金価格ディリーレポート(2023年4月17日)金価格の2000ドルへの「必要な」下落は、「反転ではなく修正」 2023年4月17日 月曜日 18:18 週明け月曜日に金価格は上昇したものの、ロンドン時間昼過ぎには再び下落し、アナリストが「必要な」調整と呼ぶ中、コメックス派生商品市場では投機家が利益確定を行い、世界最大の金ETFのSPDRゴールドシェアは4週間ぶりに残高を縮小させ、トロイオンスあたり2000ドルを下回っていました。 ドル建ての金価格は、アジア時間にトロイオンスあたり2015ドルまで上昇した後、ロンドン10時30分のベンチマークオークションで2010ドルまで下落し、その後2000ドルを割り込むまで下落していました。この水準は、先月シリコンバレーバンクの破綻で銀行不安が広がった際に 12ヶ月ぶりに達した水準です。 金と銀の価格は、月間で11%以上上昇した後、先週 金曜日には共に1.7%下落していました。これは、米中央銀行の利上げが、インフレ率を年間2%に減速させるという望ましい効果をまだ発揮していないと連邦準備制度理事会の高官が述べたことから、ドルが為替市場で1年ぶりの安値から上昇し、長期金利が上昇したことからでした。 日本貴金属マーケット協会(JBMA)の池水雄一代表理事は、最新レポートで「あまりにも一方的な上げは不健康であると考えると、金曜日の下落は必要な相場修正局面であった」と述べています。 先週は、SPDRゴールドシャア(NYSEArca: GLD)が2営業日連続で残高を減少させて、4週間ぶりの週間の減少となった一方、iShareゴールド(NYSEArca: IAU)は投資家の資金がネットで流入し、5週連続の週間の増加となるなど、金を裏付けとするETFの状況はまちまちとなっていました。 米国の規制当局であるCFTCが発表した先週末のポジションデータによると、トロイオンスあたり2045ドルを超える13ヶ月ぶりの高値への価格急騰を前に、コメックス金先物・オプションのヘッジファンドやその他のレバレッジ投機家は、この5週間で初めてロングポジションを減らしていたことが明らかとなっていました。 そして、ショートポジションも少ないながら減少していたものの、資金運用業者のネットロングポジションは、米国と欧州が2022年3月中旬にプーチン大統領のウクライナ侵攻への報復としてロシアからのエネルギーと商品輸出の禁止に動いて以来最高となっていた前週より5%減少していました。 一方、銀価格は金曜日の安値である25.16ドルまで下落した後、25.60ドルまで急騰し、その後再び下げてトロイオンスあたり25.34ドルとロンドン昼過ぎには前週終値から横ばい状態となっていました。 ドルインデックスは、米国通貨の主要通貨に対する価値を示す指標で、0.1%上昇し、前週金曜日にニューヨーク州の製造業活動データが予想を上回ったことを受けて2セッション連続で上昇していました。 米国債10年物利回りは、政府機関や多くの金融・商業機関の借入コストの基準金利である3.54%と、今月最も高い水準で推移していました。 デリバティブ・プラットフォームであるサクソバンクの商品ストラテジスト、オーレ・ハンセン氏は、「2019年半ば以来の4週間の最も大幅な上げ幅を見せた後、金は価格が2000ドル付近で底固めをする兆しを見せたため、少量の利益確定にさらされた」と述べていました。 米国の規制機関である商品先物取引委員会(CFTC)が2006年から公表しているデータによると、投機筋は先週、銀に対するネットロングポジションを2ヶ月ぶりの高水準から 1.3%減少させていました。 世界最大の銀のETFであるiShareシルバー(NYSEArca: SLV)は、金曜日に2週間ぶりに残高を減少させていましたが、週間においては残高は増加し、3週連続の週間の上昇となっていました。 スイスの精錬・金融グループMKSパンプの金属戦略責任者であるニッキー・シールズ氏は、金曜日の金・銀価格の下落について、「現物の底値がどこにあるのか試す必要があり、トレンドが必ずしも直線的でないことを思い起こさせた」と述べています。 「これは、トリプルトップに再挑戦する前の 反転ではなく、修正である」とシールズは続け、金のピークがトロイオンスあたり2070ドル前後であることを指摘していました。