金市場ニュース

欧米とアジアの好対照

初心者にも分りやすい金のブログとして、経済アナリスト、そして金市場の第一人者の豊島逸夫氏にも推薦されている「はじめての金読本」で、先週発表されたワールド・ゴールド・カウンシルによる2013年第2四半期の金需給最新レポートが解説されています。なお、この記事は先週金曜日16日に掲載されたものです。

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昨日ワールドゴールドカウンシルから2013年第2四半期の世界金需給データが発表されたのでポイントを紹介します。

まず需要全体の数字を見てみましょう。昨年が974.6トンだったのに対して、今年は856.3トンへ落ち込みました。重量で118.3トン、比率で12%のマイナス。これは「激減」と言って良いでしょう。

これだけ強烈なボディブローを食らえば、金価格も急落して当然でしょう。事実、ドル建て金価格は、わずか3ヶ月で1600ドルから1200ドルへ下落しています。現在は1300ドル台へ戻していますが。

では、その内訳を見てみましょう。

需要項目 2012年第2四半期 2013年第2四半期
宝飾品   420.8t   575.5t
テクノロジー   103.3t   104.3t
投資(計)   285.9t   105.4t
(地金・コイン)   285.9t   507.6t
(ETF他)     0.0t   -402.2t
中央銀行   164.5t    71.1t

まずもっとも目を引くのが欧米の金ETFで、昨年がプラスマイナスで0トン、今年は402.2トンの大幅マイナス。これは、米国の経済指標改善にともなって、欧米投資マネーが金からドルへ流れた結果です。

次に需要が減退しているのは中央銀行。昨年が164.5トン、今年は71.1トンに留まりました。これもドルへの回帰の結果と見るかどうかは、今年後半の推移を見守る必要がありますが。

反対に大きく拡大した項目が二つあります。ひとつは宝飾品、もうひとつは地金・コインです。宝飾品が420.8トンから575.5トンへ、地金・コインが285.9トンから507.6トンへ、前年比でそれぞれ37%、78%拡大しています。

では、注目のインド中国はどうなっているか、宝飾品と地金・コインを個別に見てみましょう。

■宝飾品の動向

■地金・コインの動向

■宝飾品+地金・コイン合計の動向

 

まず、インドの需要から見てみましょう。インド政府の貿易赤字縮小を狙った貴金属への課税強化が進んでいるにも関わらず、需要が縮小するどころか拡大していました。政府はこの後さらに課税強化に動いていますから、今年後半は弱くなるかも知れませんが、それにしてもインドの強さには驚くばかり。

一方、経済減速やらシャドウ・バンク問題で、需要動向がやや危ぶまれていた中国ですが、蓋を空けてみれば、これまた驚くばかりの結果。昨年同期で減少どころか倍増していました。

第二四半期の需要だけで、世界の年間需要のおよそ1/4に相当する数字を二カ国だけで叩き出した計算になります。

今回のデータから感じることが二つあります。

ひとつは、短期の価格は欧米マーケットが形成し、長期の価格はアジアが形成しつつあること。もうひとつは、インドにしても中国にしても、価格が下がれば、経済情勢に関わらず、まず間違いなく需要が旺盛になるということ。今後の価格動向を見るポイントかも知れません。

最後に供給サイドのデータを紹介します。

新産金は昨年676.5トンから今年732.2トンへ、重量で55.7トン、期間比8.2%増加。一方、リサイクルは363.8トンから308.3トンへ重量で55.5トン、期間比15.3%減少。この結果、供給はほぼ横ばいとなっています。

本日はここまで。

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経済アナリスト、そして金市場の第一人者の豊島逸夫氏にも推薦されている金のブログ「はじめての金読本」より。

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