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金価格ディリーレポート(2021年4月19日)金はインドのコロナ感染者数急増の中でアジアの需要に支えられた7週ぶりの高さから下落

金価格は月曜日上昇で始まったものの、昼過ぎにはほぼその上げ幅を失っていました。
 
これは、世界的にCovid-19の感染者数が急増したにもかかわらず、長期金利が数週間ぶりの低水準から上昇に転じたためでした。このような中で、中国の中央銀行が地金の輸入枠を緩和したことで、中国の金需要が堅調に推移していることも明らかとなっていました。
 
先週、世界で520万人以上の人々が新型コロナウィルスに感染したと診断されましたが、これはパンデミックが始まって以来の最多の一週間の記録で、インドとブラジルでの患者数が急増していました。
 
金のロンドン専門市場での価格は、月曜日の朝に1.1%上昇して1790ドルとなった後、1767ドルまで下落していました。これは、先週金地金が週間で12月以来の大幅な上昇を記録した後の動きでした。
 
Saxo BankのコモディティストラテジストであるOle Hansen氏は、「最も金利とドルに敏感なコモディティである金は、重要なレベルであるトロイオンスあたり1765ドルの上値をトライし、それをブレイクしていました。」
 
そして、「(金の)持続的な上昇が見られれば、テクニカル面での見通しが大幅に改善し、新たな勢いが生まれる可能性がある」と述べていました。
 
しかし、その後主要な欧州の国債価格は下落し、米国の10年債利回りは数週間ぶりの低水準である1.56%から5ベーシスポイント上昇したため、借入コストが上昇していました。
 
ロンドン月曜日午前中には米国債が売られたことで、主要通貨に対する米国通貨の価値を示すドル・インデックスも下落し、5週間ぶりの安値を記録していました。
 
オーストラリアの銀行、ANZのシニア・コモディティ・ストラテジスト、Daniel Hynes氏は、ロイター通信の記事を引用して、「中国が国内需要を満たすために銀行に大量の地金を輸入する許可を与えたという報道を受けて、(金)市場は好感していた。」と述べています。
 
中国の中央銀行である中国人民銀行(PBOC)は、商業銀行に与えられた割当量を制限することで、中国に入る金の量をコントロールしています。しかし、 2020年にはコロナ危機により宝飾品店が営業できず、また様々な祝祭イベントが禁止されたため、中国の輸入量は急減していました。
 
「しばらくの間、割り当てすらもありませんでした。」とロイターは地金輸入銀行の関係者の話を引用し、「今は...2019年以来(割当額が)最も多くなっています。」と伝えていました。
 
現在の価格で85億ドルに相当する約150トンの金が出荷される可能性が高いと 4人の関係者が述べ、4月から5月にかけての輸入されることを予想していました。
 
上海黄金交易所とロンドン受け渡し金価格に対する差 出典元:SGE、ブリオンボールト
上海黄金交易所(SGE)の金価格は、ロンドン受け渡し金価格に対するプレミアムを継続して示しており、月曜日には、金地金の世界第1の消費国である中国は、先週の新規輸入に対するインセンティブを週平均8ドル強に拡大した後に、本日はトロイオンスあたり10ドルまで更に上昇していました。 
 
このSGE金価格とロンドン受け渡し金価格の差は、昨年3月24日、 英国が最初の国家封鎖を宣言した翌朝、SGEでの価格がロンドンよりも安くなったことで、ディスカウントとなり、8月にはすべての主要通貨で金価格が史上最高値を記録したために、88ドルという記録を付けていました。
 
ロイターが集計した中国の税関データによると、中国は2020年2月以降月平均6億ドル相当の約10トンの金を輸入し、2019年の月35億ドル(約75トン)から減少していました。
 
金鉱会社のマーケティング団体であるワールド・ゴールド・カウンシルが発表したレポートによると、先月の SGE貯蔵庫からの金の引き出し量も急増し、合計168トンと、2月より75トン、前年同月より85トン多くなっていました。
 
また、中国の金ETFの保有量は、3月に5.3トン増加し、72.4トン、39億ドル相当となり、過去最高を記録したともこのレポートでは指摘されています。
 
証券会社StoneXのアナリストであるRhona O'Connell氏は、「 アジアのセンチメントに大きな変化がありました。」と述べ、「(これに加えて)中央銀行の金需要も堅調に推移すれば、金価格の底上げになる可能性があります。」と続けていました。
 
また、ロンドンのブリオンバンクのスタンダード・チャータードのアナリスト、Suki Cooper氏は、「アジアの回復は、 金の底値を決める上で非常に重要」であり、今後数ヶ月の間、金価格のさらなる下落を食い止めることができるだろうと同意しています。
 
中国とインドは、通常世界の年間金需要の約5分の2を占めています。
 
インドでは、記録的な数のCovid-19感染者と死者が出ていますが、3月の金の輸入量は前年同月比471%増の160トンに達しました。これは、価格の低下と 政府による金地金の輸入関税の引き下げによるものです。
 
原油価格は、インドなどでのコロナウイルス感染症の増加による需要減への懸念が、米ドル安によって緩和されたため、月曜日には安定していました。
 
年間需要の約60%を工業用に使用している 銀の価格は、0.4%減の25.88ドルとなり、先週の2.7%高から反転していました。
 
一方、工業用需要の3分の2を占めるプラチナは、1.3%高の1221ドルへと上昇していました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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