金価格の高騰で世界2大金消費国の需要が減少 水曜日, 4/20/2022 13:08 金の需要は2021年の急増後に中国とインドで減少していました。 ロシアのウクライナ侵攻に伴う金価格の高騰は、貴金属の消費国世界2大国での消費者による需要を低下させることとなりました。 これは、2021年に数年来の高い水準へ達した後のことでした。 中国とインドの宝飾品、コイン、投資用金地金の需要は、世界の消費者による金購入量の半分以上を占めています。 昨年、世界の 金価格が上昇して12ヶ月ぶりの記録的高さとなったにもかかわらず、この2大国の消費者の需要は、前年の歴史的なコロナ危機下のロックダウン時の消費低迷を補う以上の高い水準となり、2020年と2021年のそれぞれの金に対する年間平均支出額は、2大消費国で820億ドル相当となったのでした。 これは、金鉱業界を取りまとめるワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が発表したデータによると、コロナ危機以前の10年間の年間平均800億ドルをわずかに上回っています。 しかし、このようなコロナ禍の金買い控えを取り戻す需要が既に起こった後に、ロシアのウクライナへの侵攻によって、2月末から3月初めにかけて金価格が急騰すると、「中東やアジアの価格弾力性のある国々での金の現物需要は(その後)急激に反転した」と、グローバルブローカーのStoneX社の分析は解説していました。 「現物需要がなくなるだけでなく、東南アジアの多くで金の売却の波が発生した」と分析しています。 最も注目すべきは、インドの金価格が、ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、世界の標準価格に対して 急落していることです。これは、2021年末の記録的なドル建て金価格高騰後、貴金属の世界第2消費国の需要と供給のバランスが2020年半ばよりも崩れて、新規輸入が抑止されたことを示唆しています。 金地金の輸出が禁止されている中国で産出された金地金も、同様に世界の相場より割安で提供されています。しかし、3月初旬に金地金が急騰した際は1オンスあたりわずか8ドル、現在はブリオンボールトがまとめたデータでは5ドルを下回っており、他の国へ輸出できない中で過剰供給状況に陥っていることが分かります。 WGCの中国担当シニアアナリストのRay Jia氏は、「価格が上昇し、需要が弱まる中で、上海黄金交易所(SGE)からの金の引き出しは、金地金が世界一の金消費国に入る唯一の合法的なルートであり、3月には前年比で大幅に減少した」と述べています。 中国の主要都市で実施されたロックダウンの影響を指摘し、中国の新年の買い物や贈答を含む重要な期間である1月から3月は、「(SGEを通じた)金の卸売需要が過去10年で2番目に弱い第1四半期となった」とJia氏は述べています。 一方、2021年の第1四半期は、中国と香港の家庭で、過去最高だった2013年を除く四半期で最も多い165億ドルの金の消費を記録しています。 中国の公式卸売価格の2022年1月から3月までの平均は1グラムあたり385円で、2020年第4四半期以来最も高く、2020年第3四半期に記録した平均をかろうじて7%下回っています。 インド国内の金価格は、2020年と2021年の年間平均記録からさらに上昇し、 2022年は今のところ10グラムあたり49,000ルピー以上に達し、インドで最も金を買う地域である 南西沿岸部のケララ州では54,000を超える過去最高値を更新しています。 しかし、輸入税とGST売上税を考慮すると、インドの金塊ディーラーは、貴金属が3月初旬に一時トロイオンスあたり2000ドルを超えた際に、金地金の保管と取引が行われる世界の中心の市場であるロンドンの相場と比較してトロイオンスあたり90ドルという大規模なディスカウントで金地金が販売されていました。4月初旬にはこのディスカウントを40ドルへと下げ、世界の標準価格が下げたことで先週は 12ドルまで下げていると、ロイターは伝えています。 ムンバイの卸売業者RiddiSiddhi BullionsのMukesh Kothari氏は、金の購入シーズンとしてより重要となり、しかしコロナ禍のロックダウンで大きな影響を受けていた、春の祭典であるアクシャヤトリーティヤを前にして、「需要は徐々に改善しているが、価格上昇は小売業者にとって大きな抑止力になっている」と述べています。 「価格上昇は、今後の祭りや結婚式のシーズンにおける 需要を損なう可能性がある」と銀行のディーラーは同意しています。 国際通貨基金(IMF)は、世界の国内総生産の成長率の見通しをインフレの急騰から今年3.6%、来年3.6%へとそれぞれ4.4%と3.8%から下げる中で、2021年の中国とインドの経済成長率を下方修正し、 2022年と2023年の見通しも大幅に引き下げたと発表しました。 「原油価格の上昇が民間消費と投資を圧迫すると予想されるため、一部内需の弱さを反映している」としながらも、1月の予測から2022年は中国が0.4パーセンテージポイント、インドが0.8パーセンテージポイントの引き下げ、ロシアに対しては11.3パーセンテージポイントへと下げ、ユーロ圏19カ国のIMFによるGDP予想の1.1パーセンテージポイントの引き下げによるものでした。