金市場ニュース

金価格ディリーニュース(2023年7月24日)コメックスの金先物の強気ポジションが急増し、金ETFの残高が増加する中で、FRB、ECBの政策金利発表前の経済指標悪化で金は堅固な動きとなる

今週行われる米国FRB、欧州中央銀行(ECB)、日本銀行の主要な中央銀行会合を前に、欧州の製造業とサービス業の経済指標は悪化したことから、金地金はユーロと英国ポンド建てで上昇した一方で、金価格は米ドルが上昇する中で堅調に推移していました。
 
そして、週末発表されたデータでは、コメックスの金派生商品を取引する投機筋は、 3月中旬の米国の地方銀行危機以降で最も貴金属への強気姿勢を強めており、 5月初旬に金が史上最高値を記録した時の水準に戻っていたことが明らかとなっていました。
 
また、 金ETFの金を裏付けとする上場投資信託も先週残高を増加させ、投資家の資金流出を食い止めていました。
 
コメックスの金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションと金価格の推移 出典元 ブリオンボールト
 
先週火曜日までの7日間で、ヘッジファンドやその他のレバレッジを効かせた投機家は、コメックス金先物・オプションにおいて、グループとして3週連続で強気ポジションを増加させていたことが、米国の規制当局であるCFTCの最新データから明らかとなった。
 
資金運用業者のネットの投機的ロングポジションは、前週比35%拡大し、3月中旬以降で最も早いペースで週間の増加を見せ、金価格がトロイオンスオンスあたり2078ドルと史上最高値を更新した直後の5月上旬以降で最大となっていましたが、その規模は未だ2019年秋に記録した史上最高値の半分以下にとどまっていました。
 
世界最大規模の金ETFであるSPDRゴールドシェア(NYSEA:GLD)とiShareゴールド(NYSEA:IAU)も先週、残高を週間での増加とし、それぞれ4週間ぶり、7週間ぶりに残高をネットで増加させていました。
 
本日ロンドン時間昼過ぎに、米ドル建てで取引された金は0.2%上昇しトロイオンスあたり1966ドルとなった一方、スポット市場での英国ポンド建て金価格は0.4%上昇し1532ポンド、欧州の投資家は0.5%上昇し1773ユーロとなっていました。
 
S&Pグローバルの7月購買担当者景気指数(速報値)が、工場大国ドイツで製造業が2020年春のコロナ危機以来最悪のペースで落ち込んでいることを示し、サービス業の成長が地域全体で大きく鈍化したことを受けて、欧州の共通通貨と英ポンドはともに対ドルで2週間ぶりの安値をつけていました。
 
しかし、ユーロ圏と英国の国債価格は上昇し、利回りを押し下げていました。
 
水曜日の米連邦準備制度理事会(FRB)と木曜日の欧州中央銀行(ECB)の双方による25ベーシスポイントの利上げが確定的な様相を呈しており、パウエルFRB議長とラガルドECB総裁が金利見通しについてどのような発言をするかが焦点となると市場は見ています。
 
「FRBが今月以降の追加利上げを見送るという市場の予想に信憑性を与えるなら、 金地金の強気派が2000ドルへとハンドルを切り返す助けになるかもしれない」と、エグニティ・グループのチーフマーケットアナリスト、ハン・タン氏は述べていました。
 
「しかし、もしFRBが利上げ打ち切り観測に冷や水を浴びせるようなことがあれば、金地金は最近の上昇をさらに戻し、1900ドル台前半まで失速する可能性がある。」と続けていました。
 
年間需要の60%近くが工業用である 銀の価格、ロンドン市場では先週金曜日の終値24.63ドルを多少上回る水準に頭を抑えられていました。
 
プラチナは、自動車触媒に代表される工業用途が需要の3分の2を占めており、前週終値比0.2%高の966ドル前後を推移していました。
 
しかし、ガソリンエンジンから排出される二酸化炭素を削減するための自動車触媒が最終需要の5分の4以上を占めるパラジウム相場は、0.1%安のトロイオンスあたり1295ドルとなっていました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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