金価格ディリーレポート（2025年1月13日）ドルとともに長期金利が上昇し、金価格は、人民元、ユーロ、英国ポンド建て新高値から下げる

米ドルが26ヶ月ぶりの高値に上昇し、 米国債利回りが10年物国債で2023年後半以来の高水準に上昇 したため、金はユーロと英国ポンドで過去最高値を更新した後、 月曜日に下落しました。
 
MSCI主要国株価指数は、9月以来の低水準まで下落し、先週 金曜の米国ハイテク企業株価の下げ幅は拡大ししていました。
 
一方、金消費国第一位の中国の金地金は、中国政府の30年物借入コストが債券市場で新年の記録的な低水準であ る年率1.80%に近い水準で維持されたことから、 上海黄金交易所のベンチマークオークションでgあたり637円をつけ、中国元で過去最高値を更新しました。
 
ユーロ圏の投資家向けの金相場は、 トロイオンスあたり2637ユーロと史上最高値を更新し、英国ポンド建ての金相場は、0.7% 下落し2200ポンドを割り込む前に、トロイ オンスあたり2218ポンドと過去最高値を記録していました。
 
この背景は、為替市場でユーロとポンドが米ドルに対して、 それぞれ2022年10月と2023年2月以来の低水準まで下落したことからでした。
 
ドル建て金価格は、先週1.5%上昇し、2024年末から3.0%近く上昇した後、 ロンドンの昼過ぎには、金は金曜の終値から0. 6%下落し、トロイオンスあたり2671ドルへと下げていました。
 
10月末のドル建て金価格の最高値からまだ4.2%を下回っているものの、この金地金の上昇は、ドルインデックス（ 他の欧米通貨に対する価値を示す指標）が再び上昇し、 月曜日には0.4% 上昇して2022年10月以来初めて110を突破する中でのことでした。
 
「債券市場が暴落しているにもかかわらず、 金は上昇を続けている。」とコロラド州デンバーにある2億5000万ドルのヘッジファンド、 クレスキャットのストラテジスト、オタビア・コスタは述べていました。

 

 
債券価格が下落すると債券利回りは上昇し、 12月の米雇用統計が予想を上回ったことを受けて、 米国債価格は金曜日に急落していました。
 
米国債10年物利回りは、 政府および民間からの借入れの基準金利であり、 月曜日に4ベーシスポイント上昇し4.80%と上昇し、今年に入って22ベーシスポイント上昇し、15か月ぶりの高さとなっていました。
 
前回、ベンチマーク利回りがこの水準に達した2023年10月、 金地金はトロイオンスあたり1996ドルで取引されており、 月曜日の価格を34.5%下回っていました。
 
「債券利回りと金の間の歴史的な関係は、 依然として異常な状況です。」とドイツの精錬会社のHeraeusは週刊のレポートで述べていました。
 
歴史的には、金価格は債券利回りと負の相関関係を示し、 金利が低下すると上昇した。しかし、ドナルド・ トランプ次期大統領が就任し、 経済政策を実施することを市場が準備しているため、 この関係は弱まっています。
 
オーストラリア系銀行ANZのシニア・コモディティ・ ストラテジスト、ダニエル・ハイネス氏は「投資家はトランプ氏が大統領に就任し、新たな経済政策を施行することによる先行き不透明感に準備をしているようです。」と述べていました。
 
「金は究極のディフェンシブ資産であり、 インフレヘッジであることが際立つ新しい時代に入ったのです」 とクレスキャットのコスタ氏は続けていました。
 
最新の米卸売物価指数のインフレ率は明日発表され、 次いで水曜日に消費者物価指数が発表される。 アナリストはそれぞれ年率3.4％、2.8％ の上昇を予想しています。
 
月曜の銀相場は、金の下げに追随して下げ幅を拡大し、米ドル建てでで2. 2％下落のトロイオオンスあたり29.72ドルと、 先週の上げ幅の5分の4を失い、1カ月ぶりの低値へと下げていました。
 
しかし原油価格は、 米国の新たな対ロシア制裁によって供給懸念が高まり、 インフレに対する新たな脅威となる中で、月曜日に5ヵ月ぶりの高値まで上昇していました。
 
CMEグループのFedWatchツールによると、 米連邦準備制度理事会（FRB） が2025年に制作金利のフェデラルファンドレートの引き下げを見送るとの市場予 想は、わずか1カ月前の8％から、33％へと上昇していました。