金市場ニュース

金価格ディリーレポート(2024年4月8日)コメックスでネットロングが増加する中、金が史上最高値を更新し、銀はほぼ3年ぶりの高値へ

投機筋がコメックスの先物・オプションでネットロングポジションを増加させる中で、金相場は月曜日に全ての主要通貨で史上最高値を更新し、銀相場は米ドル建てで3年ぶりの高値へと急騰していました。
 
金価格は4月の第一週に3.8%上昇し、3月の第一週以来最も速い金価格の上昇となった後、月曜日にドル建ての金現物価格は、中国のトレーダーが清明節の休暇後に市場に戻り、トロイオンスあたり2351ドルと再び過去最高値を記録し、その後ロンドン昼過ぎに25ドル下げてほぼ前週終値の水準で推移していました。
 
デリバティブプラットフォームのSaxo Bankのストラテジーチームは、金価格の上昇に伴い、先物、オプション、CFD、その他のレバレッジ契約において、投機家の間で「逃すことへの恐れ(Fea of missing outL FOMO)」が生じていることを指摘し、「金価格がモメンタムとFOMOに継続して目を向けている」と述べていました。
 
銀価格も早朝の取引時間に上昇し、2021年6月以来の高値となるトロイオンスあたり28.08ドルをつけた後、65セント安となり、週末の水準まで値を戻していました。
 
先週、銀はドル建てで9.1%上昇し、2020年8月のコロナ危機の一波以来最も速いペースの上昇を、ロンドンの正午につけられるのベンチマーク・オークション価格ベースで記録していました。
 
また、コメックスにおける銀先物・オプション市場では、ヘッジファンドなどのレバレッジを効かせた投機筋が、先週末の火曜日までの1週間で、13%強気ポジションを増やし、3月中旬に付けた2022年4月以来の高水準まで回復しています。
 
コメックス銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションと銀価格チャート 出典元 ブリオンボールト
 
この資金運用業者の銀のネットロングの水準は、過去1年平均の約3倍、また5年平均の約2倍となっていました。
 
しかし、この強気ポジションから弱気ポジションを差し引いたネットロングポジションは、直近の最高値の2022年3月初旬の1/3以下の水準にとどまっていました。これは、プーチンのウクライナ侵攻を受けて、西側諸国がロシアの輸出禁止に動く中、金価格が当時の史上最高値を更新し、銀価格がトロイオンスあたり26ドルまで急騰した時でした。
 
「銀は上昇に関して遅れをとっていた。そこで先週のテクニカルブレイクアウトは、長い強気相場の始まりかもしれない。」とアナリストのコメントが MarketWatchの記事で引用されていました。
 
銀と同様に、投機筋はコメックス金取引に対するネットの強気ポジションを12.9%引き上げ、米国の規制機関である商品先物取引委員会(CFTC)が発表した最新の週次データでは、2020年7月以来の高水準となっていました。
 
しかし、銀を裏付けとする銀ETFの最大銘柄であるiShareシルバーのSLVは先週も増加し、2023年初頭以来最大の増加量となり、2ヶ月を超える期間で最大の保有量に達した一方で、金を裏付けとする金ETFの最大銘柄は残高を減少させていました。
 
「銀は金よりもベータ(ボラティリティ)の高い商品です。そこで、個人投資家がETFの保有量を増やして関心を示せば、銀は金を上回る可能性があります。」とドイツの精錬会社のHeraeusは最新の週刊レポートで述べていました。
 
SPDRゴールドシェア(NYSEArca:GLD)とiShareゴールド(NYSEArca:IAU)は共に、先週それぞれ0.5%と1.3%の投資家の資金の流出を記録し、その残高はおよそ1ヶ月と4年間を超える期間で最小の規模へと減少させていました。
 
このような金ETFの清算が続いているにもかかわらず、英国ポンドとユーロ建て金地金は本日、トロイオンスあたり1861ポンドと2169ユーロと史上最高値を更新し、その後上げ幅を縮小していました。
 
また、日本円、カナダドル、オーストリアドル、スイスフラン建ての金価格は、月曜日の早朝に史上最高値を記録し、貴金属の採掘、輸入、消費国としても世界最大の中国の国内金価格は、上海黄金交易所(SGE)が清明節の連休から再開して、グラムあたり553円の指標価格をつけて、上海黄金交易所における基準値において7営業日連続の史上最高値を記録していました。
 
鉱山業界の ワールド・ゴールド・カウンシルによると、昨年から世界最大の金購入を進めている中国の中央銀行は、3月に金準備高を5トン増やし2262トンとし、17ヶ月連続で増加していました。
 
また、中国の銀価格はgあたり7110円とSGE基準価格を更新し、新規輸入のインセンティブでもあるロンドン価格に対するプレミアが上昇し、歴史的にも強いインセンティブを与えていました。
 
Heraeusは、「中国やその他の市場における太陽光発電設備の設置ペースが維持されると予想されるため、銀の工業用需要は今年伸びると予想される。」と述べていました。
 
銀の工業生産量は、2024年には 4%増加し、過去最高を記録すると、ワシントンを拠点とする鉱山、精錬所等の銀業界団体であるSilver Instituteによって予想されています。
 
 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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