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金価格ディリーレポート(2023年2月27日)金価格はG20の緊張、中国需要、景気後退の懸念によって1800ドルのサポートラインが守られる

金相場は、ドルや債券利回りが数ヶ月ぶりの高値で安定する中、景気後退への懸念、新たな地政学的緊張、中国からの地金のバーゲンハンティングが続く中、アナリストがサポートと呼ぶトロイオンスあたり1800ドルを上回って推移していました。
 
金地金現物価格は、月曜日ロンドン時間午前中に2ヶ月ぶりの安値1806ドルまで下落した後、トロイオンスあたり1812ドルまで上昇していました。 
 
米連邦準備制度理事会(FRB)が8回連続で主要金利を引き上げ、2月初旬の会合で2023年の利下げを予見していないと述べた翌日につけたドル建て金相場として9ヶ月ぶりの高値の1959ドルからは、7.6%下落していました。
 
スイスの精錬・地金金融グループMKSパンプの金属戦略責任者ニッキー・シールズ氏は、FRBが好むインフレ指標であるコアPCE価格指数が予想を上回った後、米ドルが上昇し続けたことを指摘し、「(FRBの)継続的な金利上昇は、貴金属価格の 継続的な低下を引き起こしています」と語っていました。 
 
米国の通貨の価値を主要通貨に対して示す指標であるドルインデックスは、米インフレ指標の発表を受けて先週金曜日に0.6%上昇して3ヶ月ぶりの高値を記録した後、本日は小幅に下落していました。
 
「しかし、1800ドルでは、現物のサポートと、地政学的リスクの高まりと、『ハードランディング』リスクが十分に認識されていないことから、金は底を打つはずです」とシールズ氏は述べていました。
 
過去1年間のドル建て金相場のチャート 出典元 ブリオンボールト
 
上海金取引所の金価格は、月曜日にロンドンの価格に対して歴史的なプレミアムを示し続け、新規輸入者に通常の4倍以上インセンティブであるトロイオンスあたり35ドルを提供し、貴金属の正解最大消費国の強い需要を示唆していました。
 
2022年の上海の金のプレミアムは、ブリオンボールトがまとめたデータではトロイオンスあたり平均11ドルで、2021年の5ドルから上昇し、2020年の厳しいCovidロックダウンの際に見られた平均26ドルのディスカウントを逆転していました。
 
ロイターは、「地政学的緊張の中で投資家が安全資産を探しているため、中国の金需要は今後数週間にわたり 堅調に推移すると予想される」とある地域の地金担当重役の言葉を引用していました。
 
中国の「スパイバルーン」事件や、中国のソーシャルメディアアプリ「TikTok」が米国政府の端末や大学のキャンパスで 使用禁止になるなど、米中間の緊張は週末、中国がG20グループの他の国々と共にウクライナ侵攻1周年を機に ロシアを非難することを拒否した後、さらに深まっていました。
 
「この時期にロシアに軍事援助を送るのは間違いだ」と、米国の国家安全保障顧問ジェイク・サリバンは日曜日に述べ、先週のアントニー・ブリンケン国務長官の「警告」を繰り返し、「中国はこれに 関わりたくないはずだ」と続けていました。
 
一方、経済面では、クリーブランド連銀の 景気後退の可能性は、2024年2月までに62.7%となり、ニューヨーク連銀の 景気停滞予測(これもアメリカのイールドカーブの深い反転に由来)は57.1%と、前回から10ポイント上昇していました。
 
世界の株式で構成されるMSCIオールワールドインデックスは、9月以来の急落を記録し、2月初旬の6ヶ月ぶりの高値から5%以上下落した後、月曜日の米国時間の開始前に0.3%上昇していました。
 
日本貴金属マーケット協会の池水雄一代表理事は、最新のレポートで「これほど強いドルと高い金利にもかかわらず、金が1800ドルを維持しているのは、中国での現物のバーゲンハンター、そしておそらく中央銀行の買いが一因かもしれない」と述べていました。
 
ユーロ建ての金価格は1716ユーロと小幅に下落し、ポンド建ての英国金価格は1509ポンドと、英国政府が北アイルランドの貿易協定について 欧州連合と新たなブレグジット協定を締結するというニュースを受け、為替市場で英国ポンドが強まったことから、0.5%の下落となっていました。
 
 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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