代以来の最低水準となっていました。
 
産業上重要な銅は先週14.2%急落した後、本日さらに1.1%下落し、原油は前の5営業日で8.9%下落した後、本日さらに3.0%下落していました。
 
JBMAの池水氏は、「3000ドル以下では、中央銀行の買いが金のサポートになると思う。それは、先週の木曜日の低値で起きたように。」と述べていました。
 
中国国家外為管理局が発表したデータによると、中国人民銀行は3月にも金準備を3トン増やし、2292トンとなり、5ヶ月連続で購入が行われていたことが、本日報告されていました。   
 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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