金価格ディリーレポート(2019年12月9日)金価格はFOMCとECB金利発表、英総選挙、米大統領弾劾審議、米中追加関税デットラインを前に「方向性が掴めず」
月曜日は今週の多くの重要イベントを前に「方向性が掴めない」状況でスタートしました。
金価格は、米国とユーロ圏の中央銀行の金融政策会合、トランプ大統領弾劾に関する継続審議、英国総選挙、そして米中貿易協議の新たな関税発動の日程が迫るなどと、多くのイベントを前に月曜日昼過ぎに金曜日の大幅な下げから0.2%と緩やかに上昇しています。
現物金地金は、欧州株式市場がアジア株式市場の上げ基調を受け継ぐことができず下げる中で、トロイオンスあたり1463ドルへと上げたものの、先週水曜日の4週間ぶりの高さからは20ドル下げています。
原油価格は先週サウジアラビアが率いるOPECプラスの減産拡大期待から堅調な展開であったものの、本日発表された中国貿易統計で輸出が前年比1.1%減と4か月連続のマイナスを記録し、月曜日に下落しています。
「トレーダーは、今週のイベントを前に、方向性を掴めずにいます。」とインドのGeojit Financial ServiceのHareesh V氏は述べています。そして、ドルが弱含んでいることは、金のサポートとなっていると追記しています。
金曜日の良好な11月の米雇用統計後の金価格の下げは、金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高を0.3%減少させて3か月ぶりの低さへと下げていました。
それに対し、先週火曜日までのコメックスの金先物・オプションの資金運用業者の強気ポジションは増加し、弱気ポジションは減少していました。
そのために、このネットロング(強気)ポジションは、10%増加し、705トンと、4か月ぶりの高さで、9月のピークからは22%減まで増加していました。
この間、米国の金利を予想するCMEのFedWatchツールでは、今週の今年最後の政策金利発表で金利が据え置かれると97.3%が予想し、残り0.7%は利上げを予想していました。
銀価格は、金曜日の4か月ぶりの低さをほぼ維持し、トロイオンスあたり16.64ドルと、先週の1か月ぶりの高さから3.9%下げていました。
また、プラチナ価格は月曜日昼過ぎまでで0.3%上昇し、トロイオンスあたり899ドルへと達したものの、先週の高値からは2.9%下げていました。
ユーロ建て金価格は、今週木曜日に、前IMF専務理事のラガルド氏がECB総裁として初の金融政策発表会合に臨む中で、トロイオンスあたり1320ユーロと横ばいで推移していました。
英国は今週木曜日に、ボリス・ジョンソン首相の「ブレグジットを遂行」というスローガンと野党コービン党首の1983年以来もしくはそれ以前から最も強硬左派的マニフェストを選択することとなります。
その様な中で、ブックメーカーが与党保守党勝利をほぼ確実と予想する中で、ポンド建て金相場は、ポンドが7か月ぶりの高さへ対ドル上昇し、対ユーロでは2.5年ぶりの高さへ上昇する中で、トロイオンスあたり1111ポンドとほぼ横ばいで推移していました。
来週日曜日には、米国が中国へ追加関税を課すデットラインが、両国によって何らかの合意がされない限りは来ることとなります。
トランプ大統領の弾劾審議は、本日はこの抗議をする人々がトランプ氏の弾劾追訴手続きを進める民主党議員を「反逆者」と呼ぶなどし中断されていました。
本日ウクライナのコメディアン出身のヴォロディミル・ゼレンスキー大統領はロシアのプーチン大統領と会見し、2014年にロシアがクリミアを併合して以来、ウクライナ軍とロシアがサポートする親ロシアは勢力との紛争が続いている東ウクライナ問題を可決すべく話し合いがもたれています。