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金価格ディリーレポート(2024年11月11日)大統領と議会を共和党が抑える「赤い波」の可能性で株とビットコインが急伸する中金価格は4週ぶりの低さへ

ドナルド・トランプ氏が大統領に選出され、米ドルが4ヶ月ぶりの高値に急騰する中、金価格は月曜日に4週間ぶりの安値に下落し、過去5ヶ月で最悪のパフォーマンスを記録した前週の下げ幅をさらに拡大していました。
 
一方、投資家が共和党が上院に続き下院も抑える「赤い波」の可能性に準備を進める中で、暗号資産と呼ばれるビットコインは史上最高値を更新し、米国株は前週の史上最高値を更新していました。
 
スポット金価格は、先週1.9%下落して5月初旬以来の最も大きな下げ幅を記録した後、本日ロンドン時間昼過ぎにトロイオンスあたり1.8%下落の2636ドルと、10月10日以来の低さへと急落していました。
 
これは、前週木曜日に米連邦準備制度理事会(FRB)がドル金利を25ベーシスポイント引き下げ、市場の予想通り4.5%から4.75%のレンジに下げたにもかかわらず起きていました。
 
月曜日は米国の債券市場が退役軍人の日のため休場となる一方、週末の選挙結果でトランプ次期大統領がネバダ州とアリゾナ州でも勝利を収め、主要7州を全て勝ち取る大勝利を収めたことを受け、ドル指数(米国の主要通貨に対する相対的な価値を示す指標)は7月上旬以来の高水準まで上昇していました。
 
日本貴金属マーケット協会(JBMA)の池水雄一代表理事は、「金の下落は、トランプ氏の勝利というよりも、長引くと予想されていた選挙の不透明な結果が驚くほど早く決着したことによるものだ」と、最新のレポートで述べていました。
 
年初から現在までの金価格とビットコインとS&P500種のチャート グーグルファイナンス
 
 
10月の金価格は 選挙の不透明感の中で4.0%上昇していましたが、今月はドル高に対して2.5%下落しています。
 
一方、ビットコインは先月7.1%上昇し、11月に入ってからさらに8.9%急騰し、2025年の共和党主導の議会に暗号資産推進派議員が勢揃いする見通しとなり、月曜日に史上初で82,000ドルを突破していました。
 
トランプ氏は選挙キャンペーン中にいくつかの暗号資産推進策を公約に掲げ、規制を緩和し、米国を「地球の暗号資産の首都」にすることを目指しており、代替資産に対する敵対的とされる現民主党政権とは対照的となっています。
 
前週S&P500とダウ工業株30種平均がともに2023年11月上旬以来の週間最大上昇率を記録し、ハイテク株のナスダックが2024年に2番目の上げ幅を記録する等、金曜日の終値は全ての米株価指数で過去最高値を更新した後に、月曜日米国株式先物は月曜日にさらなる上昇を示唆していました。
 
バークレイズのストラテジストは顧客向けメモの中で、「株式は、トランプ大統領の国内成長政策と、バイデン政権と比較して規制が緩和されることへの期待を織り込もうとしている」と述べていました。
 
英国および欧州の投資家にとって、英国ポンド建ておよびユーロ建ての金は月曜日に4週間ぶりの安値に向かって下落し、それぞれ2050ポンドと2480ユーロを割り込んていました。
 
一方、貴金属の最大の消費国である中国では、上海黄金交易所の価格は1gあたり614円まで上昇したものの、先月末のの史上最高値を3.6%下回っていました。
 
そして、上海の金価格はロンドン価格よりも割安で取引され続け、先週の平均価格がトロイオンスあたり16ドルと過去4年間で最も割安となった後、月曜日にはその差が14ドルに縮小していました。
 
原油価格は、アジア時間に中国の最新の景気刺激策である地方政府の債務削減を目的とした約10兆元(1.4兆ドル)の措置が中国政治部によって承認されましたが、市場の予想には届かなかったこと に対する失望から一段と下落した後、欧州の取引で安定して推移していました。
 
週末に発表された最新のデータによると、中国の10月の消費者物価指数は前月比0.3%減、生産者物価指数は同2.9%減で前年同月比では25ヵ月連続で低下する等、デフレーション傾向であることを示唆していました。
 
今週は、まず水曜日に消費者物価指数、次に木曜日に生産者物価指数が発表され、いずれも、12月17-18日に開催される米連邦準備制度理事会(FRB)の次回の政策決定会合を前に注目される重要指標となります。
 
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週木曜日の連邦公開市場委員会後の定例記者会見で、「当面、 選挙は我々の政策決定に影響を与えないだろう」と述べていました。
 
しかし、新政権の政策が具体化するにつれて、パウエル議長は、次期大統領がホワイトハウスに就任した最初の任期中に、大幅な利下げを十分に行わなかったとしてトランプ大統領に任命されたものの、何度も叱責された人物ですが、中央銀行は、安定したインフレと最大限の雇用という2つの目標に対する影響を評価し始めるだろうと述べていました。
 
主に工業用金属である銀は、月曜日には2.0%下落しトロイオンスあたり30.67ドルとなり、先週3.6%下落した後、4週間ぶりの安値に急落していましだ。
 
スイスの地金精錬・金融グループMKSパンプの金属戦略責任者ニッキー・シールズ氏は、「(最近の)混乱と興奮のミックスに比べれば、これからの週は少し退屈なものになるだろう」と前週大統領選とその結果、またFOMCと他の主要中央銀行の金融政策決定会合が続いていたことと比較して、述べていました。
 
「金は退屈を好まない。新たな悪いニュースがなければ、(投資家は)上昇してきた金を売ることを選択するはずだ」と続けていました。
 
 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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