金価格ディリーレポート(2019年11月11日)トランプ大統領が米中部分合意を否定しながらも金は3か月来の低値からの上げ幅を失う
金相場は、米中貿易協議の先行き不透明感と香港情勢悪化から、先週付けた3か月ぶりの低値からの0.5%の上げ幅を、ロンドン時間昼過ぎにほぼ失っていました。
金現物価格は、先週金曜日にS&P500種で史上最高値を付けた米国株式市場が週明け始まる前に、トロイオンスあたり1466ドルまで上昇したものの、その上げ幅を失いさらに下げていました。
先週米長期金利は7月末以来の高さを維持する中で、ドルインデックスは数週間ぶりの高へと上げていましたが、本日は多少ながら下げ、米国債市場は退役軍人の日で休場となっています。
銀価格もまた、先週の3か月ぶりの低値から0.5%月曜日朝に上昇していたものの、金と共に下げてトロイオンスあたり16.80ドルとさらなる下げを見せていました。プラチナ価格は、トロイオンスあたり882ドルと3週間ぶりの低さからさらに下げていました。
「金価格は直近の低値からのテクニカルな上げを見せていますが、香港の地政学リスクがそれを後押ししていました。」とロイター通信へのインタビューでアジアのディラーがコメントしていました。
世界最大の金のETF銘柄のSPDRゴールドシェアは、金価格が大幅に下げた先週金曜日に8週間ぶりの低さへと残高を減少させていました。またこの下げ幅は、2016年12月1日以来最大のものでもありました。
トランプ大統領は週末9日に米中貿易協議に関して「とても良い具合」で進んでいると述べたものの、米国にとって良い合意であった場合のみ合意するともコメントしていました。そして、先週伝えられていた関税の一部撤廃については否定し、中国の経済は「卵のよう」で、「つぶす」ことに成功しているとも述べていました。
本日中国国家統計局が発表した10月の生産者物価指数は前年比1.6%低下と、2016年7月月以来の大幅なマイナスとなっていました。それに対し、10月の消費者物価指数は前年比3.8%上昇と2012年1月以来、ほぼ8年ぶりの高い伸びを示していましたが、これは、アフリカ豚コレラの影響で、統計局によると10月の豚肉価格は前年比で2倍超に跳ね上がり、この上昇の60%以上を占めていました。
また、香港情勢への警戒感の高まりで本日アジア株は全般下げて、本日アリババが11年目を迎えた「独身の日」セールで310億ドルと史上最高値を付ける中で、8月以来の低さとなっていました。
反政府運動はレバノンやイラクでも高まっており、国連はボリビアの抗議運動の激化に対して懸念を表明していました。同国では先週末に反米左派のモラレス大統領が辞任に追い込まれていました。
ユーロ建て金相場もまた、ドル建て同様に午前中の上げ幅を失って下げていました。
ユーロ圏のニュースとしては、スペインのやり直し総選挙が10日に投開票され、サンチェス首相が率いる中道左派の与党、社会労働党は下院で第1党を守ったものの、ただ首相続投に必要な過半数にはまたも届かず、政治の混迷が長期化する恐れが高まっていました。
また、ポンド建て金相場は、ナイジェル・ファラージ・ブレグジット党首が、本日ロンドン時間昼過ぎに、既存の保守党議員の選挙区に候補者を立てず、労働党や他の党が持っている選挙区に候補者を立てて議席を奪うと方向転換をしたことから与党保守党が有利になるとの見方から、ポンドが強含みトロイオンスあたり1135ポンドまで大きく下げていました。
それに加え、本日ムーディーズが、ブレグジットの悪影響による歳入減少や健全財政へのコミットメントが困難となることへの懸念から英国国債をネガティブアウトルックへと下げていました。