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金価格ディリーレポート(2024年11月4日)コメックスの金の先物・オプションの強気ポジションは、米選挙とFRBの政策金利発表を控えて縮小する中、金価格は堅固に推移

金相場は月曜日、今週の米大統領選と米連邦準備制度理事会の政策金利を前に、コメックスの金先物・オプションの資金運用業者の強気ポジションが減少していたにもかかわらず、先週木曜日の過去最高値を1.7%下回る1週間ぶりの安値圏で安定して推移していました。
 
スポット金価格は月曜日ロンドン昼過ぎまでに、金曜日の終値から0.3%上昇し、トロイオンスあたり2745ドルと、前週の史上最高値を45ドル下回っていました。
 
米ドルと米国債利回りは共に低下し、原油は急騰し、世界の株式市場は1ヶ月ぶりの安値から上昇していました。
 
米国の規制当局であるCFTCのデータによると、先週火曜日 金地金が史上最高値を翌日まで更新し続けていた際に、ヘッジファンドやその他のレバレッジを効かせた投機筋は、コメックスの金先物・オプションにおいて、強気のポジションを2週ぶりに減らし、弱気ポジションを4週ぶりに増やしていました。
 
その結果、マネージド・マネー・トレーダーのネット・ロング・ポジションは、2.0%減少していましたが、その規模は9月以来4年ぶりの高水準を維持し、1年平均を40%以上上回り、5年平均の2倍近くに達していました。
 
コメックスの金先物・オプションのネットロングポジション 出典元 ブリオンボールト
 
 
デリバティブのプラットフォームであるサクソバンクの商品ストラテジスト、オーレ・ハンセン氏は、堅調な米経済データと債券利回りの上昇という逆風に直面しながらも、先週の史上最高記録の更新の原因として、今週水曜日の大統領選の結果という「大きなリスクイベント」を挙げていました。
 
月曜日に債券価格が上昇し、その利回りは10月の48bpと月間では4月以来の大幅な上昇から若干下げていました。
 
一方、金価格はドル建てで先月4.0%上昇したが、米国通貨は貿易加重指数で対主要通貨で3.2%上昇し、2022年4月以来の急騰となっていました。
 
米投資銀行のゴールドマン・サックスは、「欧米の投資家は金市場に回帰している」とし、潜在的な地政学的ショック、貿易摩擦、連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ、債務懸念に対するヘッジとして金を推奨していると述べていました。
 
鉱山業界のワールド・ゴールド・カウンシルのマーケット・ストラテジストであるジョン・リード氏は、「金需要には何らかの 変更が必要です」と述べ、ここ数年は、中央銀行、宝飾品、金地金、コイン投資など、新興国の金購入が中心であったが、これらのカテゴリーは少し減速し始めていると説明していました。
 
「欧米の投資家は、第3四半期に金を裏付けとする上場投資信託の残高を増やしており、これはポジティブなスタートである。しかし、 欧米の現物コインと小型の金地金市場はまだ静かなままです。金が持続的に高値で取引されるためには、この市場が改善される必要があると思います。」と続けていました。
 
金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェア(GLD)は、金曜日に保有残高を0.4%減らしたものの、10月には2.3%増加し、4ヶ月連続の資金流入を記録していました。
 
一方、第2規模のiShareゴールド(IAU)は、10月に2.7%増加した後、先週金曜日に0.2%増加し、2ヶ月連続で資金流入を記録していました。
 
月曜日の為替市場でドルが後退する中、ユーロ建て金価格は0.6%下落しトロイオンスあたり2512ユーロとなり、ポンド建て英国金価格は0.2%下落し2112ポンドとなっていました。英国ポンド建て価格の下げが抑えられたのは、今週木曜日のイングランド銀行の政策金利発表で、利下げが行われるものの、英新政権の予算案がインフレを引き起こす懸念からも、今後の利下げペースは遅れる観測が背景となっていました。
 
CMEデリバティブ取引所のFEDWatchツールは、市場は木曜日に米連邦準備制度理事会(FRB)が0.25%の利下げを行い、9月に0.5%の利下げで始めた利下げのサイクルを若干小さな規模で継続する観測を示していました。
 
スイスの銀行であり、ロンドンの地金市場メーカーであるUBSのアナリストは、「FRBは、市場の予想に沿ってさらなる利下げを示唆する可能性が高いため、今回の利下げが大きな動きを引き起こす可能性は低い。」と述べていました。
 
「今週、金を動かすのは米国の選挙だろう。」と続けています。
 
一方、主に工業用金属である銀価格は、2週間ぶりの安値まで下落したが、その後トロイオンスあたり50セント以上上昇し、32.81ドルをつけていました。
 
 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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