金市場ニュース

ニュースレター(5月5日)1228.05ドル:債務上限問題の延期、FOMCでの楽天的声明、良好な米雇用統計で週間の下げ幅が3%へと広がる

本日からロンドン事務所へ戻ってきました。遅くなりましたが先週のニュースレターをお届けします。

週間市場ウォッチ

先週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1228.05ドルと前週金曜日の同価格から3%下げていました。

週明け月曜日金相場は欧州市場がメイデーの祝日で休場の中、トロイオンスあたり1268ドルから1256ドルまで下落していました。

これは、市場が薄商いである中、米国の債務上限問題について、日曜日の夜に9月までの政府機関をシャットダウン無く運営できる1.1兆ドルの歳出が米国議会で合意されたことが伝えられ、安全資産としての金の必要性が薄れたことが要因となりました。

なお、同日発表された主要経済指標の米個人支出及び個人所得とISM製造業景況指数は予想を下回り、特に米ISM製造業景況指数は、2ヵ月連続の低下で、昨年12月以来の低水準となっていました。

火曜日金相場は、前日の0.9%の下げの基調を多少受け継ぎながらも、狭いレンジでの取引となっています。これは、翌日のFOMCの政策金利発表と、金曜日の米雇用統計、さらには週末日曜日のフランス大統領選を控え、模様眺めとなっていたことからでした。

水曜日金相場は、FOMCの政策金利発表を待つ中、ドル建てで3週間ぶりの低さのトロイオンスあたり1251ドルで推移することとなりました。

なお、同日のFOMCでの利上げは、FEDWATCHによると4.8%のみと低くなっていましたが、6月の利上げは67.4%まで上昇していました。

また、金曜日発表の米雇用統計の先行指標とも見られている本日発表のADP全国雇用者数は、17.7万人と予想の17.5万人を上回りましたが、前回修正値の25.5万人は下回っていました。

その後発表されたFOMCでは、政策金利は予想通り据え置かれました。しかし、声明で経済への楽観的なコメントがでたことから利上げ観測が広がり、ドルが強含み金は一時トロイオンスあたり15ドル下げるなど下落することとなりました。

このドルを強含ませた声明とは、「経済へのリスクバランスはおおよそ均衡している」、「労働市場は引き続き力強さを増している」、「第1四半期の成長減速について『一過性』のものである可能性が高い」とし、緩やかなペースでの利上げがなお正当化されるとの認識を示したことからでした。

木曜日金相場は、前夜のFOMCで政策金利が据え置かれ、声明で経済回復への自信も見られたことから、CMEの利上げ予想が前日の67%から73%へと上昇する中、3月21日以来の6週間ぶりの低い水準へと下げることとなりました。

また、同日発表の米新規失業保険申請件数も予想を下回る良好な結果となり、米貿易収支もその赤字幅が改善したこともドルを強含め金を押し下げた要因となりました。

なお、銀相場は金以上に下げ幅を広げ今年1月以来のトロイオンスあたり16.40ドルへと下げることとなりました。これにより、4月半ばの5ヶ月ぶりの高値から12%下げたこととなりました。

金曜日は、市場注目の米雇用統計で、非農業部門雇用者数が21.1万人と予想の18.5万人と前回修正値の7.9万人を大きく上回り、失業率は4.4%と前回4.5%と予想4.6%を下回る2007年5月以来の低い水準となるなど、良好な数値となり、米株価とドルインデックスが上げ、金相場は下落することとなりました。

なお、週末行われたフランス大統領選の決選投票では、中道系独立候補のエマニュエル・マクロン元経済産業デジタル相(39)が65~66%程度の票を獲得して、極右・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首に勝利しました。

これにより日本株は昨年来の高値を付けていましたが、金相場への影響は、市場が既にこの結果を織り込んでいたことからも、本日は1234ドルへと上昇したものの、ロンドン時間午後5時半の段階ではその上げ幅を失いつつあります。

なお、米FRBによる利上げ予想は、CMEのFEDWatchツールでは、一月前の63.1%から本日は83.1%まで上昇しています。

その他の市場のニュース


  • コメックス金先物及びオプションの資金運用業者の4月25日火曜日のロングとショートロングポジションは共に増加、ネットロングポジションは514トンへと増加していたこと。これは、トランプ氏が大統領に選出されて以来の高い水準で、過去10年間の平均の38%増。

  • コメックス銀先物・オプションの資金運用業者のショートポジションは4月25日付で今年最大で、ロングポジションは減少していたため、ネットロングポジションは4月中旬の史上最高値からほぼ20%減で、過去6週間で最も低くなっていたこと。しかし、過去10年の平均と比較すると235%。

  • 金ETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアは、今週一週間で0.3トン残高を減少させていたこと。

  • 金の業界のマーケティング団体のワールド・ゴールド・カウンシルが今年の第1四半期の金の需給をまとめたレポートを発表したこと。このレポートによると、金貨と小規模な金地金の需要は、2013年第1四半期以来の高さであったこと。しかし、宝飾品の需要は低く、中央銀行の需要は、ロシアと共に世界最大のバイヤーであった中国の人民銀行が購入を控えたことで、ほぼ6年ぶりの低さとなったとのこと。なお、金のETFは第1四半期にオランダとフランスの選挙を前に高まっていたものの、前年同四半期比では金の総需要は減少していたことが明らかになっていたこと。

  • 先週金曜日の午前中に金のスポット価格が7週間ぶりの低い水準を推移していたことから、LBMA価格(午前中)のオークション時に大きな金現物への買いが入り、その時点のスポット価格を4ドル上回る価格となっていたこと。

ブリオンボールトニュース

この記事で金価格が4月末に6週間ぶりの低さへ下げたことに対して、エィドリアンの「現物市場においては、価格の動向は政治的リスク以上に影響力がある。個人投資家は、4月に利益確定を選択した。」というコメントを取り上げています。

この記事ではワールド・ゴールド・カウンシルの金需要が第1四半期に18%減少したことを伝え、ブリオンボールトにおける金売却が4月に前月比22%増となったことを紹介し、ブリオンボールトの金投資家インデックスとその背景を解説するリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントを取り上げていました。

                                                                                                                         

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週金曜日から通常通り始めさせていただきます。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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