金価格ディリーレポート（2024年2月26日）ETFからの資金流出が続く中、「安全資産」需要の底値のサポートが崩れ、金価格は2週間ぶりの高値から下落
Monday, 2/26/2024 17:22
2024年の大統領選挙の共和党候補にドナルド・トランプ氏が指名される可能性が高いことから、米国国内と地政学的な懸念が高まる中、金ETFファンドからの新たな資金流出が、「安全資産」としての需要というアナリストの主張を覆し、金価格は月曜日にロンドン昼過ぎに2週間ぶりの高値から下落していました。
金相場は、金曜の午後3時に行われた世界地金市場の中心のロンドンでの金地金の値決め価格から、トロイオンスあたり15ドル近く上昇し、ドル建てでは2月7日以来の高値まで上昇していました。この水準は世界の金の最大消費国である中国が春節の一週間の休暇に入る前の高さとなります。
銀の価格は、工業用需要が年間需要の60%近くを占めますが、月曜日には金よりも激しく下落し、トロイオンスあたり22.51ドルと2週間ぶりの安値へと1.9%下落し、中国の春節の休暇前の低い水準となっていました。
「ウクライナと中東の地政学的リスクから、安全資産買いが金相場を下支えしている」と、オーストラリア系銀行ANZのシニア商品ストラテジスト、ダニエル・ハイネス氏は見ています。
土曜日は、ウラジーミル・プーチンがロシア軍にウクライナ侵攻を命じてから2周年を迎え、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、3月10日から始まるイスラム教のラマダン（断食月）期間前に、ガザ最南端の都市ラファでの作戦計画を承認するため、今週初めに内閣を召集すると発表していました。
また、米国と英国はイランに支援された民兵組織による紅海とアデン湾の船舶への攻撃が最近急増していることを受け、イエメンの18のこの民兵組織のフーシ派の標的を攻撃していました。
しかし、世界最大の
金のETFの銘柄のSPDRゴールド・トラスト（NYSrca: GLD）は先週、約2ヶ月で最大の週間流出量を記録し、発行済み株式の裏付けに必要な金の量を10トン減らし、2019年7月末以来最小としていました。
そして第2位の金ETFであるiShareゴールド（NYSEArca: IAU）も先週縮小し、ネットの売却となり、約1トンの残高を清算し、2020年3月末以来の最小規模に達していました。
GLDとIAUの金ETF残高を合わせると、4年前にコロナ危機が始まって以来、2022年に始まったロシアのウクライナ戦争への全面侵攻、2023年春の米国地方銀行危機、そして10月7日のハマスのイスラエル攻撃に続くイスラエルのガザ侵攻を含む、この期間の残高増加分を全て失ったことになります。
日本の総合商社の三菱商事の事業開発部長であるジョハサン・バトラー氏は、2024年の金価格の見通しにおいて、「地政学的緊張と米国の選挙結果をめぐる憶測は、リスクヘッジとして
金を十分にサポートするはずだ」と述べていました。
しかし、2024年の平均金価格を1975ドルと予想し、これは昨年の過去最高値を35ドルほど上回るものであるものの、バトラー氏の予想は、貴金属取引団体であるロンドン貴金属市場協会が開催した最新の価格予想コンペティションに参加した25人のアナリストの中で、3番目に弱気なものとなっていました。
「ドナルド・トランプの2期目は、劇的に包括的で、より攻撃的で、
体制を大きく変える決意を固めたものになるだろう」と、元大統領が土曜日にニッキー・ヘイリー氏が知事を2期務めた地元であるサウスカロライナでの予備選挙で破り、アイオワ、ニューハンプシャー、ネバダで勝利を収めた後、共和党の2024年大統領候補指名を名実ともに獲得したことを受けて、元共和党下院議長のニュート・ギングリッチは述べていました。
「トランプ大統領の任期は、必然的に、そして
何度も一線を越えて対立を引き起こし、しばしば憲法上の対立を引き起こすだろう」と語るのは、前大統領の1期目に国家安全保障顧問を務めたジョン・ボルトン氏でした。
トランプ大統領は今月初め、ロシアに対し、GDPの少なくとも2％を国防費に充てる義務を果たさない北大西洋条約機構（NATO）の同盟国を攻撃することを「
奨励する」と述べていました。
31の加盟国中13か国は2024年にこの義務を果たすことができないと考えられている。
トランプ前大統領は、1期目に中国に対して3,000億ドル相当の貿易関税を課し、バイデン政権はその関税をほぼそのままにしていますが、2期目には中国に対して
60％の貿易関税を課し、「最も優遇されている国」のスティタスを取り除くことを検討していると述べています。
月曜日には、銀価格が金よりも激しく下落したため、2つのかつて貨幣として使われてた貴金属の相対価格を追跡する金銀比価は90を上回り、「安全資産」である金をより「工業的」な銀で割った指標が、2週間以上ぶりの高値と、銀の割安が進んでいました。
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