金市場ニュース

ニュースレター(8月1日)1291.25ドル ドル高、長期金利上昇で下げたものの米雇用統計が予想を下回り、金価格は下げ幅を縮小

週間市場ウォッチ

今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1291.25ドルと前週同価格から0.3%下げています。

週明け月曜日は、今週控えているFOMC、米国第2四半期GDP、米国雇用統計を前に様子見の状態で、狭いレンジでの取引となりました。

翌火曜日は、ロンドン昼過ぎまでには、イスラエルのガザへの攻撃が激化したこと、欧米のロシアへの追加制裁などが発表され、地政学リスクの高まりからトロイオンスあたり1310ドルまで上げることとなりました。

しかし、その後ロンドン時間午後に発表された米国7月消費者信頼感指数が90.9と予想の85.0を大きく上回り、、2007年以来の高水準となったために、翌日にFOMCを控えて金融政策への影響などの憶測が広がり、米国ドルが対ユーロ2014年最高水準まで上げ、金価格はトロイオンスあたり1300ドルを割ることとなりました。

水曜日は、市場注目の米国第2四半期GDPとFOMCの声明が発表されました。

米国第2四半期GDPは4.0%と、予想の3.0%を大きく上回り、前回数値も-2.9%から-2.1%へと上方修正されたことから、金価格は下げることとなりました。その後、ロンドン時間夕方に発表されたFOMCの声明では、FF金利誘導目標は0.25%で据え置かれ、米量的緩和縮小は予想通り250億ドル(国債購入150億ドル、MBS買入れ100億ドル)となりました。この発表後金価格はほぼ動くことはありませんでした。

これは、量的緩和は予定通り続けられることが確認されたものの、声明の中に、「労働力の著しい未活用(underutilization)が残る。」という、非常にハト派的と捉えられるコメントが含まれていたことから、金曜日に発表される雇用統計が良好な数字であっても、近い将来に金利引き上げが行われないという判断となったためです。

木曜日は、翌日に雇用統計を控えて、株安、ドル高、長期金利上昇の中、金価格はジリジリとトロイオンスあたり16ドルほど下げることとなりました。この動きの要因は下記のようなものが考えられます。


  • 雇用統計を控えた月末であることからも、ポジション整理が進み、1290ドルあたりに位置していた144日移動平均を下回ったことから、さらなる売りが進んだこと。

  • 米国第2四半期の雇用コストが予想を上回り、FRBが懸念している、遅々として進まない賃金上昇を示唆したと捉えられたことから。政策金利引き上げの憶測も広まり、ドル高、長期金利上昇を引き起こしたこと。

  • 前日発表のFOMC声明では「労働力の著しい未活用(underutilization)が残る。」という文言などがハト派的と読まれたものの、先のデータと市場のムードから、FOMC声明の中のフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁が「緩和終了後も相当の期間、ゼロ金利政策を堅持する」の声明の文言に反対したことが再重視されたことから。

  • また、アルゼンチンのテクニカルデフォルトやポルトガルの大手銀バンコ・エスピリト・サント(BES)が今年上半期の損失が36億ユーロと予想をはるかに上回り、中央銀行に資本増強を迫られたことなどから株式市場が大きく下げ、投資センチメントが悪化したことから。

金曜日は市場注目の米国雇用統計が発表され、7月非農業部門雇用者数は209,000人と、予想235,000人と前回の288,000人を上回り、前回数値は298,000と上方修正されました。また、米国7月失業率は6.2%と、前回と予想の6.1%から悪化しました。これを受けて、金価格はトロイオンスあたり10ドルほど上昇し、前日の下げ幅の半分ほどを取り戻すこととなりました。

他の市場のニュース


  • 先週金曜日にIMFが公表したデータによると、ロシアとトルコが6月に金準備を増加させ、それぞれ3ヶ月連続のプラスとなったことが伝えられたこと。これによりロシアの金準備は16.8トン増の1094.8トンとなり、トルコは9.9増の512.8トンとなりました。

  • 火曜日に、ロンドン貴金属市場協会が、ロンドン金値決めの改革に向けて、提案を受付け、コンサルテーションを8月末に始めることを発表し、金値決めを管理する第3者機関は9月末に発表され、2014年末までに新システムの導入を終えると伝えられたこと。

  • 木曜日に、銀と金の値決めに続き、プラチナとパラジウムの値決めも改革が行われることが発表されたこと。

ブリオンボールトニュース

今週水曜日、ブリオンボールトの顧客が保有する金地金の量が過去最高となり、重量にして33トンを超え、評価額として14億ドル相当となりました。

今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。

ロンドン便り

今週も英国メディアでは、イスラエルのガザ爆撃、ウクライナとロシアの紛争、そして明るい話題としては、先週もお伝えしたコモンウェルスゲームズについて広く伝えられています。コモンウェルスゲームズについては、先週お伝えしたので、今週は英国で伝えられている少し変わり種のニュースをお届けしましょう。

それは、シークレットシネマという映画を見るだけでなく映画の世界を体感してもらうというイベントが、昨夜開かれて評判となっているというものです。

今回のイベントでは、「バックツーザフューチャー」の映画を鑑賞することがメインですが、このイベントのために作られた、バックツーザフューチャーのセットの中で、登場人物の世界を楽しみながら、鑑賞するというものです。このセットは、マイケルJフォックスが演じる主人公が、タイムマシンに乗って戻った30年前の町並みを実物大で作り上げたもので、主人公が映画の中で当時の父親を助けるカフェでは、実際に映画の中同様にユニフォームを着たウェートレス達が働き、食事をすることもできる、街そのものを見事に模倣したものです。

この大掛かりなセットは2012年のロンドンオリンピック跡地の一角に作られていますが、本来予定されていた日程は、その地区からの最終許可が開始予定日になっても降りず、開始1時間前に中止となったために、このイベントに参加するために国内外から訪れた参加者が苦情を出していたことは1週間前に全国ニュースでも伝えられていました。

そのような中、昨夜は無事初日を迎えられ、参加者も当時の装いを着飾り、この映画を満喫したと伝えられています。このチケット代は大人53.50ポンドと約1万円ほどしますが、8月末までの切符は、既にかなり残り少なくなっているとのことです。

「バックツーザフューチャー」は、繰り返しみたい映画のトップ5に常に入っていることからも、この映画のファンにとっては、見逃せない貴重な経験なのでしょう。

この様子を伝えるBBCの記事はこちらでご覧いただけます。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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