金価格ディリーレポート(2023年2月13日)金価格は米消費者物価指数を待つ中、ドル高と長期金利高で頭の重い動きとなる 月曜日, 2/13/2023 18:19 金相場は、ドルや米10年債利回りが5週間ぶりの高値で安定的に推移する中、世界の金利見通しを決定付ける可能性のある今週火曜日に発表される米国のインフレ統計を前にレンジ内の動きとなっていました。 金現物価格は、先週金曜日に5週間ぶりの安値となる前週終値と同水準で終えた後、ロンドン時間昼過ぎに0.2%下げて1862ドルとなっていました。 ドルインデックス(主要通貨に対する米国の通貨価値の指標)はこの間上昇し、2023年1月6日以来の高値をつけていました。 また、米国10年債利回り(政府および多くの金融・商業機関の借入コストの指標)は3.7%と、2023年1月3日以来の高水準を維持していました。 政策金利により敏感な米国2年物国債の利回りは、2月14日の米国消費者物価指数の発表を前に、連邦準備制度が金融引き締めを長く続けることを投資家が予想していることからも、再び4.5%を超えて2022年11月以来の高値をつけていました。 バークレイズのアナリストは、「 今週の米消費者物価指数は、直近では最も重要な指標の1つである」とレポートで述べていました。 1月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%上昇し、前年同月比は12月の6.5%から6.2%に減速し、6ヶ月連続で低下すると予想されています。 前年比のCPIのピークは2022年6月の約40年ぶりの高水準となる9.1%。 変動の大きい食品とエネルギー価格を除いたコアCPIは、2023年1月に0.3%上昇し、前年同月比は2022年12月の5.7%に対して5.4%と予想されています。 バークレイズのレポートによると「ドルは米国の労働市場の強さを背景に上昇してきたが、何らかの変化が起こるシナリオは火曜日に明らかとなるだろう」とし、1月の米雇用統計がアナリストの予測を超えたため、市場がフェデラルファンドレートの予想を高く調整したことを指摘していました。 「このトレンドの変化は、今週火曜日の消費者物価指数かもしれない」と、 日本貴金属マーケット協会の代表理事の池水雄一氏もまた最新のノートで述べていました。 「ディスインフレ傾向は続くと予想され、その場合、金価格は1800-1850ドルの水準でサポートされ、CPIが6.2%を下回ると、金は再び上昇するだろう。」と続けていました。 CMEのFedWatchツールによると、FRBが次回の会合でフェデラルファンドレートをさらに25bp引き上げて4.75%から5.0%のレンジにする確率は91%、5月にさらに25bp引き上げて5.0%から5.25%にする確率は80%超とされており、1ヶ月前の35%という確率から高まっています。 金利決定委員会の投票権を持つフィラデルフィア連銀のパトリック・ハーカー総裁は金曜日、FRBの政策金利は5%を超えるところまで上昇し、しばらくはその水準を維持するとの見方を示し、2024年に利下げを実施する可能性を示唆していました。 「この時点で、我々は25回のペースで利上げを行い、労働市場に過度のダメージを与えることなく インフレをコントロールすることができる」とハーカー氏は述べ、より小さな利上げへの移行はFRBの「リスク管理」目的であると付け加えていました。 ユーロ建ての金価格は0.3%下落の1743ユーロ、ポンド建ての金価格は0.5%下落の1540ポンドとなりました。 日本円建て金価格は、為替市場の日本円が、火曜日に正式に発表される予定の新しい日本銀行総裁の政策スタンスに対してトレーダーが再評価する中で下落したことで、グラムあたり7938円と0.7%上昇していました。 日本政府は日銀の次期総裁にエコノミストの 上田和男氏を推薦する可能性が高いと、メディアは先週金曜日に報じていましたが、これは、雨宮正佳副総裁が選ばれたと報じられた4日後のことでした。 このニュースを受けて、上田氏が超低金利を早期に終了させる可能性が、最有力候補のハト派である雨宮氏が就任した場合よりも高いとの見方が強まったことを背景に、当初は円や債券の利回りが上昇していました。 しかし、上田氏は同日のインタビューで、日銀が現在の超金融緩和政策を維持することは適切であると述べたことが伝えられていました。 日銀は1月の会合で、主要短期金利を超ハト派的なマイナス0.1%に、10年物日本国債の利回りを0%程度に維持していました。 日本のインフレ率は2022年12月に4%に達し、日銀の目標値2%の2倍に達していましたが、今年4月に2期目が終了する黒田東彦総裁は、物価上昇が持続するかどうかを判断するには時期尚早であると主張していました。 アジア株式市場は、MSCI(日本以外のアジア太平洋地域の株式で構成される最も広い指数)が先週2.2%下落した後、0.7%下落していました。 日本の日経平均株価も、前週の0.6%減に続き、1.0%減となっていました。 欧州の株価は、第4四半期の英国の国内総生産(GDP)速報値は、コンセンサス予想と一致し、景気後退を僅かに回避したと発表したことを受けて金曜日に1%下落した後、月曜日に汎欧州のストックス600指数が0.6%上昇するなど穏やかな動きを見せていました。 アメリカの株価先物は、S&P500とナスダック総合株価指数がここ2ヶ月で最悪の週間パフォーマンスを前週記録した後に、月曜日はわずかに上昇していました。 バークレイズのアナリスト、エマニュエル・カウ氏は、「しかし、金融情勢が早々に緩和され、その結果、成長期待が高まることは、 インフレ対策の観点から逆効果になる可能性があります」と、先週を振り返り、1月の雇用統計を受けて、複数のFRB高官がタカ派的コメントを発言していたことに注目していました。 「その結果、FRB自身の金利予想と市場予想との乖離が顕著に縮小し、米国株に打撃を与えたのです。」と続けていました。