金市場ニュース

ニュースレター(7月28日)1264.90ドル:FOMC後利上げ観測が後退し、インフレ数値の低さも懸念され金は6週間ぶりの高さへ

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1264.90ドルと、前週同価格から1.3%上昇しています。

週明け月曜日金相場は、同日ロシアゲートに絡みトランプ大統領の娘婿のクシュナー上級顧問が上院情報特別委員会で証言を行うのを待つ中、先週の下げからもドルが若干ながら強含む中、多少下落してましたが、欧米で多くの市場参加者が夏休みに入ったことからも狭いレンジでの取引となりました。

火曜日金相場は、同日と翌日にFOMCが行われる中、利上げなしの予想ではあるものの、米長期金利が一週間ぶりの高さの2.29%へと上昇し、ドルインデックスも上昇していたことから、トロイオンスあたり1250ドルへと下落することとなりました。

水曜日金相場は、FOMCの結果を待つ中下落していましたが、ロンドン夕方に発表された市場注目のFOMCの声明で、予想通り金利は据え置かれ、金融引き締めは早い時期とされたものの、インフレが短期的に2%を下回るなどのコメントもあり、金相場は今週の下げを取り戻し上昇することとなりました。

木曜日金相場は、トロイオンスあたり1260ドル超え、6週間ぶりの高さへと上昇することとなりました。

これは、前日のFOMCで金利が据え置かれ、直近の利上げ観測も後退したことからですが、その後同日発表の米耐久財受注が予想を大きく上回ったことから、ドルインデックスと米長期金利が上昇し、金は1260ドルから多少ながら下げることとなりました。

本日金曜日は、米第2四半期GDPに市場は注目していましたが、これは予想通り2.6%で、前回の1.2%を大きく上回り、昨年第3四半期以来の2%台となりました。しかし、個人消費支出(PCE)価格指数が0.3%と予想の1.2%と前回の2.2%を大きく下回り、金相場は再び6週間ぶりの高さの1260ドルを越えて上昇することとなりました.

その他の市場のニュース


  • 金ETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアの残高が先月末から全く増加せず、昨日まで減少し続けていること。その減少量は、今週木曜日までの一週間で24.2トン、一ヶ月では61.7トンと、金相場が上昇している市場では、2013年5月以来史上2番目の一ヶ月間の大規模な減少量となっていること。

  • 先週末に発表された先週火曜日のコメックス資金運用業者のネットロングポジションは6.4%増加していたこと。そしてこのポジションは、5週間連続で減少を続けていた先週同様に2016年1月以来の低い水準となっていたこと。

  • コメックス銀先物・オプションの資金運用業者のポジションは、過去最大のショートポジションを記録し、二週間連続でネットショートとなっていたこと。このネットショートポジションは、2015年8月4日以来の大きさ。

ブリオンボールトニュース

この記事では、ブリオンボールトにおいては今年3ヶ月間多少売却が進んだものの、金の需要が価格の下げで堅調となり、顧客保有の金の総量が38トンと、18カラットの金の結婚指輪が1千万個、iPhoneのマイクロチップが15億個作れる量となっていると紹介されています。

そしてここでは、ドルが弱気市場に入っていること、新興国を含む主要国の債務規模が過去最大となっていること、UBSアナリストがインドの今年の金需要が記録的なものとなることを予想していることなどを紹介し、金相場が今年上昇していること、そして今後もこれらの要因で価格がサポートされると予想しています。

この記事で、ブリオンボールトのリサーチダィレクターのエィドリアン・アッシュの「リスクを分散させるためにも、預金、株式、他の資産などと分散投資をするべき」というコメントを取り上げ、「もし資産の10%を金に投資し、残りを60%英国株式(FTSE)、40%国債へ投資していた場合、過去40年間で最悪の相場であった2008年に、その損失を半減できた」というコメントを紹介しています。

この番組では、ブリオンボールトのリサーチダィレクターのエィドリアン・アッシュが、他のコモディティスペシャリストと共にインタビューを受け、この3週間の金相場の上昇について解説しました。

ここでエィドリアンは、現在の金の動きはドル安によるもので、米消費者物価指数の弱さなどから米中央銀行が利上げを行うという観測が後退しており、それに加えてユーロの強さがドル安を進め、金相場が上昇していると解説しています。

ここでは、金と銀のどちらを買うべきかという点についても議論がされ、銀は金銀比価からも歴史的に安い水準であることに注目し、現在の傾向が続けば金よりもアップサイドがあるとしたものの、銀の工業用途の割合の高さは経済停滞時にはマイナスであることも言及しています。そして金のポートフォーリオのリスク分散の役割も忘れるべきではないとコメントしています。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週英国では、英国政府が水曜日に2040年からガソリン車やディーゼル車の販売を禁止すると発表したことについて広く伝えられています。

この目的は、今月フランス政府が発表した政策と同様で、深刻となっている大気汚染の緩和を狙うための環境対策として。

この試みを、環境問題をキャンペーンしている団体は、年間で大気汚染のために4万人が亡くなっていることからも「遅すぎる」また「十分ではない」とコメントしています。

しかし、ナショナルグリッド(英国の送電及びガス供給事業者)によると、これによりピーク時の電力の需要が50%増加するために、現在電力使用量の10%ほどを国外から輸入しているが、30%へと上昇することになると分析しています

また、電気自動車の充電場所が十分に確保できるかについても疑問視されています。

そして、フランスは化石燃料からの電力は5%に過ぎず、電力をほぼ二酸化炭素を排出することなく作れるのに対し、英国は未だ石炭、石油などの化石燃料によって75%が作られていることからも、ガソリン車やディーゼル車の販売を禁止して電気自動車に切り替えたとしても、その電力を作る際に化石燃料を使っている間は、人口密集地の大気汚染を和らげても、国としての大気汚染緩和を達成することはできないことも考える必要があるようです。

まずは、大気汚染やクリーンエネルギーへ向けて動き出す必要があったということかもしれませんが、この政策を成功させるにはさらなる政策や投資が必要となりそうです。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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