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金価格とのプラチナディスカウントが史上最大を記録

トロイオンスあたり1100ドル金を下回り、19世紀の水準に迫り50%以下となっている。 

プラチナ価格が金価格に対して史上最安値を更新し、工業的に有用な貴金属の「安全な逃避先」である金に対する過去10年間のディスカウントが拡大している。
 
プラチナ価格はドル建てで14ヶ月ぶりの安値へ下げた11月初旬から同月下旬には7.0%上昇していたものの、11月10日金曜日に記録されたトロイオンスあたり約1100ドルの金に対する記録的なディスカウントからわずか10ドルしか減少しいなかった。
 
この史上最高のディスカウントは、金がトロイオンスあたり2000ドルを直近で5度目のトライをしていた際で、自動車業界からのプラチナ需要が増加し、グリーンエネルギー転換の一環としてプラチナをベースとする燃料電池の利用が引き続き期待されているにもかかわらずであった。
 
ドル建てで取引されるプラチナは、ほぼ6週間にわたって日々金価格を1000ドル以上下回っており、3年前に見られたトロイオンスあたり1000ドルのディスカウントをも上回っている。
 
歴史的に見ると、2023年までのプラチナ平均価格は今年の金平均価格の50%まで低下しており、20世紀で最も低かった2020年のコロナ危機によるロックダウン、景気後退時に記録した120年ぶりの金に対する割合の最低値の49.7%に迫っている。
 
1990年から2023年までのプラチナ価格から金価格を差し引いたプラチナディスカウントとプラチナ価格の推移 出典元 ブリオンボールト
 
貴金属アナリストの Metals Focusが前月発表した鉱業界の ワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルのデータによると、プラチナの工業用途の第1位は、現在、内燃機関システムからの有害な排出ガスを削減するための自動車触媒であり、自動車メーカーからの需要は、2022年から今年にかけて13.8%増加する見込みとのこと。
 
2016年以来最大となるこの需要増加の背景には、大型トラックの生産台数の増加(ほとんどの場合ディーゼルエンジンを使用)と、ガソリンエンジン車においてコストの高いパラジウムが安価なプラチナに置き換えられていることがある。
 
さらに、自動車業界からのプラチナ需要の伸びは、2023年のプラチナの総需要が年率26.1%増と、4年ぶりの高水準に達すると予想されているのに比べて低いものとなっている。
 
対照的に、プラチナ供給量は2020年のコロナ危機以来の最低水準になるとみられている。ワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルによると、鉱業生産量のわずかな増加がリサイクルスクラップの減少で相殺されるため、昨年から2.5%減少し、その結果、今年のプラチナは需要に対して記録的な供給不足となり、 2024年も供給不足量は減少するものの、引き続き供給不足が予想されている。
 
しかし、320億米ドルの資金を運用する南アフリカのファンドマネージャー、コロネーション( 現在はプラチナセクターへの株式投資を中止)によると、プラチナ鉱山会社は「生産鉱山の廃止とプロジェクトの閉鎖」を意味する「キャッシュ・ロスに直面している」とし、「プラチナ鉱山会社は、価格下落環境に向けて再編成を続けている」と、アナリストのSFA(オックスフォード)が作成したドイツの貴金属精錬会社、 ヘレウスの報告書は述べている。
 
先月、アングロ・アメリカン・プラチナ(JSE: AMS)は140人の会社員を削減し、シバニェ・スティルウォーター(JSE: SSW)は事業全体で4,000人の人員削減を検討していると発表した。インパラ・プラチナ(JSE:IMP)は、南アフリカ北西部 のルステンブルグにある鉱山の人員削減を図るため、11月中旬 から一部の従業員に対して希望退職の募集を開始した。
 
プラチナの採掘は、南アフリカにおける鉱物資源の雇用の3分の1以上を占めている。
 
一方、欧州連合(EU)では、ディーゼル車の新車販売台数が2023年までのバッテリー電気自動車の新車販売台数を下回り、10月の市場シェアはわずか 12.0%に落ち込んだ
 
ディーゼルエンジン車は、自動車メーカーが排ガス試験を不正に行い、より汚染度の高い車を販売した「ディーゼル・スキャンダル」が起きた2015年までは、欧州で販売される新車乗用車の2台に1台を占めていた。EUは 2035年からディーゼル車やガソリン車の新車販売を禁止しており、これはカリフォルニア州(環境政策で他の多くの州と密接な関係にある)が テールパイプエミションゼロ(自動車排出ガスゼロ)を目標としているのと同じ年である。
 
先月、ロイターに語ったところによると、アムプラッツのクレイグ・ミラー最高経営責任者(CEO)は、「私が間違っていることを願っている。」と述べ、「しかし、私が設定したビジネスプランでは、この低い価格がしばらく続くことを想定している。」と続けていた。
 
しかし プラチナ価格は、「あまりにも早いペースであまりにも大幅に下げすぎている」とスイスのブリオンバンクであるUBSは述べている。「特に、 電気自動車の普及率がスローダウンしている」西欧や米国の新車市場において、電気自動車メーカーのテスラ(Nasdaq: TSLA)は特に、「 EVの普及曲線が予想よりも浅い」とカナダの銀行RBCは見ている。
 
現在、ほとんどの電気自動車はリチウムベースのバッテリーを使用しているが、アメリカやヨーロッパではアルカリ金属の採掘に対する「社会的な怒りが高まっている」ため、「 多くのプロジェクトが稼動することが困難となるだろう」と、フィンランドのケリバー・リチウムサイトへの主要投資家であり、インパラやアムプラッツに次ぐ第3位のプラチナ生産者でもあるシバニーのCEO、ニール・フロントマンは言う。
 
「最終的にはリチウムの価格を押し上げ、電気自動車のバッテリーコストに影響を与えるだろう」。
 
同時に、「プラチナや他の重要な金属の価格急落は、新たな供給源を開発するために必要な 鉱山投資を頓挫させる可能性がある 」とウォール・ストリート・ジャーナル紙は述べている。そこで、「世界中の国々が設定した脱炭素化目標に重大な脅威をもたらす」と続けている。
 
「2023年第3四半期にヨーロッパで燃料電池車(FCEV)の生産が5倍に増加した」と、ワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルは最新の需給報告書で述べている。しかし、この期間の総生産台数はわずか300台であった。
 
FCEV乗用車は現在、欧州の平均的なディーゼル車のオートキャットシステムに必要なプラチナの3倍から5倍のプラチナを搭載している。
 

ブリオンボールト社のリサーチ部門は、オンライン金取引所有サービスを提供する世界有数の英国企業ブリオンボールトの、リサーチ・ダイレクターのエィドリアン・アッシュ、日本市場担当ホワイトハウス佐藤敦子を含む国際市場担当者によって構成されています。

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