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金価格ディリーレポート(2021年5月10日)インフレ予想が実質金利を更に下げる中で金ETFへ資金が流入し、金価格が1840ドルを超える

金価格は先週の上昇基調を受け継いで月曜日昼過ぎに上昇していました。
 
この間、金を裏付けとする世界最大及び第2位のETFに資金が流入し、金融市場が今週発表される米消費物価指数に注目する中で、鉄鉱石と銅の価格が過去最高を記録していました。
 
金相場は先週3日連続で上昇し、週間では昨年11月以来最大上げ幅の3.5%高を記録した後、本日ロンドン時間昼過ぎに0.6%高の1オンスあたり1840ドルを付けて、12週間ぶりの高値を記録していました。
 
一方、米国の主要通貨に対する価値を示すドル・インデックスは、先週金曜日に発表された米雇用統計が予想を大幅に下回る中で3営業日連続で下落し、3ヶ月ぶりの安値を記録した後、本日更に下げていました。
 
長期金利は安定しており、政府や多くの金融機関、商業施設の借入コストの基準となる10年物米国債利回りは、先週金曜日に2ヶ月ぶりの低水準を記録した後、1.6%弱まで上昇していました。
 
Saxo Bankのコモディティストラテジストであるオーレ・ハンセン氏は、「 マクロ経済学においては、軟調に推移するドルと高いものの水準を維持している米国債利回りの両方が(金価格の) 更なる支えとなっている。」と述べていました。
 
「特に長期金利には大きな注目が集まっており、インフレの上昇により10年物のブレーク・イーブン・インフレ率は8年ぶりの高水準となり、(そのインフレ予測を考慮した後の)実質利回りはマイナス1%に下げています。」
 
金価格と実質金利の推移 出典元 セントルイス連銀
 
今後10年間の消費者物価上昇率の目安となる10年物ブレーク・イーブン・インフレ率は、金曜日に一時的に急落した後、 2013年4月以来の高水準となる2.5%付近まで上昇していました。
 
一方、10年物インフレ連動債の利回りで示される実質金利は、金価格と強い負の関係にあり、米国債の実質利回りが低下すると金価格も上昇しますが、先週金曜日にマイナス0.91%と2月中旬以来の低水準で推移していました。
 
水曜日に発表される米消費物価指数の事前予想では、4月の消費者物価指数は11ヶ月連続で上昇し、前年同月比では、昨年4月のCovid-19のパンデミックによる最初の都市封鎖時の価格暴落の影響もあり、2011年以来初めて3.5%を超えると予想されています。
 
金鉱会社のマーケティング団体であるワールドゴールドカウンシルが発表したレポートによると、「第1四半期は金利上昇が主役だったが、現在はインフレの上昇がそれを追い、 実質金利が押し戻されて、米ドルがさらに圧迫されているようだ。」と述べていました。
 
「第1四半期に金を敬遠していた投資家が、再び金へ戻って来るようになるかもしれない」と続けていました。
 
金を裏付けとするETFは先週残高を増加させ、最大銘柄のSPDRゴールド・トラスト(NYSEArca: GLD)と第2銘柄のiShareゴールドETF(NYSEArca: IAU)が共に金曜日に投資家資金の流入を記録し、これは3月19日以来となっていました。
 
そこで、GLDは3週間で2回目の週間での残高増加、IAUは8週間ぶりの週間での残高上昇となっていました。
 
しかしながら、4月は3月に比べてペースが落ちたものの、今年に入ってからGLDは13.7%、IAUは5.7%の残高減少となっていました。
 
銀のETFの最大銘柄のiShareシルバートラスト(NYSEArca: SLV)は、先週金曜日に0.3%の資金流出を記録し、13週連続の週間での残高の減少を記録していました。
 
主に工業用金属である 銀の価格は、先週5.9%上昇した後に、月曜日の昼過ぎまでに1.4%高のトロイオンスあたり27.82ドルへと上昇していました。
 
一方、ディーゼルエンジン用の自動車の排ガス浄化触媒に代表される工業用需要が3分の2を占めるプラチナの価格は、本日1.5%高で11週間ぶりの高値となるトロイオンスあたり1276ドルを記録していました。
 
プラチナ価格は今年に入ってからすでに19%上昇しており、一方、姉妹金属のパラジウム(需要の80%以上をガソリン車用の自動車触媒が占める)は、2021年に入ってから20%以上上昇し、先週はトロイオンスあたり3,000ドルを超える新記録を達成していました。
 
 
「中国が過去10年間のコモディティ価格の動向を語る唯一の要因であった中で、昨今世界の他の国々も需要の要因として このバトンを受け継いでいます。」とフィナンシャル・タイムズ紙は、世界最大の独立系商品取引業者のひとつであるTrafigura社のチーフエコノミスト、Saad Rahim氏の次のコメントを紹介しています。
 
「ジョー・バイデン大統領は、すでに可決した景気刺激策に加えて、さらに2つの景気刺激策を提案しています。もしそのどれかが実行されれば、この全体を過給することになるでしょう。」とRahim氏は続けています。
 
鉄鉱石の先物価格は10%以上上昇し、月曜日の朝には1トンあたり226ドルを超えて過去最高を記録し、今年の上昇率は約40%に達していました。
 
世界経済の健全性のバロメーターとされる銅価格も、2.1%上昇して1トンあたり10,639ドルとなり、本日過去最高を更新していました。銅価格は、昨年3月のパンデミック時の安値から2倍以上に上昇しています。
 
また、米国が昨夜、サイバー攻撃により経済規模No.1の燃料パイプラインが停止したことを受けて、燃料の供給を継続するために非常事態宣言を出したことから、原油価格は本日上昇していました。
 
米国のウエスト・テキサス・インターミディエイトの先物価格は、先週2%以上上昇した後、本日0.5%上昇して1バレルあたり65.24ドルとなっていました。
 
原油価格は年初からすでに約20%上昇し、パンデミック前の水準に達しています。これにより、天然資源価格を幅広くカバーするブルームバーグ・コモディティ・スポット指数は、過去15日間のうち14日間上昇し、ほぼ10年ぶりの高水準となっていました。
 
ヨーロッパの株式市場は、これらのコモディティ価格の上昇を受けて鉱山会社株価が2.6%上昇したことに牽引されて、ストックス欧州600指数が0.1%上昇し、10年ぶりの高値を記録していました。
 
ユーロ建ての金価格は、月曜日の昼過ぎに0.4%高のトロイオンスあたり1512ユーロへ上昇していました。
 
それに対しポンド建て金価格は0.4%安のトロイオンスあたり1304ポンドを付けていました。これは、英国政府がイングランド地方政府のCovid-19規制を緩和する動きを見せ、英国の統一地方選挙で スコットランドの独立派政党が過半数を超えなかったため、300年の歴史を持つ連合からの分離を問う新たな国民投票のリスクが後退したことから、ポンドが10週間ぶりの高値を記録したことからでした。
 
 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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