ニュースレター(6月24日)1170.50ドル ギリシャ支援協議が長引く中、米金利引き上げ観測が広がり金下落
週間市場ウォッチ
先週金曜日のLBMA金価格のPM価格は、トロイオンスあたり1170.50ドルと前週同価格から2.7%下げています。
週明け月曜日金相場は、同日行われるEUサミットとユーログループ会合を待つ中、緩やかに下げることとなりました。
同日ギリシャ情勢においては、チプラス政権が新たな改革案を提出してことからも、楽観的なムードが広がることとなりました。また、ギリシャ国内の預金の流 出が継続していたことから、欧州中央銀行が更なる緊急流動性支援(ELA)を行ったことも伝えられ、この楽観的ムードが更に広がり、金相場を押し下げるも のとなりました。
しかし、銀相場は同日緩やかに上昇していました。
翌火曜日は、ギリシャ支援に関して今週中の合意の可能性が出てきたことから、欧州株が上げる中、緩やかに下げることとなりました。
また、同日発表された米耐久財受注は、予想を下回ったものの、輸送用機器を除いた数値はプラスとなったこと、米新築住宅販売件数が2008年2月以 来の高水準となったこと、リッチモンド連銀製造業指数も予想を上回る好調なものであったことに加え、パウエルFRB理事が「9月利上げの確立は五分五分と 述べたことが 伝わるなど、米金利引き上げ観測が広がり、ドルインデックスが上げていたことも、金相場の下げの要因となりました。
なお、金相場とは異なり上げていた銀相場は、同日大きく下げることとなりました。
水曜日は、2週間ぶりの低水準へと金相場は下げることとなりました。
これは、前日楽観的なムードが広がったギリシャ情勢ですが、ギリシャの提案を債権団が受け入れなかったとギリシャのチプラス首相のコメントが伝えら れると、欧州株式が下げ、ギリシャ国債価格が下げ、ドルインデックスが上昇するなど、市場の懸念が広がり、金も含めてリスクオフとなっていた模様です。
また、米第一四半期GDPが、前回-0.7%から-0.2へと改善していたことから、金利引き上げ観測も下げの要因となったようです。
木曜日は、ギリシャ情勢が注目されながら、前日の低い水準で推移することとなりました。ギリシャ情勢は、同日も合意にいたらず、27日の会合へと先延ばされることとなりました
米金利引き上げに関わる米経済指標として注目されたのは、新規失業保険申請件数と個人支出と所得となりますが、新規失業保険申請件数は予想を多少下 回り、個人支出は上回り、所得は予想通りとなりました。なお、個人支出が0.1%増ながら4ヶ月連続でプラスとなったことは、心理的にはポジティブな ニュースで、つまりは金相場にとってはマイナスとなった模様です。
本日金曜日は、中国株式の急落で始まり、ギリシャ支援を協議する明日のユーロ圏財務相会合を控え、欧州株式が下げる中、本日発表されたミシガン大学消費者 信頼感指数が、過去11年間で最も高い水準となったことから、ドルが強含み、金は下げ幅を多少ながらも広げ、一時的に1170ドルを割る事となりました。
その他の市場のニュース
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インドの中央銀行であるインド準備銀行が、インド政府が進めようとしているゴールド・マネタイゼーション・スキーム(GMS)で集まった金を、インドの国内銀行の準備預金率(CRR)の一部と認める政府の提案を受け入れなかったことが伝えられたこと。 -
人民元建ての金値決めを中国人民銀行が近く承認することが伝えられたこと。 -
中国工商銀行(ICBC)が金のベンチマークであるLBMA金価格への参加を希望していると伝えられたこと。 -
イスラム国(ISIS)が、この通貨として、金・銀・銅貨などを鋳造していることが伝えられたこと。 -
TOCOMがLBMAのGood Delivery listを利用するライセンスを得たことが伝えられたこと。
ブリオンボールトニュース
「銀相場がギリシャに関する協議が進む中下げているのに対し、金相場が2日間に渡り水準を維持している」という、今週火曜日のブルーンバーグの記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任、エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられています。
ここでエィドリアンは、「ギリシャ危機による金の安全資産としての需要は増加しない中、協議が進むことによる影響も見られていない。現段階ではほぼレンジ内の取引となっている。」とコメントしています。
今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週英国では、夏の風物詩である、野外ロックフェスティバルのグラストンベリーフェスティバルについてメディアは伝えています。
このフェスティバルは、夏の間英国各地で行われる野外音楽フェスティバルの先駆的なもので、世界最大規模で有名な野外音楽フェスティバルです。
そこで、毎年このフェスティバルに出演するバンドが誰になるのかは話題となりますが、今年は当初予定していたフー・ファイターがバンドメンバーのディブ・グロールの怪我のために出演を取消し、フローレンス・アンド・マシーンが代わりに出演することが決まったようです。その他、ライオネル・リッチーやザ・フーなどのベテランも出演し、ファレル・ウィリアムやジェームズ・ベイなどの今ノリに乗っているアーティストも名前を連ねています。
2013年にはローリング・ストーン、2011年にはU2、コールド・プレイ、ビヨンセなども出演しています。
1970年に始まったこのフェスティバルは、900エーカー(約3.6km²)と膨大な広さで、385のライブが行われ、15万人の観客が来場します。ここで、有名なのは農場で行われるために、雨の多い英国では、フェスティバル中に会場が泥まみれになってしまう場合が多いことです。そのため、グラストンベリーのお決まりの履物は長靴となっています。
本日の英国主要日刊紙のテレグラフでは、英国の鉄道会社が、グラストンベリー帰りの乗客が、あまりにも泥だらけの場合は、電車乗車を拒否する可能性があると警告を出していることを伝えています。
今年は先のミュージシャンに加え、ダライ・ラマが招待されおり、このフェスティバルで講演をする予定であるとのことです。これを受けて、中国政府がグラストンベリー・フェスティバルのオーガナイザーを非難するコメントを発表したことも、伝えられています。
今年のグラストンベリーは、お天気には恵まれそうですが、珍しく政治的な嵐を少し引き起こしそうです。