金価格ディリーレポート(2020年10月19日)Brexit協議の楽観論でポンドが強含み、米刺激策合意観測のドル安で金価格上昇
ロンドン時間昼過ぎに金価格はトロイオンスあたり20ドル上昇後15ドル戻して推移しています。
これは、Covid-19のワクチンと米国の追加経済対策への期待感、そして、英国がBrexit協議で妥協する徴候があると伝えられてポンドとユーロが強含み、ドルが押し下げられたことからでした。
そこで、本日現物金地金価格は一時1918ドルへと上昇後に1905ドルまで下落していましたが、先週のドル建て価格での0.9%の下げ幅は多少回復して推移していました。
これとは対照的に、英国とユーロ圏の投資家向けの金価格は、英国政府が、12月末のEUからの最終的な離脱に向けて、EUの交渉担当者との妥協点を見つけるために、物議を醸している「Internal Markets Bill」を一部修正する準備をしているとの報道を受けて、それぞれの通貨が為替市場で強含んだことから、トロイオンスあたり1470ポンドと1622ユーロと横ばいで取引されています。
「ロイター通信によると、シンガポールのOCBC銀行のエコノミスト、ハウイー・リー氏は、「金は直近では1900ドル台で慎重に取引されると予想している。これを大きな影響を与えるものは、米国の追加経済対策が48時間以内に合意に至るかということだ。」と ロイター通信社は引用していました。
米下院議長のナンシー・ペロシ氏は日曜日、トランプ米大統領を含む民主党と共和党の政治家との間の取引は、48時間という期限内に合意できれば、11月3日の大統領選挙までに施行される可能性が残っていると述べていました。
週末の米国の刺激策協議の新展開を前に、金ETFの最大銘柄のSPDRゴールド・シェア(NYSEArca: GLD)は金曜日、投資家による更なる売却を見て、木曜日の0.1%減の後に0.3%残高を減らしていました。
これにより、先週のGLDは全体として0.1%上昇したものの、8月に金価格が史上最高値を記録して以来、11週のうち6週で縮小しており、この残高は2012年末の記録を6%下回っていました。
これとは対照的に、世界第2位の金ETFであるiShareゴールド(NYSEArca: IAU)は先週0.7%上昇し、3日連続でその残高の史上最高値を更新していました。
週間ベースでは、IAUはGLDよりも安い金ETFであり、現在はGLDの40%の規模ですが、3月のCovid-19感染拡大で欧米で行われたロックダウン時の現金化の売り以来、その残高は縮小していません。
先週末発表されたデータによると先週火曜日までに、ヘッジファンドやその他の投機トレーダーの資金運用業者は、コメックスの先物・オプションで金に対する強気ポジションを16ヶ月ぶりの低い水準に切り下げていました。
米国の規制当局CFTCに報告された数字によると、この間ネットロングポジションは前週から8.5%減少し372トン相当に減少し、2019年6月以来最小規模になっていました。
コメックス銀へのネットロングポジションも減少し、過去12カ月平均よりも約5%小さい8週間ぶりの低さに下落していました。
iShareの最大銀ETFのiShareシルバー(NYSEArca: SLV)の残高は先週0.6%増加していましたが、銀価格が7年ぶりの高値を迎えた8月以来、2週目の上昇にとどまっていました。
SLVの残高は、8月中旬の新たな史上最高値から2.3%を縮小していますが、ワシントンに本拠地を置く銀鉱山会社の業界団体であるシルバーインスティテュートによって発表された分析によると、シルバー宝飾品用途、銀地金や銀貨の需要の激減を相殺する規模となっています。
そして、金の世界第2の消費国であるインドの金の宝飾品需要は、Covid-19がもたらした消費者の家計への悪影響により、今年上半期に118トンに急落したとEconomic Timesが報じていました。
これは、過去5年間の平均年間需要が582トンであったことから、急激に減少したことが明らかですが、宝飾品を扱うディーラーは、特に来月の重要なディワリ祭を控えて、インド国内のロンドン価格のディスカウントは、金曜日にムンバイとアーメダバードで トロイオンスあたり1ドルにまで減り、先月初めの44ドルの急騰から下落したことからも、将来の需要増を期待していると伝えられていました。
金の世界最大の消費国である中国では、1グラムあたり403円で月曜日に堅固に推移しており、また、ロンドン受け渡しの金価格との差は、トロイオンスオンスあたり27ドルへと 7月以来の最小値となっていました。 またこれは、人民元が対ドルで2019年4月以来の強さとなっていることからも、国内の金買い需要が上昇していることも示唆しています。
本日発表された公式データによると、中国の国内総生産は第3四半期に前年同期比4.9%増と予想は下回っていたものの、全四半期よりは高い数値となり、工業生産高の堅調な伸びと小売売上高の加速によってセンチメントが助けられていました。
ロンドン時間昼過ぎに銀価格は、本日2.6%高でトロイオンスあたり24.79ドルと先週の0.4%上昇より更に上げていました。それに対してプラチナは、先週行われた2.1%下げていたものの、本日1.4%上昇しその下げ幅の半分以上を取り戻し、トロイオンスあたり878ドルを付けていました。