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世界同時株安で金投資が記録的な水準へ

ブリオンボールトでの金の保管量が史上最高を記録しました。

世界株価が2012年5月以来の最大の下げ幅を記録した10月に、個人投資家の金投資が急増していました。ブリオンボールトのエィドリアン・アッシュが解説をしています。

10月は、2016年半ばの英国のEU離脱を決めた国民投票以来の価格の上げとなり、2017年1月にトランプ氏が大統領に就任した際以来の金投資への需要となりました。

MSCIワールドインデックスは10月に13か月ぶりの低さへ7.6%急落し、米国ドル建て金価格が20ヶ月ぶりの低さから回復し1.4%上昇して、月間平均金価格は7月以来の高さのトロイオンスあたり1215ドルを記録していました。

欧州の投資家にとっては、先月イタリアの大規模な債務が再度見出しを飾る中、ユーロ建て金価格は9月の32ヶ月ぶりの低さから10月に8%上昇していました。

その間英国ポンド建て金価格は、EU離脱の是非を問う国民投票が行われた2016年6月23日以来初めてトロイオンスあたり900ポンドを割った前月から10月に7.9%急騰し、今週は948ポンドまで一時上昇していました。

それにもかかわらず、金価格の上昇時に利益確定を行うのではなく、世界でも最大のオンラインの貴金属プラットフォームを利用するブリオンボールトのユーザーは、全体で購入が売却を上回るネット購入者で、212キロの金を積み増し、保管総量を39.1トンと史上最高値としていました。

これは、昨年同時期から1トン増で、英国のEU離脱の是非を問う国民投票が行われた2016年6月からは4トン増となります。

 

 

現在20億ドル(2,100億円)相当の個人投資家の金、銀、プラチナを保管しているオンライン貴金属投資プラットフォームを提供するブリオンボールトでは、10月に購入者数が増加し、昨年から見られていたバーゲンハンター的購入パターンが崩れていました。

しかし、売却者数も前月比61.7%増と今年5月に価格が上昇した時以来の高さへと増加していました。

そのために、金投資家インデックスは9月の55.0から5ヶ月ぶりの低さの53.8へと下げていました。

ブリオンボールトの金投資家インデックスは、他の金や銀の市場データと同様に市場の傾向を示すものですが、アンケート結果ではなく、7万人を超えるブリオンボールトのユーザーである個人投資家が実際に取引をしたデータを基に算出されています。

銀価格も10月に1月以来の速いペースで上昇し、ドル建てでは2.3%増となっていました。

しかし金とは異なり、銀の購入者数は10月に前月比13.4%減少し、売却者数は月間平均銀価格が2ドル近く高い14.58ドルであった6月以来の高さの46.9%増加していました。

そのために、銀投資家インデックスは4ヶ月ぶりの低さへ下げ、52.2と前月の54.3から下げていました。

 

 

そのような中で、先月の世界同時株安により、ブリオンボールトを利用するユーザーの数が急増していました。

10月の新規顧客の数は過去12か月の平均から6.9%増で、これはイタリアの新規顧客数が88.6%増加したことに加え、フランスからの新規顧客数も57.3%増となっていたことに牽引されていました。

ユーロ圏に在住するブリオンボールトの10月の新規顧客数は、過去一年間の平均の30.9%増と今年1月以来の高い数値ともなっていました。

これは何を意味するのでしょうか。アナリストや専門家が過去2年間以上政治的及び経済的リスクを懸念し続けている中、個人投資家は金価格が下げた際に購入し、上げた際に利益確定の売却をするというバーゲンハンター的パターンを続けていました。

しかし世界同時株安が、少なくとも今回は、この価格に敏感なパターンを崩すこととなったのです。11月の株式市場の反発は、金価格の頭を押さえています。しかし、個人投資家の需要は継続して強いものがあります。

これは、金融危機後10年を超える中、金は他の資産クラスがその収益率を落としている際に強さを発揮することからです。世界株価が今年史上最高値に近づく中で急落をするなどボラティリティを高めていることからも、金投資はポートフォリオの保険として、投資家にとっては魅力を増すことになることでしょう。

 

 

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチダイレクターとして、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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