金市場ニュース

金価格ディリーレポート(2025年3月17日)金地金が再び3000ドルを試す中、コメックスの金投機筋は「動きに乗り遅れる」

月曜日金価格は3000ドルを一時つけ、ニューヨーク金先物相場は、金曜の高値3015ドルを7ドル下回っていました。そのような中、最新のデータによると投機筋はコメックスでの強気ポジションを36週間ぶりの低水準まで減らし、縦玉もまた過去の高値時よりも抑えていたことが明らかとなっていました。
 
ロンドンの金スポット価格は、今朝トロイオンスあたり3000ドルを試した後、10ドル値下がりし、前週金曜日に3004ドルと史上最高値を更新した後、20ドル値下がりしたパターンを繰り返していました。
 
「機関投資家やレバレッジ口座は、2500ドルから3000ドルの動きをに乗り遅れている。」とスイスの精錬・金融グループMKSパンプの貴金属戦略責任者であるニッキー・シールズ氏は、CMEデリバティブ取引所のニューヨーク市場のコメックス金先物の建玉が、1月中旬のピークを10万枚下回っていると指摘ていました。
 
先週の 金3000ドル超の新記録を前に、コメックス金先物・オプションの総建玉数は、10年来の平均を3.9%上回ったに過ぎず、規制当局である商品先物取引委員会(CFTC)がまとめた最新の週間データによると、3火曜日連続で80万枚を下回っていました。
 
金が最後に 「心理的な」4桁の水準であるトロイオンスあたり2000ドルを突破したのは、コロナ危機の最中であった2020年8月に遡り、米国の金デリバティブの建玉総額は12週連続で100万枚を超えていました。
 
また、先週火曜日までの1週間で、ヘッジファンドやその他のレバレッジを効かせた投機筋は、強気ポジションを減らし、弱気ポジションを差し引いたネットロングポジションは、7週連続で減少させ、2024年7月初旬以来の低い水準まで下げていました。
 
コメックスの金先物・オプションの資金運用業者の縦玉とドル建て金価格のチャート 出典元 ブリオンボールト
「私たちは、今年の金の予想高値をトロイオンスあたり3200ドルとしています。」とシールズ氏は述べ、2025年に金の上限が来るという予測を繰り返し、さらに200ドルの上昇について、トランプ大統領の貿易戦争、経済と地政学的な不確実性、株式市場のボラティリティとドル安を挙げています。
 
「地政学的な不確実性と継続的な関税の変更を背景に、金への意欲は依然として強い」と、世界的な銀行であり、ロンドンの地金市場メーカーであるスタンダード・チャータードの貴金属アナリスト、スキ・クーパー氏も述べていました。
 
世界的な金融フォーラムであり、シンクタンクでもあるOECDが発表した最新の中間経済見通しによれば、世界経済は、2025年の 「底堅さ 」の後、弱さの兆しを見せており、 成長率の鈍化、インフレの長期化、貿易摩擦に先導された不透明な政策環境を指摘しています。
 
「私は35年間投資ビジネスに携わってきたが、(株式市場の)調整は健全なものだと言える。」と元ヘッジファンド・マネージャーであるスコット・ベッセント米財務長官は日曜日のインタビューで、トランプ大統領が大統領執務室に再就任してからの米国株の急落について質問され、「正常なことだ」と答えていました。
 
中国の国営通信社である新華社によると、中国共産党政府が世界第2位の経済大国である中国の 消費を復活させると宣言し、「消費を強力に後押し」し、「内需を全面的に刺激」する動きを見せたことから、アジア株式市場は月曜日に0.7%弱上昇していました。
 
上海金取引所の金価格は、本日グラムあたり695円と再び最高値を更新しましたが、ロンドンとのプレミアムはわずか3ドルであり、貴金属の第一の消費国である中国への新規金地金輸入の一般的なインセンティブの半分以下となっていました。
 
ユーロ建てと英国ポンド建てのロンドン金は、2744ユーロと2309ポンドと、月曜日ロンドン昼過ぎに金曜日の終値とほぼ変わらずに推移していました。
 
米国金ETF信託ファンドは先週拡大し、SPDRゴールドトラスト(NYSEArca: GLD)は先月末以来、iシェアーズ金ETF(NYSEArca: IAU)は2023年9月以来の規模に拡大していました。
 
また、銀価格は10月末以来の高値となった金曜終値から0.7%下落し、トロイオンスあたり33.62ドルとなっていました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

注意事項: ここで発信される全ての記事は、読者の投資判断に役立てるための情報です。しかし、実際の投資にあたっては、読者自身にてリスクを判断ください。ここで取り扱われる情報及びデータは、すでに他の諸事情により、過去のものとなっている場合があり、この情報を利用する際には、必ず他でも確証する必要があることを理解ください。Gold Newsの利用については、利用規約をご覧ください。

SNSで最新情報を入手

Facebook   TwitterYoutube

 

貴金属市場のファンダメンタルズ