英著名貴金属コンサルタント会社が2020年の金需要について20%減、2021年に史上最高値更新を予想
英著名貴金属コンサルタント会社が2020年の金価格予想をトロイオンスあたり1700ドル、2021年には最高値を試すと予想しました。
今週ワールド・ゴールド・カウンシルや他の貴金属業界団体の市場リサーチを広く手掛けるMetals Focusが2019年通年の需給レポートGold Focus 2020ローンチのウェビナーを行いましたので、簡単に概要をお伝えします。
2019年通年において、供給は2%増で、産出量が2018年の過去最高から0.8%減とインドネシアの鉱山の問題で同国の産出量が激減したために10年来初めての減少。しかし、金価格上昇からもリサイクル量が7年ぶりの高さであったとのこと。
それに対し需要は9%減、これは中国とインドにおける需要が減少したことが要因。
2020年の見通しについては、供給は1%減。これはロックダウン下で産出量が激減したことから。産出量は5%減でリサイクルは8%増を予想。
リサイクルの量は、「ある意味予想を下回っている。」とMetals FocusのアナリストNeil Meader氏はは今週のGold Focus 2020のローンチで述べています。その理由として、「アジアの多くの店舗がロックダウンでしまっていること、そして、中東の人々は、危機時に安全資産を売却することを望まないため。」と説明しています。
そして、欧米のリサイクル量が増えていないのは、「世界金融危機時にCash4goldなどで売却した宝飾品を、再度購入する機会がなかったために売る宝飾品が無いため。」と続けています。
そして需要に関しては20%減。これは、今年のすでに16%と価格急上昇していること、そしてロックダウンの影響などで宝飾品の需要が25%減、中央銀行や工業用需要も減少を予想していることから。しかし、現物投資は欧米が牽引し9%増を予想。
そのような中でも、株式市場のボラティリティの高まりや長期実質金利がマイナスへと下げることからも、年間平均金価格は22%高のトロイオンスあたり1700ドルへと上昇し、2021年には史上最高値を試す(超える)と見ています。
2020年の金価格予想は、他の予想に比べるとかなり保守的で、それは欧米は上昇する中でリスク分散などからも購入を進めると見るものの、日本を含めて南アジアなどでは高値での売却も進むと見ていることからとのこと。
実際に、日本貴金属マーケット協会(JBMA)代表理事の池水雄一氏は「コロナ以来ゴールドは西高東低。」と述べ、その典型として次のタイの状況を説明しています。
「5月のタイのゴールド輸出が前年比735%、輸入は22.5%という極端な状況に。バーツ建てのゴールドが大きく上がっていることに加えて、コロナウイルス危機による現金化がすすんでいます。」