金価格ディリーレポート(2024年9月16日)FRBの利下げ幅予想が0.5%となる中で金価格が史上最高値の2600ドルへと向かう 2024年9月16日 月曜日 16:38 投機筋が、連邦準備制度理事会(FRB)が今週水曜日の金融政策決定会合で、現在の20年来の高水準から0.5%の引き下げという劇的なドル金利引き下げを開始することへの賭けを急激に高めたため、金価格は月曜日に過去最高値を再び更新し、2600ドルまでトロイオンスあたり11ドル以内に上昇していました。 スポット金価格は、金曜日の新記録から更にトロイオンスあたり3.60ドル上昇し、月曜日の朝には2589.66ドルとなり、他の主要通貨においても史上最高値を更新していましました。 今日の金価格の新記録は、CMEデリバティブ取引所の FedWatchツールによると、米国の中央銀行が9月の会合で 25ベーシスポイントではなく、50ベーシスポイントの利下げを実施するとの予想が、金曜日の5割の水準からほぼ6割の水準へと上昇したことが背景となっていました。 欧州中央銀行とイングランド銀行がこの夏に利下げサイクルを開始し、それぞれ25ベーシスポイントの小幅な引き下げをした後、「フェデラル・ファンド・レートが50ベーシスポイント引き下げられれば、金はより大きな後押しを受けるだろう」と、ドイツの精錬グループ、ヘレウスの最新ノートは述べていた。 「しかし、いずれにせよ、金利低下環境は、ドル安が予想され、利回りを生まない資産である金を保有する機会費用が減少するため、金にとってプラスになる傾向がある。」と続けていました。 金価格が上昇する中、ドルインデックス(主要通貨に対する米国通貨の価値を示す指標)は8ヶ月ぶりの低水準まで下落し、政府機関や多くの金融機関、商業機関の借入金利の基準金利である10年物米国債利回りは14ヶ月ぶりの低水準まで低下していました。 米国FRBによる過去7回の利下げサイクルにおいて、金価格はその後の6ヶ月間で1回を除いて全て上昇し、平均7.9%の上昇を記録しています。 「10日間ほどの金の価格固めは、先週の水曜日から始まる強気相場への土台を作った。」と証券会社のStone Xグループのローナ・オコネルしは述べ、「2600ドルは目前だ。」と続けていました。 米金融大手シティグループの調査部門でコモディティ部門を率いるアーカーシュ・ドーシ氏は、「金は2025年半ばまでにトロイオンスあたり 3000ドルに達する可能性がある」と述べ、米国の利下げ、上場投資信託の旺盛な需要、安全な保管場所に貯蔵される大型の金地金の需要によって牽引されると説明していました。 金を裏付けとするETF投信では、この最大銘柄のSPDRゴールドシェア(GLD)が先週0.9%増加し、1月上旬以来の最大の規模を記録し、この銘柄第2位の金ETFのiShareゴールド( IAU)も4週連続の増加となり、8月中旬以来の最大の規模となっていました。 また、銀のETFの最大銘柄のiShareシルバー(SLV)も4週連続の資金流入を記録し、6月末以来の大きさとなっていました。 工業用途が6割である 銀の価格は、先週10%急騰した後、ロンドンの昼過ぎまでに0.6%上昇し、トロイオンスあたり30.91ドルをつけていました。 この銀の強さは、金と銀の相対的な価格を示す 金銀比価をさらに押し下げ、約2ヶ月ぶりの低値となる83をわずかに上回っていました。 水曜日に終了するFOMCでは、この米連邦公開市場委員会のメンバーが数年後の政策金利とインフレ率を予想する、新たな四半期ごとの「ドット・プロット」予想も発表される。 前回6月の予想では、2024年末の平均予想が5.1%と上方修正されていました。しかし、本日市場のコンセンサスは12月末に4.18%と、7ヶ月以上ぶりの低水準となっていました。 金利政策実施の中心的役割を持つニューヨーク連銀のウィリアム・ダドリー前総裁は、 インフレの脅威よりも米国の雇用に対するリスクの方が今は大きいと金曜日に述べていました。 水曜日の利下げ幅は「50ベーシス・ポイントが有力だ」とコメントしていました。 世界の株式市場はまちまちで、ユーロストックス600は0.1%の上昇にとどまっていました。 そして、日本と中国の株式市場が祝日のため休場となった月曜日に、金曜日に日本銀行の金融政策決定会合を控えて、日米金利格差が狭まる観測からも、日本円は米ドルに対して2023年7月以来の高値まで上昇していました。 イングランド銀行は、米FRBの政策金利とドットプロット予測の発表の翌朝、木曜日に英ポンドの政策金利を決定します。