プラチナウィークのまとめ:プラチナ価格下落の背景を確認
今週プラチナ価格がドル建てでトロイオンスあたり800ドルを割り14年ぶりの低さ、日本円でグラムあたり3000円を割り9年ぶりの低さへ下げるなど、大きな動きがありました。
そこで、今年5月に行われたプラチナウィークでの業界の価格予想のレンジを既に抜けていますが、この下げの背景を確認するために、プラチナウィークが行われた週のニュースレターでもお伝えしたプラチナウィークのまとめを改めてこちらでもお届けします。
プラチナウィークは、毎年5月の3週目に歴史的にプラチナの主要取引場所であり、そのために多くのプラチナ関係の開発が行われていたロンドンで開催されています。
そして、このプラチナウィークのハイライトはロンドン白金パラジウム市場(LPPM)が主催するLPPMディナーですが、これはLPPMのメンバーのみが招待され、ロンドンプラチナ値決めが1973年に始められたことを記念して当時から行われているとのことです。
世界のプラチナ業界関係者がロンドンに一堂に会し、月曜日から始まり、火曜日がLPPMセミナーとカクテルパーティー、水曜日がLPPMディナーで、その間にも多くのプラチナ業者によるセミナーやネットワーキングのイベントが行われます。
そこで、私が参加したMetals Focusのプラチナとパラジウムの需給レポートのローンチでの内容とLPPMセミナーとTOCOMのブレックファーストミーティングで話し合われた要旨を下記にリストアップします。
- プラチナの価格は現在の水準からは金の上昇と共に回復すると予想しているものの、欧州におけるディーゼル車の人気の低迷は、プラチナの需要を減少させることからも、価格の上げ幅は抑えられるだろう。その他のネガティブな要因は南アフリカ通貨ランドの動きや中国の宝飾品需要が現政権が贅沢品に関して制限をかけていることから下げていることなど。
- それに対しパラジウムは、供給不足と予想されていることから、価格は1000ドルを超えて堅調に推移するだろう。
- 電気自動車がガソリン車やディーゼル車市場に影響を与えることは2025年以前にはないだろう。それは、インフラやバッテリーの原材料のコバルトやリチウムやニッケルの安定供給が難しいことから。
- プラチナ価格の低迷は、先に加えて金ETFへの資金流入が続いていることから、投資資金がここに吸い取られていることも要因という分析。
- 金のポジティブ要因とネガティブ要因として、ポジティブはシリアやイランや北朝鮮などの地政学リスクやインフレ上昇懸念、ネガティブは米長期金利上昇や堅調な株価等。
- 金の1300ドルは一時的なもの。しかし、この一年ほどのプラチナ価格はUSD850ドルから1050ドルのレンジであろう。(スタンダードバンク東京支店長池水雄一氏)
- TOCOMのプラチナコントラクトは昨年のローンチから堅調に伸び、全体の11%と成長している。ちなみに、金は全体の53%と最大銘柄で、プラチナは24%(11%が新たなプラチナコントラクト)、Plattsドバイ原油(14%)、ゴム(6%)。
- プラチナ業界全般のプラチナ価格へのセンチメントは弱気なものが多く、90%以上の参加者が2018/2019年はパラジウム価格がプラチナ価格を上回って推移すると予想。
- プラチナ価格の2018/2019年のレンジは850ドルから1100ドルと予想。