金価格ディリーレポート(2020年4月20日)ドルが高止まりし、株価が下げ、原油が急落する中で金は堅固に動く
金価格はロンドン月曜日昼過ぎにほぼ横ばいながら堅固に動いています。
この間株式市場は先週の上昇基調を失ってまちまちで、原油価格は21年ぶりの低さへと下げていました。そして、トランプ政権は新型コロナウイルスの外出制限に抗議行動を起こした一部の州に対して「開放すべき」とツィートしていました。
他の主要通貨との価値を表すドルインデックスは、コモディティ価格や世界株式市場が下げる中で、高止まりをしており、金相場はトロイオンスあたり1687ドルと頭を押さえる事となっていました。なお、先週金相場は7年ぶりの高値を付けた後に3.8%下げていました。
原油先物価格は月曜日に、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近の5月物が一時1バレル14ドル台へと下げるなど、1999年3月以来の低い水準となっていました。これは、新型ウイルスのパンデミックで需要が急減していることに加え、ロシアを含むOPEC+が供給削減に合意したものの、米国内の貯蔵施設の供給過剰への対応に苦慮していることが要因となっています。
コメックス金先物価格は0.3%高のトロイオンスあたり1703ドルと、ロコ・ロンドン現物金価格との差をトロイオンスあたり16ドルへと縮めていました。これは、先月ロンドンがロックダウンに入った直後には記録的な100ドルまで広がっていました。
「リスクマネジャーが大きなポジションを保有することを許していないと推測します。当初の現物自体を(移動制限がある中で)補給できるのかという懸念からリスク懸念へと動いているようです。」とワールドゴールドカウンシルのチーフ市場ストラテジストJohn Reade氏は述べています。
「ロンドン地金市場は、ロンドン以外の地金市場でのデリバリーを認める必要があります。新型コロナウイルスのパンデミックへと感染が世界的に拡大したことは、移動制限を更に厳しくしています。」とロンドン貴金属市場協会のCEOのRuth Crowell氏はブルームバーグのインタビューで答えています。
「私達は他の金融市場について世界の異なる国の保管場所における決済について協力をすることを協議し始めたところです。」と続けています。
上海黄金交易所における金価格は、ロコ・ロンドン現物金価格と本日もトロイオンスあたり55ドルのディスカウントとなっていました。これは、世界最大の金の消費国の中国で先週史上最大のディスカウントを3営業日連続で更新してトロイオンスあたり70ドルに達した後のことです。
本日中国の中央銀行は、先週GDPが1992年以来初めてマイナス値となったことが発表されていたこともあり、新型ウイルスによって打撃を受けた経済を立て直すために、予想通り今年2度めの利下げを行っていました。
米国においては民主党と共和党のトップが新型コロナウイルスによって打撃を受けている中小企業向けの追加支援を巡り合意に近いとトランプ大統領は日曜日に述べていました。
米国における新型コロナウイルスのよる死亡者数は昨日4万人を超えて、世界最大となっていました。
新たな感染者数と死亡者数が減少している欧州においては、EUが共同で経済刺激策を打ち出すことが話し合われていますが、このユーロ建て金相場は0.4%高のトロイオンスあたり1554ユーロへと上昇していました。
ポンド建て金相場もまた、0.7%高のトロイオンスあたり1357ポンドへと上昇していました。本日は英国政府の経済対策の一つである、休業を余儀なくされる従業員の給与を80%、一人あたり月2500ポンドを上限に政府が補助をするFurloughスキームのオンライン登録が開始されていました。
この登録は開始30分で67000人の請求が提出されています。
他の貴金属においては、銀価格はトロイオンスあたり0.2%高のトロイオンスあたり15.22ドル、プラチナはほぼ横ばいでトロイオンスあたり776ドルを推移していました。