ニュースレター(2021年12月30日)2021年の金市場のまとめ
今週も引き続き休暇をいただいていますが、2021年のまとめを中心に簡易版のニュースレターをお届けします。新年は7日から通常通りニュースレターをお届けします。
週間市場ウォッチ
今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1806ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.07%安とほぼ同水準となっています。この間銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり22.97ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から1.35%高とLBMA価格ベースで3週連続の上昇となっています。そして、プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では967ドルと0.3%安となっています。
今週の金・銀・プラチナ相場の動きの概要
今週はクリスマス後新年を前に薄商いで長期金利や株価の動きに反応する動きとなっていますが、本日は2021年最後のニュースレターであることからも、年間の価格の動きについてそれぞれまとめてみましょう。
そこで、LBMA価格ベースにおいて、金、銀、プラチナ価格の2020年と2021年の最高値、最低値、平均値、及び年初から年末の%変化をそれぞれ記載してみましょう。
最高値と再低値の数値を見ると、2021年は2020年のコロナ危機による価格の上下差と比較して、高値も限られていましたが、低値も全ての貴金属でより安定していたことが分かります。
次に年平均価格の比較を見ると、2020年に貴金属価格がコロナショックで大きく下げたことから、2020年の平均値と比較して2021年は全ての貴金属、特に銀とプラチナで大きく上昇していたことが分かります。
しかしながら、昨年末の価格と比較すると、全ての貴金属で下げていることもご覧いただけます。
これは、年間を通じて世界株価が最高値を更新し続けるなどと株式市場が好調であったこと、米中央銀行の金融緩和縮小観測等が背景にありますが、貴金属市場から資金が流出していたことは先物・オプション市場のポジション、そして貴金属を裏付けとする上場投資信託(ETF)の残高の減少からも見ることができます。
そこで、詳細は下記のその他の市場ニュースでまとめていますが、金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションの推移と金を裏付けとする上場投資信託(ETF)の最大及び第2規模のSPDRゴールドシェアとiShareゴールドの残高の推移を示すチャートを添付します。
金先物・オプションのネットロングポジションは昨年末と比較すると38%減で、銀においては77%減、プラチナとパラジウムに関してはネットロングからネットショートへと転換して年末を迎えています。
また、金を裏付けとするETFの最大銘柄と第2規模の銘柄のSPDRゴールドシェアとiShareゴールド共に昨年末から16.8%、6.5%減となっており、昨年の金価格を最高値に押し上げた一つの要因とも見られている、それぞれ31%、46%増とは大きく異る傾向を示しています。
日々の金相場の動きと背景について
前回17日のニュースレター以降の金市場の動きについて簡単に下記にまとめます。
12月20日の週は24日金曜日までに薄商いの中で緩やかに上げて、トロイオンスあたり1808ドルと0.6%高で終えていました。
この間週初めは株価がオミクロン変異型への懸念で3営業日連続で下げていたことと長期金利が下げていたことも金を押し上げていました。
週半ばでは株価が反発する中でドルと長期金利が上昇してトロイオンスあたり1785ドルまで押し下げられていました。
週後半はオミクロン変異型への懸念が、感染による入院や重症化リスクが低いというレポートが発表されて後退し、株価が戻す中でドルが下げていたこと、また米個人消費支出のデータで4.7%と40年ぶりの高さからもインフレ懸念もあり金を押し上げることとなりました。
今週27日からの金相場は、欧米の多くの市場参加者がクリスマスから新年まで休暇を取り薄商いである中で、米長期金利の動きに反応してトロイオンスあたり1789ドルから1820ドルのレンジで動くこととなりました。
また、オミクロン型による感染者数急増の懸念はあるものの、本日発表の米新規失業保険申請件数が減少するなど明るいニュースもあり、長期金利が下げて金は上昇しているものの、今年全般好調な株価において、クリスマス後年末に相場が上がる「サンタラリー」への期待もあり、その上げ幅は限定的となっている模様です。
その他の市場のニュ―ス(それぞれの金融商品の2021年のまとめ)
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コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のポジションは、前年に比較して全般弱気傾向が際立つこととなった。
