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金価格ディリーレポート(2022年12月12日)米インフレデータとFOMCを前に金は4ヶ月ぶりの高さから下げたものの、逆イールドカーブは金を支える

金価格は、アナリストや専門家がイールドカーブの40年来の極端な反転、2023年の景気後退を示唆することに新たに注目する中で、今週の米国インフレデータとFRBの金利決定を前に、8月以来の高さから下落していました。
 
工業用途が6割という 銀の価格は、金曜日のLBMA価格であるトロイオンスあたり23.11ドルを上回り、ロンドン昼過ぎには4月28日以来の高値の23.47ドルをつけていました。
 
金相場は、金曜日に8月10日以来の高値の1806ドルをつけた後、月曜日に10ドルほど値を下げていました。
 
派生商品のプラットフォームであるサクソバンクのコモディティ・ストラテジストのオーレ・ハンセンは、「(FRB)会合は、市場が2023年に向けての経済見通しをますます懸念しているときに開かれる」と述べ、「そのために、米国の10年物利回りを3.5%に下げ、イールドカーブの逆転が40年ぶりの大幅なものとし、金と銀をサポートしている」と続けていました。
 
米国債2年物と10年物のイールドカーブの推移 出典元 セントルイス連銀
 
長期国債と短期国債の年利格差を追跡すると、イールドカーブは通常プラスで、10年物米国債利回りは2年物国債利回りを上回って取引されています。
 
しかし、イールドカーブの逆転として知られるパターンが、過去50年間のすべての米国経済の低迷に先行しており、このチャートでは灰色の縦棒で示されています。
 
米国債2年物と10年物のスプレッドは、 4月に一時的に逆転した後、直近では7月にプラスに転じた後に、1981年以来のマイナスに逆転していました。
 
月曜日に、2年物が4.33%の年率利回りであるのに対し、10年物は3.54%で、イールドカーブの逆転は、0.79%ポイントと40年来の大幅な水準となっていました。
 
スイスの銀行クレディ・スイスのストラテジストは、「イールドカーブの逆転は、 FRBが将来の成長や景気後退を犠牲にしても、インフレ抑制に取り組むと投資家が考えていることを示唆している」と指摘していました。
 
金利トレーダーは現在、FRBが今週50ベーシスポイントの利上げを実施し、政策金利を上限4.50%に引き上げる確率を75%としています。
 
CMEのFedWatchによると、この利上げサイクルのピークを意味する「ターミナルレート(最終到達点)」のフェデラルファンドレートは、2023年5月に上限が5.25%となる確率が最も高く、その後FRBは9月に最初の利下げを実施すると予想されています。
 
イエレン米財務長官は日曜日に、「予期せぬショックがなければ、 来年末にはインフレ率がかなり低下すると思う」と述べていました。
 
「景気後退のリスクはある。しかし、私の考えでは、インフレを低下させるために必要なものではありません。」と続けていました。
 
先週、ドル建て金価格が数ヶ月ぶりの高値となる中、最新のデータでは、コメックス金先物・オプションのヘッジファンドやその他のレバレッジをかけた投機家は、12月6日火曜日までの1週間にグループとして強気のポジションを26%増やし、弱気のポジションを5%減らしていました。
 
金価格が今日よりもトロイオンスあたり100ドル以上低かった11月中旬までは、資金運用業者のネットポジションはショートであったものの、先週ネットロングポジションは前週よりも34%増加していました。
 
世界最大の金ETFであるSPDRゴールドシェア(NYSEArca: GLD)は、11月まで7ヶ月連続で月間の資金流出を記録した後に、12月に入ってからは月間で資金流入となっており、前月末以来0.3%増となっていました。
 
しかし、第2規模の金ETFであるiShareゴールド(NYSEArca: IAU)は今月も8ヶ月連続の資金の流出となっているものの、そのペースは今月はわずか0.2%と緩やとはなっている。
 
 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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