金価格ディリーレポート(2020年5月11日)金先物がネットロングを減少させ、金ETFが記録的な規模に増加する中で、コロナ感染第2派の警戒で金相場は1700ドル前後から動かず
金相場はロンドン時間昼過ぎにトロイオンスあたり1700ドル前後を推移していました。
この間欧州株価と原油価格は経済活動が開始した地域で新型コロナウイルスの感染第2派の発生が伝えらて下げていました。
そして、ドルインデックスは0.3%強含み、米長期金利が多少ながら上昇していました。
「投資家が長期的視点から金のETFを購入している間に、価格の動きに繊細なヘッジファンド等のレバレッジ効果を求めるファンドは、金がトロイオンスあたり1700ドルから動かないことを警戒している。」とSaxo Bankのコモディティ・ストラテジストのOle Hansen氏はコメントしています。
最新のデータによると、先週火曜日5日までに金の先物・オプションの資金運用業者は強気ポジションを減少させ、弱気ポジションを増加させていました。そのために、ネットロングポジションは6ヶ月ぶりの低さへと減少していました。
なお、資金運用業者は銀の先物・オプションのネットポジションも先週火曜日に10ヶ月ぶりの低さへ減少させていました。
その間、金を裏付けとするETFの残高は増加しており、SPDRゴールドシェア(GLD)とiShare ゴールド(IAU)はともに7週間連続で週間の上昇を記録していました。
世界最大の金ETFのGLDの残高は1081トンと2013年4月以来の高さとなり、第2規模のIAUは史上最大規模の428トンとなっていました。
また、先週ワールドゴールドカウンシルによって発表された最新のレポートによると、世界の金を裏付けとするETFは全体で4月に170トン、評価額で93億ドル(5.1%増)増加させて、史上最高の3355トンとしていました。
なお、移動制限が解かれた韓国と中国で新型コロナウイルスの集団感染が再び発生していることが伝わっています。また、ドイツでも、Robert Koch研究所によると新たな感染率の増加が見られていることが伝えられています。
そこで、Stoxx Europe 600指数は午前中の上昇分を失い下落していました。また原油価格も、過去2週間に上昇していたベンチマーク価格が下落していました。
それに対し、MSCI Asia Pacific指数は、中国の中銀が新たな経済刺激策を示唆したことで0.7%上昇していました。
世界株価は過去数週間に世界の経済活動開始を好感して上昇をしていました。それは、先週金曜日の米国雇用統計の第2次世界大戦後最悪の失業率14.7%にもかかわらず上昇するなど、経済指標の不振の中での堅調な株価の傾向は続いています。
「(失業率は)実際には23~24%だ。そして、私が予想するように緩やかな回復となるのであれば、これらの人々はさらなる助けが必要だ。」とミネアポリス連銀のカシュ仮総裁は述べていました。
なお、先週市場を揺らした米中の新型コロナウイルス感染拡大の責任を巡る米中関係の緊張は、先週金曜日に2020年1月に署名した貿易協議の「第1段階合意」を巡って電話で協議したと伝えられていたものの、本日トランプ大統領が再びその関連のリツィートを行っていました。
ユーロ建て金相場は本日昼過ぎに0.1%高のトロイオンスあたり1571ユーロで、ポンド建て金相場は0.8%高の1382ポンドを推移していました。
英国においては、昨日日曜日にボリス・ジョンソン首相が、外出制限を条件付きで緩和することを発表していましたが、その内容が明瞭さに欠け、混乱を生み出したとの批判も受けていました。本日午後にはさらなる詳細が発表される予定です。
なお、上海黄金取引所のロコ・ロンドンとの価格の差は、本日一月ぶりの低さのトロイオンスあたり30ドルを割る水準まで狭まっていました。これは、先週の週間平均が一月で最も低い35ドルへと下げた後のことでした。
他の貴金属価格では、銀がトロイオンスあたり15.51ドルと先週末から0.3%上昇し、プラチナ価格は0.4%高のトロイオンスあたり768.21ドルを付けていました。