金価格ディリーニュース(2022年8月15日)タカ派的FEB高官のコメントで金は前週の上げ幅を失うものの、景気後退示すデータがサポートとなる 2022年8月15日 月曜日 16:33 本日金相場は、今週の米中央銀行の最新の政策会議議事録の公開を前に、連邦準備制度理事会の政策決定者がより「タカ派」なコメントをし、強含む米ドルに対して1週間ぶりの安値に沈んていました。 本日昼過ぎに発表された米国の主要経済指標のニューヨーク連銀製造業景気指数は、2020年春のコロナ危機以来の 最悪の数値であったことから、金地金価格は落ち着きを取り戻していました。 また、この間中国の中央銀行は、世界第2位の経済大国の経済指標データがアナリストの 予測を下回っていたことからも、予想外に主要な金利を一晩で引き下げていました。 これにより金地金現物価格は、前週4週間連続で上昇して金曜日に1ヶ月ぶりの高値をつけた後に、本日ロンドン時間昼過ぎまでに1.4%下落してトロイオンスあたり1777ドルまで下げ、ユーロ建てと英国建ての金価格においては、1740ユーロと1470ポンドと、これら通貨建てで前週の上げ幅をほぼ失っていました。 ドルインデックスは、米国通貨の主要通貨に対する価値を示す指標ですが、前週水曜日7月の米国の インフレデータが予想を下回ったことを受け、6週間ぶりの安値をつけた後に、金曜日にはその下げ幅を縮めて、本日もその基調を受け継いで上昇していました。 一方、政府機関や多くの金融機関、企業の借入コストの指標となる米国10年債利回りは年率2.8%を下回る水準へと下げ、2年債利回りも水曜日に発表される連邦公開市場委員会の議事録を前に3.2%を下回る水準と、長短金利のイールドカーブは大きく反転した水準を維持していました。ちなみに、 過去6回の米国経済不況の際には、いずれもこの現象が起きていました。 先週の金曜日、今年のアメリカ中央銀行の政策チームの投票メンバーであるリッチモンド連邦準備制度理事会のトーマス・バーキン議長は、「私は、コントロールされた インフレが持続する期間を見たい」と述べていました。 そして、先週のインフレデータが軟調であったにもかかわらず、「そうなるまでは、金利を制限的な領域に引き上げ続けるしかないと思う」と述べていました。 今年投票権を持たないサンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁は先週、「必要なのは(単に)良いインフレ報告ではない」と述べていました。 「それは励みになるが、我々が本当に望む目標の証拠にはならない...(FRBが) インフレを大幅に下げ、物価安定の目標を達成する道を歩んでいることを示すことが必要」と述べていました。 消費者物価上昇率は2021年3月にFRBの目標ペースである2.0%を上回り、今年6月には9.0%まで上昇し、40年以上ぶりの高水準となっていました。 7月のヘッドラインCPIインフレ率は8.5%に低下し、2020年4月のエネルギーおよびその他の工業商品価格のコロナ危機以来最も急減速していました。 鉱業界のワールド・ゴールド・カウンシルのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ジョン・リード氏は今朝、「サプライズ利下げを促した弱い中国経済データが、 金の売りの背景にあり、商品全般に対するセンチメントを弱めているようだ」と語った。 国家統計局(NBS)によると、中国の7月の工業生産高は前年同月比3.8%増となり、6月から鈍化し、アナリストが予想した4.6%増を下回る結果となっていました。 小売売上高は、新たな「ゼロ・コロナ」政策のロックダウンを受け、また中国の不動産危機が深まる中で、6月にようやく増加に転じたばかりでしたが、前年同月比2.7%増とこれも6月から減速し、5.0%増というコンセンサス予想に届いていませんでした。 また、中国が世界最大の原油輸入国であることから、原油価格は3.6%以上下落し、金曜日の下げ幅を拡大させていました。 銀価格は、年間需要の60%近くが工業用であることから、月曜日の昼過ぎには2.5%下落し、トロイオンス20.30ドルとなっていました。 また、工業用途が6割を占めるプラチナも3.3%下落の934ドルとなり、パラジウムも最終需要の5分の4がガソリンエンジンからの二酸化炭素排出を削減するための自動車触媒に使われることから、2.1%下落の2170ドルとなっていました。 中国のニュースを続けると、米国議員の代表団が日曜日に台湾を訪問し、15日に蔡英文総統と会談していました。これは、今月初めのナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問に続くもので、米中関係は緊張を高めている中のことでした。 中国大使館は日曜日に、「米国議会のメンバーは、米国政府の一帯一路の政策と一致するように行動すべきだ」と述べ、「米国は台湾海峡の安定を望んでおらず、対立をあおる努力を惜しまないことが改めて証明された」と続けていました。 世界第3位の経済大国である日本のデータも、月曜日にアナリストの予測を外していました。それは、第2四半期のGDPデータで、年率2.2%の成長と、予想の2.5%を下回るものとなっていました。これは、エネルギーコストの高騰を背景に為替市場で円が最近急落しているにもかかわらず、物価は未だデフレ水準となっていることが背景となっていました。