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コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、12月21日の週までで前年末から38%減で263トン。年平均は280トンと前年の538トンを48%下回った。5年平均は366トン。建玉においては、平均が前年比34%下回っていた。 -
コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、12月21日の週までで前年末から77%減の1727トン。年平均は4384トンで、前年比5599トンを22%下回った。ちなみに5年平均は4014トン。 -
コメックスのプラチナ先物・オプションは、前年末28トンのネットロングであったが、12月21日の週まででマイナス15トン。年平均は13.5トンと、前年平均の23トンを41%下回った。5年平均は10.5トン。 -
コメックスのパラジウム先物・オプションのネットポジションは、前年末10.2トンのネットロングであったが、12月21日の週までで9.5トンのネットショート。年間平均は4トンで、前年平均の10.5トンを62%下回った。5年平均は31トン。 -
金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、12月29日までで前年末から195ト(16.8%)減で976トン。ちなみに2020年は年間で278トン(31%)増。 -
金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、12月29日までで前年末から36トン(6.5%)減で489トン。2020年は年間で165トン(46%)増。 -
銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、12月29日までで前年末から738トン(4.2%)減の16,640トン。2020年は年間で6099トン(54%)増。 -
金銀比価は、今年の平均が71.83と前年の89.03から割安傾向が解消。5年平均は80.35。(数値が高いと銀の割安傾向で、低いと銀割安傾向が解消) -
プラチナの金とのディスカウント(金との差)は、今年の平均が708.82で、前年の885.69から幅を狭める。5年平均は564.76。 -
上海黄金交易所(SGE)の価格はロンドン価格に対して年間平均でもプレミアムで、4.94ドル。これは前年コロナ危機でその平均が26.16ドルのディスカウントとなっていたものから大きく改善。(ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)コロナ禍で特殊な動きをした昨年を除く5年平均は9ドルのプレミアム。 -
コメックスの金、銀、プラチナの先物・オプションの取引量は、クリスマス休暇からも先週、今週と前月平均値を下回る。
来週の主要イベント及び主要経済指標
今週はクリスマス休暇でほぼ主要経済指標の発表も限られていましたが、来週年初は金曜日に米雇用統計、その先行指標のADP全国雇用者数とFOMC議事要旨が水曜日に発表されるなど、重要指標が続くこととなります。
詳細は主要経済指標(2022年1月3日~7日)でご覧ください。
ブリオンボールトニュース
今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。
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主要経済指標(2021年12月27日~31日)今週の結果をまとめています。 -
主要経済指標(2022年1月3日~7日)来週の予定をまとめています。 -
金・銀・プラチナ価格の年間の動きのパターンについて
なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。よろしければ、こちらも購読ください。
ロンドン便り
今週は休暇をいただいていますので、11月にすでに発表されていた、今年の言葉について簡単にお伝えしましょう。
毎年年末にいくつかの辞書等を発行している会社がその使用頻度によってそれぞれ選んでいますので、下記にリストアップします。
Oxford LanguageサイトにおいてはVax。これは、Vaccine(ワクチン)を意味しますが、ワクチンを接種したこと証明するカードのVax cardとして利用されたり、ワクチン接種を終えたことを意味する動詞としても利用されています。
Marriam WebsterにおいてもVaccineが今年の言葉として選ばれています。
Collins Dictionaryにおいては、NFT(Non Fungible Token:非代替性トークン)。
Cambridge Dictionaryにおいては、Perseverance(忍耐力)。これは、NASAの火星ミッションの一環として使われた火星探索車の名前で、検索数が急増したとのこと。
Dictionary.comにおいては、Allyship(長年社会から差別・抑圧・疎外されてきた人々に対する支援)。
本年も、弊社ニュースレターを購読いただきありがとうございました。新年が皆様にとって健康で笑顔にあふれる年となることをお祈りしています。