金価格ディリーレポート(2021年7月5日)実質金利マイナスと中央銀行の買いが金の追い風となる 月曜日, 7/05/2021 18:41 本日金相場はロンドン昼過ぎに2週ぶりの高さを維持していました。 それは、長期金利がインフレ予測を下回り実質金利がマイナス幅を広げ、中央銀行の堅固な金需要が5月も継続していることが明らかになる中でのことでした。 本日米国市場が独立記念日で休場となる中、現物金価格は、先週金曜日に6月中旬以来の高値となる1795ドルを付けた後、 米雇用統計の結果がまちまちであったため、0.2%増の1791ドルを付けていました。 しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が大規模な金融緩和策の引き締めを従来よりも早く開始する可能性があるとの観測から、金地金は6月に7%下落し、2016年以来最悪の月間の下げを記録していました。 あるアナリストは ロイターに対し、米中央銀行がゼロ金利からの引き上げや、現在の月1200億ドルの新規QE債券購入の先細りを検討している可能性について、「先週の雇用統計は複雑なシグナルを出し、これによってFRBが政策変更をするほどしっかりしたものではありませんでした」とコメントしていました。 「実質金利がマイナスの間は、金にとっては向かい風ではなく追い風です。市場には多くの資金が溢れており、金を含めた行き先を探しています。そして、必ず覚えていなければならないのは、金は必ずしもインフレヘッジの目的だけではなく、リスクに対する備えでもあるのです。」とStone X Group IncのRhona O'Connell氏は述べていました。 インフレを考慮後の米国債の実質金利は先週金曜日にマイナス0.915%まで低下し、今後10年間のインフレ率を示唆する値は年率2.35%に達し、3週間ぶりの高値を付けていました。 過去5年間、金価格は週単位では10年物TIPS利回りと 3分の2の割合で反対方向に動いています。 セルビア国立銀行は、「長期的には、金はインフレやその他の金融リスクに対する保護の最も重要な保護と保証を提供する。」と述べています。 そして、セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領は最近、中央銀行が金の保有量を36.3トンから50トンに増やす意向であることを発表しています。 ワールドゴールドカウンシルが先週金曜日に発表した最新のレポートによると、5月の中央銀行の純購入量は56.7トンで、前月に比べて11%減少したものの、2021年の月平均を43%上回っています。 最大の買い手はタイ王国で、3月に63トン、4月に43.5トンを購入した後、5月にさらに46.7トンを追加していました。 また、金の消費国第5位のトルコも8.6トンを追加し、金の消費国第2位のインドも0.9トンを購入しています。 そのほか、ブラジル、カザフスタン、ポーランドが、この月の顕著な買い手となっていました。 HSBCホールディングスのチーフ貴金属アナリストであるジェームズ・スティール氏は、「世界的な貿易の回復は、新興市場諸国の経常収支を改善し、中央銀行に金を買い増すという選択肢を与えている」と述べています。 「また、原油価格の上昇は、カザフスタンやウズベキスタンなどの石油輸出国による金購入を後押ししている。これは今後も続くと思われる。」と続けています。 原油価格は、産出国のカルテル、いわゆるOPEC+が金曜日の会議で生産量の合意に至らなかったことから、月曜日の朝には2.5年ぶりの高値付近で推移し、1バレルあたり75ドルを記録していました。 この議論は今日も続いており、サウジアラビアは、今後数ヶ月から2022年までの生産量の上限設定について、隣国のアラブ首長国連邦と言い争っていると伝えられています。 主に工業用金属である 銀の価格は、本日0.5%上昇してトロイオンスあたり26.58ドルとなり、先週の週間での上昇幅1.1%を拡大していました。 また、工業用需要が3分の2を占めるプラチナは、1.2%上昇の1105ドルとなり、先週の下げ幅の4分の3を取り戻していました。 米国の株式・債券市場は7月4日の独立記念日の祝日で休場となっています。 その間、ドルインデックスは、先週金曜日に非農業部門雇用者数が85万人増加したものの、失業率が5.9%に上昇したことを受けて、3ヶ月ぶりの高値から下落し、本日は更に弱含んでいました。