金市場ニュース

ニュースレター(7月29日)1342ドル 日米中央銀行の金融政策がほぼ維持される中、ドル建て金相場上昇

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は1342ドルと、前週同価格から1.6%上昇しています。

月曜日金相場は、株式市場が週明け上昇して始まったことから下落しましたが、ロンドン時間午後にその下げを取り戻しながら、狭いレンジで動くこととなりました。これは、今週はFOMCと日銀の金融政策発表が行われることからも、市場は模様眺めであったことからです。

火曜日金相場は、翌日のFOMCを待つ中、円建てを除く通貨で狭いレンジでの取引となりました。

円建てにおいては、金曜日の日銀の金融政策会合での緩和観測が後退し、円がBREXIT以来の速さで強含む中、先週の4週間ぶりの高い水準から3%下げることとなりました。

水曜日金相場は、FOMCの結果を待つ中発表された米耐久財受注が、2ヶ月連続のマイナスで、2014年8月以来の大きな減少率である-4%となったことから、ドル建てでトロイオンスあたり10ドル程まず上昇することとなりました。

ポンド建てにおいては、同日発表された第2四半期のGDPが全四半期0.6%増と予想を上回ったことからポンドが強含み、狭いレンジでの動きとなりました。また、円建てにおいては、同日安倍総理が28兆円を上回る新たな経済対策を来週取りまとめると表明したことから、円が弱含み今週の下げを取り戻していました。

なお、銀は2.3%と金の上げ幅を超えて上昇することとなりました。

その後発表された市場注目のFOMCでは、FF金利誘導目標を0.25-0.50%で維持したことが発表され、声明の内容も「経済見通しへの『短期リスク』は後退した」というコメントも伝えられたものの、当初金相場は大きな動きを見せませんでしたが、声明の内容がハト派的との解釈が進む中で、上げ幅を広げることとなりました。

木曜日金相場は、前日のFOMC後に大きく上昇したことからも、利益確定の売りも進み、前日の上げ幅を削ることとなりました。また、翌日の日銀金融政策決定会合へと注目も移り、再び模様眺めとなりました。

本日金曜日は、市場注目の日銀金融政策決定会合では、マイナス金利を0.1%で据え置き、マネタリーベースの年間80兆円増加の方針を維持した上で、株価指数に連動する上場投資信託(ETF)を買い入れる額を、現在の年間3.3兆円から6兆円へ増加することが伝えられました。

この追加緩和は、市場が予想していた大規模な緩和とは程遠いものであったために、日本円が対ドル2.5%下げ102円まで強含むこととなりました。

その後ロンドン時間に発表された米第2四半期GDPが前期比年率1.2%と予想の2.5%を下回ったことから、ドルが弱含み金相場はドル建て、ポンド建てで上昇することとなりました。しかし、円建てにおいては前日比1.3%下げ、ユーロ建てにおいては前日比ほぼフラットな動きとなっています。

ブリオンボールトニュース

プラチナの業界団体のワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)とブリオンボールトの2社が協力の上で、プラチナ現物の投資サービスを開始することが主要経済サイトで伝えられました。ここでも触れられていますが、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の協力の下、弊社におけるプラチナサービスは今年後半にローンチする予定です。

また、来週金曜日からのリオ・オリンピックを前に、弊社がまとめた「インフォグラフィックス:オリンピックメダル-国別メダル総数とその価値」が、AOL Moneyや、日本語で金の情報を発信するゴールドニュース等の多くのメディアで取り上げられました。

先に加え、今週も多くの主要メディアで弊社リサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。

今週行われた米連邦準備制度理事会(FED)の金融政策の発表を前に金が上昇していることをレポートする記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。

ここで、エィドリアンは、「米主要経済指標が相反するデータを見せていることから、FEDが金利を据え置くちょうどよい理由となるだろう。」とコメントしていました。

この記事では、「今週のチャート」として、ポンド建て金のチャートを取り上げ、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントを紹介しました。

ここでは、BREXITによってポンド安が進み、安全資産として既に上昇していた金相場が、ポンド建て金相場で22%急騰したことを紹介し、ブリオンボールトにおける取引量が、国民投票の翌日に急増したとエィドリアン・アッシュが述べたことを取り上げていました。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週は英国では、BREXIT関連のニュースが少し下火になり、米国大統領選の民主党大会のニュースが広く伝えられています。これは、やはりBREXITのショックの記憶が新しい中、トランプリスクの現実性が強く認識されていることでもあるからのようです。

そこで、本日は米大統領選に並んで大きく伝えられている、英国の新たな原子力発電所に関したニュースをお伝えしましょう。

英国では、前キャメロン政権の時に、仏電力大手のフランス電力公社(EDF)による、世界最大の原子力発電所建設計画が承認され、中国原発大手の中国広核集団(CGN)もこの事業に33.5%出資することが決まっていました。

この計画では、英国の老朽化した石炭火力発電所や原子力発電所が20年代前半までに閉鎖されることから、将来的に英国の総電力量の7%を賄うことを目指していました。

しかし、今週28日に仏EDF社が取締役会で、このヒンクリー・ポイント原子力発電所の建設計画を正式に決定し、英国政府と29日に正式契約を行う予定でしたが、新メイ政権のクラーク民間企業相が、今秋まで再検討する方針を表明し、建設開始が大きく遅れることとなりました。

この計画は、幾つかの点で問題が指摘されていました。まず、この規模が180億ポンド(約2兆5000億円)と膨大なものであること。それがゆえに、EDF社の労働組合が反対し、同社の最高財務責任者や他の取締役も反対して辞任していました。また、中国からの投資を受けること、また発電所稼働後に支払う電力買取額が、高い水準で固定されていることなども問題視されていました。 

メイ首相は、国民投票の結果がBREXITであっても、英国が今まで同様に政権の方向性に大きな変化なく進むことを対外的に見せなければならないところですが、この計画を再検討することでどのようなメッセージを国外に出すことになるのか、メディアの一部は懸念しています。

しかし経済紙では、問題が多すぎる計画を再検討するのは、どのような状況下に置かれた政権でも必要であり、膨大な税金を使う前にしっかり他の選択肢も含めて検討すべきとも意見しています。


BREXITを託された政権であるために、その舵取りを国内外から注目されているメイ首相ですが、今回の計画は再検討の余地もあるのではないかと、個人的には思うところです。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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