金価格ディリーレポート(2022年11月28日)金価格は中国の抗議デモで原油と銅価格が下げる中で、1週間ぶりの高値をつけたものの下落 2022年11月28日 月曜日 16:47 世界第2位の経済大国である中国で、共産党政権の「ゼロ・コロナ」政策の継続をめぐる不安が広がっていることを受け、ドルや米国の長期借入コストがともに数ヶ月ぶりの安値から上昇し、金価格は1週ぶりの高値から小幅に下落していました。 米国の通貨の価値を主要通貨に対して示す指標であるドルインデックスは、ロンドン時間午前中に0.3%下落して8月中旬以来の安値圏からロンドン時間昼過ぎに上昇へ転じていました。 その後、世界の株式市場が下落し、原油価格が下落する中、金現物価格は、本日午前中につけた11月18日以来の高値となる1764ドルから15ドル近く下落していました。 鉱業界のワールド・ゴールド・カウンシルの市場ストラテジスト、ジョン・リードは、「(午前中の)金の強さは、米ドル、株式、原油の 弱さに追随している」と述べ、この間に政府および多くの金融・商業借入コストのベンチマーク金利である米国10年債利回りは一時年率3.625%以下に低下し、10月初旬以来最低となっていました。 カナダの証券会社BMOキャピタル・マーケッツの欧州FX戦略責任者スティーブン・ガロ氏は「中国のコロナ関連の問題に関連した世界市場のリスクオフ状況が、長期国債利回りの低下に表れているようだ」と話していました。 中国政府の発表によると、中国の1日の新規感染者数は、月曜日に症状のない36,525人を含め、4万人を超えて 過去最高を更新していました。 この間ブレント原油は、3.0%下落の1バレルあたり81.10ドルで1月4日以来の安値をつけ、米国ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)は2.9%下落の74.05ドルで、昨年12月22日以来の安値となるなど、原油価格は月曜日に2022年の最低水準近くまで下落していました。 世界最大の原料消費国である中国の経済見通しが悪いこと、そして新型コロナ感染者数急増によるロックダウンとそれへの抗議運動による社会不安によって、銅と鉄鉱石の価格も急落していました。 中国における厳しいコロナ対策に対する抗議は日曜日の夕方にエスカレートし、首都北京や金融の中心地の上海、そしてほぼ3年前にコビド19の発生が始まった武漢を含む少なくとも8つの主要都市に広がっていました。 上海では、 習近平国家主席の退陣を求めるデモが行われ、北西部のウルムチでは、10人が死亡したタワーマンション火災での救助活動の妨げについて、当局は「ゼロコロナ」ルールの責任を否定していました。 そのような中 銀価格は、ロンドン時間昼過ぎに前週終値から0.2%上昇し、トロイオンスあたり21.45ドルとなっていました。 また、自動車触媒を中心とした工業用途が3分の2を占めているプラチナは、0.4%上昇してトロイオンスあたり991ドルと、午前中の下げ幅を取り戻していました。 一方、パラジウムは、最終需要の8割がガソリン車からの二酸化炭素排出を削減するための自動車触媒であり、中国の新型コロナ感染者数の増加による地域ごとのロックダウン、集団検査、その他の規制に関するニュースを受けて、先週6%下落した後に本日1%以上上昇してトロイオンスあたり1842ドルをつけていました。 中国人民銀行は先週金曜日に、商業銀行の預金準備率を再び引き下げ、経済成長の鈍化が激しい中で、世界的な流れに反して金融緩和を行っていました。 上海黄金交易所の金価格は、本日もロンドンに対してプレミアムを示していましたが、トロイオンスあたり12ドルと、10月半ばにつけた過去最高値に近いトロイオンスあたり50ドルから大きく下げ幅を縮小していました。中国国外からの金の輸入が制限されている中国のプレミアムの高さは中国国内の需要の高さを示し、パンデミック以前はトロイオンスあたり9ドルが平均的値となっていました。 ロイターは、「季節的な需要は世界的にかなり強いものの、最近の 市場価格の上昇に加え、中国での新型コロナ感染者数増加によるロックダウンの再開が国内需要を減退させている」と、ある独立系アナリストの言葉を紹介していました。