金価格ディリーレポート(2020年5月18日)厳しい経済見通しで金はドル建てで7年半ぶり高値、主要通貨で史上最高値を記録
本日金相場はドル建てで2012年9月以来の高値を記録し、多くの主要通貨では史上最高値を付けています。
これは、多くの主要中央銀行がコロナ危機による長引く経済低迷によりさらなる例外的金融政策が必要であることを警告したことが要因となりました。
金現物価格は月曜日午前中にトロイオンスあたり1765ドルと先週末から1.1%上げて、4月14日の7年半ぶりの高値を更新していました。
そして、ユーロ建てとポンド建て金価格は、それぞれトロイオンスあたり1.4%上げの1633ユーロ、1.4%上げの1458ポンドと史上最高値を更新し、スイスフランク建てにおいては2011年の最高値を超える1716フランクを付けていました。
また、東京商品取引所の金先物がgあたり1.7%上げの6084円と、1982年の上場以来初の最高値を付けていました。
そして、日本国内地金商最大手の田中貴金属工業が公表する金地金の店頭販売価格もgあたり6712円(税込み)と、1980年1月の最高値を更新し、40年ぶりの史上最高値となっていました。
この間、本日日本の第1四半期のGDPが発表され、3月にコロナ危機が始まる前にすでにマイナス3.4%と、2四半期連続のマイナス値を付けて景気後退(リセッション)入りとなっていたことも明らかとなっていました。
ドイツの中央銀行は先週金曜日に、月間リポートで経済先行きは「厳しい」としていました。
また、パウエル米FRB議長は、週末日曜日のインタビューで「かつて無い経済への大きなショック」からの回復は時間のかかるもので、ワクチンの開発がどれだけ早く行われるかにもよるが、「2021年末までかかる可能性がある」と答えていました。
なお、英国のイングランド銀行のチーフエコノミストのAndy Haldane氏は、パンデミックを抑えるためのロックダウンとコロナ危機による失業による経済のダメージを緩和するためのマイナス金利は選択肢であるかもしれないと述べていました。
このコメントでポンドは為替市場で一時6営業日連続の下げ傾向となっていました。
「この混沌(ヵオス)や混乱野中、金ETFに資金が流入しているのは驚くべきことではない。」とコメルツ銀行のレポートは述べています。
「ヘッジファンドがもしこの勢いに乗ったのなら、金は1800ドルへと上昇するだろう。」と続けています。
先週金曜日に世界の金ETFの残高総量は16営業日連続で増加していることをブルームバーグは伝えていました。そして、金のETFとして最大のSPDRゴールドシェアと第2位のiShareゴールドはともに先週週間で8週連続の増加を記録していました。
SPDRゴールドシェアは年初から25%増の1113トンと7年ぶりの高さ、iShareゴールドはやはり年初から20%増の434トンと史上最高値を付けています。
そのような中、コメックスの金先物・オプションのロングポジションは1%未満増加したに過ぎず、ショートポジションは148%増加し、ネットロングポジションは6ヶ月ぶりの低さへと減少していました。
世界最大の金消費国である中国における金価格も、人民元建てで本日グラムあたり399元と最高値を付けていました。
この高値と人民元が為替市場で下げていたことから、上海黄金交易所の価格とロコ・ロンドンの差は-16ドルと一月ぶりの低さとなっていました。
他の貴金属価格は、銀価格が月曜日に4.6%上げのトロイオンスあたり17.41ドルと3月初旬以来の高値を付け、金銀比価を101と2ヶ月ぶりの低さへと銀割安を解消していました。
プラチナ価格もまた本日ロンドン昼過ぎに4.2%高のトロイオンスあたり829ドルと2ヶ月ぶりの高さを付けていました。