金市場ニュース

投資家予測:2025年末の金価格は3679ドル、銀価格は41ドル

実際の投資家の間では、貴金属への強気姿勢がやや後退していました。
 
個人投資家へのアンケート結果が出ました。
 
貴金属を保有している投資家は、やはり貴金属に強気であることが明らかとなりました。
 
驚くことではないかもしれません。ブリオンボールトの最新顧客向けアンケートの見出し数値を見るとそう思うでしょう。
 
2025年末には銀がトロイオンス41ドルを超え、金は3679ドルで年を終える ― これが金・銀投資家の平均予測です。
 
しかし、2025年の彼らのバイアス(思い込み)は、 市場(や一部AIによる貴金属価格予測)に比べると“まだ控えめ”です。
 
というのも、実際の貴金属価格は、ブリオンボールトの利用者すら上回るほど強気に推移し続けているのです。
 
例えば、プラチナとパラジウムを見てみましょう。
 
第3四半期のドル建てプラチナとパラジウムチャート 出典元 ブリオンボールト
 
今月初めに顧客の見通しを尋ねた時点で、これらの金属はそれぞれ約1330ドル、1100ドルで取引されていました。
 
そこから、ブリオンボールトの最新調査による平均予測では、年末の価格はプラチナが1430ドル、パラジウムが1145ドルと見られていました。
 
控えめながらも強気な見通しですが、これらの金属価格はすでにその予測を突破し、数年ぶりの高値を記録し、工業用途の需要家や卸市場での争奪戦を引き起こしています。
 
とはいえ、これが年末の価格になる保証はありませんし、ブリオンボールトのユーザーがプロのアナリストやトレーダーより優れているという意味でもありません。
 
ただ、2025年夏のプラチナ・パラジウム急騰を予想できなかったのは専門家たちも同様で、金と銀についても予測が外れていたのです。
 
対してブリオンボールトのユーザーの予想はどうだったでしょうか?
 
ブリオンボールトの顧客の年末のドル建て銀価格予想と実際の銀価格の動き 出典元 ブリオンボールト
ご覧の通り、ブリオンボールトのユーザーの新年時点での集合的な見通しは、2023年と2024年の銀価格をほぼ的中させています。
 
そして2025年初頭、銀は年内に36.80ドルに上昇すると予測されました。
 
この予測はかなり強気で、市場関係者の想定を大きく超えるものでした。
 
しかしその予測すら、6月には突破され、現在の銀価格はそれよりも約2ドル高い水準にあります。
 
そのため、ブリオンボールトの年央調査では、回答者の約3分の2が「銀を保有している」と答える中で、2025年末の銀価格予測は、トロイオンスあたり41.18ドルへと上方修正されました。
 
つまり、貴金属強気派はやはり強気なのです。
 
とはいえ、7.7%の回答者は、2026年の新年までに銀価格が下がると予測しており、さらに5人に1人は「ほぼ横ばい」と見ています。
 
にもかかわらず、この弱気または中立的なグループのうち、3分の1以上が「現在銀を保有している」と回答しています。
 
少し不思議に思えるかもしれませんが、金の予測の方がさらに謎に包まれています。
 
https://goldnews-jp.aws-vpc.bullionvault.com/sites/goldnews.bullionvault.jp/files/30072025_gold_price_prediction_and_price_via_survey.png
 
ブリオンボールトでは2014年12月から半年ごとに、顧客の投資動機・懸念・価格見通しを調査しています。
 
これは、貴金属を保有する個人投資家を対象とした調査としては、私たちが知る限り最も大規模・長期・一貫性のあるものです。
 
2025年末の見通しを問う今回の夏の調査には、世界のブリオンボールトのユーザーから1000件以上の回答が寄せられました。
 
すべての回答は匿名・自発的なもので、90%以上が「金を保有している」と答えました。
 
しかし6カ月後の金価格見通しについて聞いたところ、5人に1人近くが「変化なし」あるいは「下落」と答えたのです。
 
奇妙に感じるかもしれません。「価格が上がると期待しているから保有する」のが普通の感覚です。
 
でも、金への投資は多くの場合「ヘッジ(保険)」として始まるのです。
 
つまり、他の資産に対して最悪の事態に備えて保有するもので、「上昇しなくなることを願いつつ保有し続ける」こともあります。
 
それは、金を押し上げている要因が一時的に落ち着く可能性があるからかもしれません。
 
では、その「要因」とは何でしょうか?
 
ブリオンボールトのアンケートによる顧客が答えた貴金属価格を動かす最も強い要因 出典元 ブリオンボールト
 
 
地政学リスクが3回連続で1位となり、今月の回答は全体の32.9%を占め、2019年夏以来の最多票を記録しました。
 
続いて政府の債務・財政赤字が23.6%と過去最高の得票率。これは2016年に選択肢として追加されて以来の記録です(この項目を追加したきっかけは、ユーザーからの提案でした)。
 
一方で、**金融政策(金利や量的緩和)**は過去最低の12.8%。その代わりに、**需給要因(例:中央銀行の金購入)**が16.1%と上昇しました。これは2024年夏の21.5%に次ぐ高水準です。
 
結論として、地政学リスクが依然として金価格を動かす主要因である中、年初に行った調査時の平均予測(3070ドル)から、現在は3679ドルへと大きく引き上げられました。
 
この新しい予測は、今月初旬の金価格から11.5%高い水準でした。しかし先週末には価格が再び上昇し、差はすでに10%未満になっています。
 
ですが、それが何だというのでしょう?
 
ある回答者はこう言います。「価格が上がるか下がるかを単に当てるだけでは、意味がないのでは?」
 
調査を終えてメールをくれたこの人は、「自分でもまさか提出するとは思わなかった」と言っていました。
 
でも、まさにそれこそがポイントです!自信のなさこそが、少なくとも年に1~2回、自分の考えを見直す価値がある理由なのです。自分の予測・仮説・意外な視点を、匿名で、10年続くこの調査に反映させることで、全体として「投資家がどう考えているか」を共有できるのです。
 
市場にいるかいないかにかかわらず、投資家の思惑や行動は、世界中のトレーダーたちの判断と共に価格を形成していきます。
 
そして、たとえ価格を「予想」するのが奇妙に感じられても、多くのプロよりあなたの方が確信を持っているのではないでしょうか。
 
Investors.comによれば、米ゴールドマン・サックスの金価格予測は以下の通りです。
 
通常シナリオ:2025年末に3700ドル、2026年半ばには4000ドル
 
リセッションが起きた場合:流入加速で3880ドルに達する可能性
 
極端なリスクシナリオ(例:FRBの独立性への懸念や米国の外貨準備政策の変化)では、4500ドルに到達する可能性もあるとしています。
 
数字は3つ、でも「もし~なら」という仮定がたくさん置かれています。
 
今後数日間、弊社のゴールドニュースではこの調査結果のさらなる分析を掲載予定です。
 
2025年夏の最後の質問にも注目してください。「あなたが投資アドバイスを信頼する相手は誰ですか?」
 
興味深いことに、「ゴールドマン」と答えた人はいませんでした。

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチダイレクターとして、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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