ニュースレター(9月26日)1213.75ドル ドル高が昨年末以来最低水準の金相場へと押し下げる
週間市場ウォッチ
先週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1213.75ドルと、2013年12月20日以来の低水準となり、前週同価格から0.5%下げています。また、銀の値決め価格も、トロイオンスあたり17.54ドルと、2010年3月26日以来の低い水準となっています。
週明け月曜日は、前週の流れを受けてドル高から金相場はアジア時間で下げ、一時トロイオンスあたり1207ドルとクリスマスの週以来の低水準となり、銀相場は17.36ドルと2010年7月以来の大幅な下げとなりました。
火曜日は、前日の反発から金相場は一時1232ドル、銀価格も17.93ドルと上昇しました。これにより、銀相場は、今週月曜日の過去4年来の最低値からの上げ幅が3.8%となりました。
この背景は、今朝ほど発表された米軍と中東5ヵ国によるシリア領「イスラム国」首都への攻撃が、金を安全資産として購入する動きとなったこと。そして、銀においては特に、積み増していた大量のショートポジションの買戻しが起きたことが要因のようです。
水曜日は、ロンドン午前中に発表されたドイツの9月IFO景況指数が、予想と前回を下回り、対ユーロでドル高 が過去15ヶ月で最高水準に上げる中、緩やかに下げていた金価格ですが、午後に発表された米国8月新築住宅販売件数が、50.4万件と予想と前回を上 回り、増加率は18%増と2008年5月以来の高い水準となり、金相場はさらに下落することとなりました。
木曜日は、ロンドン午前中に前日の流れから金相場はトロイオンスあたり1207ドルを割り、今年最低値を更新しましたが、ロンドン時間午後に株安が進み、押し上げれれることとなりました。株安の背景は、第3四半期末の9月末を前に、このところ高値を更新続けていた相場の調整ということが主な要因のようです。
なお、市場注目の8月耐久財受注が、18.2%減と前回22.5%増であったことから、反動で18%減と予想されていたもののそれすらも下回り、1992年に統計が開始されて以来の減少幅となりましたが、新規失業保険申請件数は、29.3万件と予想を下回ったことから、金相場への影響は限られたものであった模様です。
金曜日は、ロンドン時間午前中に金相場はトロイオンスあたり1227ドルと上げたものの、ロンドン時間午後に発表された米国9月ミシガン大消費者信頼感指数が、予想を上回り、過去1年で最も高い水準となったために、ドル高が進み、株価が戻すとともに、上げ幅を削ることとなりました。
他の市場のニュース
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金ETF最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高が776トンと、2008年12月以来最低水準となり、今年に入り3%減となったこと。それに対し、銀ETFのiShare Trustは、10,589トンと7月半ばから6%増加したこと。 -
英国政府が、LIBORスキャンダル以来、同様な不正操作を防ぐために導入された規制を、FX、金・銀値決めを含むコモディティ指標などの他の金融指標にも適用するかのコンサルテーションをローンチしたことを公式サイトで発表したこと。 -
世界最古の金貨(2750年前に鋳造)が、アナトリア半島で発見されたこと。 -
Citibank N.A.が、ロンドン貴金属市場協会の12番目のマーケットメーカーとなったこと。また、UBSが新たな銀の値決めの4社目のマーケットメーカーとして参加することが発表されたこと。
ブリオンボールトニュース
今週、英国王立造幣局が金貨のオンラインサイトを立ち上げたことを、英国主要メディアがレポートし、他の投資方法として、また費用比較の目的でブリオンボールトを取り上げています。
王立造幣局が始めた新たな金貨取引サービスにおいては、年間保管量が1%プラスVAT(売上税)で1.2%となることや、その最小取引規模や実際の価格などで、必ずしも安い投資方法ではないことがレポートされています。
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ファイナンシャル・タイムズ「王立造幣局が金貨のオンライン取引サイトをローンチ」 -
This is Money「この新たなサービスが最良の金投資方法でしょうか?」 -
テレグラフ「王立造幣局鋳造の金貨の最も安い購入方法は、王立造幣局からではない!」
今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
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ブリオンボールトリサーチ部門の「国内総生産(GDP)の上昇は、消費者の金購入需要を押し上げる」
今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
本日は、キャメロン首相がイスラム教スンニ派過激組織の「イスラム国」を標的とした米イラク空爆に参加する承認を受けるために、休会中の議会が招集され、たった今空爆が承認されたことが伝えられています。
2003年のイラク戦争に英国が参加する際は、ロンドンでは戦争参加反対を訴える人々の大規模なデモが起き、昨年のシリアへの軍事介入は議会に否決されたのですが、今回は空爆に限っていること、また「イスラム国」によって、既に米国人ジャーナリスト2人と英国人援助活動家を処刑されており、次の処刑の対象は、拘束されている英国人ボランティアと警告されてることからも、「イスラム国」攻撃に反対を唱える人々は少ないようです。
キャメロン首相は、今週この承認を受けるために準備を重ねていたことからも安堵したことでしょう。また、今週は別途失言たことで非難を受けていましたが、こちらも沈静化することを祈っていることでしょう。
この失言とは、先週のスコットランド独立を問う住民投票の独立反対勝利の結果を受けて、エリザベス女王が安堵したことを、ニューヨークのブルームバーグ全市長にオフレコで話したことが、マイクに拾われて伝えられたことです。イギリス王室は政治的立場を表明しないとされていることに加え、王室関係者との会話を漏らすことは禁じられていることからも、野党党首はもちろん、キャメロン首相に多くの批判が集まっていました。
キャメロン首相自身の安堵の気持ちからも、このような失言をしたのかもしれませんが、一国の首相としては脇が甘いといわれても仕方がないエピソードでしょう。