ニュースレター(4月8日)1239.50ドル FOMC議事録がハト派的との解釈で金相場上昇
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は1239.50ドルと、前週同価格から2%上昇しています。
週明け月曜日は大きな指標やイベントがない中、週半ばにFOMC議事録発表があることからも、狭いレンジでの取引となりました。
翌火曜日金相場は、世界の株式市場が下げ、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど一部 の非加盟国による今月17日のドーハで行われる会合での原油の増産凍結の期待が薄れる中、原油が再び下げ、リスクオフで上昇することとなりました。
そこで、安全資産とも見なされる日本円は、対ドル109円台を付け、2014年10月以来の水準となりした。
水曜日金相場は、ロンドン時間夕方のFOMC議事録発表を待つ中、前日下げた株式市場が落ち着きを取り戻していることから、緩やかに前日の上げ幅を失うこととなりました。
木曜日は、前日発表されたFOMC議事録が、金利引き上げの緩やかなペースを示唆するハト派的なものであったことから、ドル安が対主要通貨で進み、原油安 がリスクオフを進め主要国債が買われ利回りが下げる中、安全資産である金は再び上昇することとなりました。
なお、円相場も1ドル107円台を付け、2014年10月31日の日銀による追加緩和前の水準へと円高が進むこととなりました。
本日金曜日は、ロンドン時間午前中に昨日の上昇分を多少失ったものの、ダドリーNY連銀総裁の「米利上げは慎重で段階的なアプローチが必要」というコメントが伝えられる中、レンジ内の動きでロンドン時間午後に上昇しています。
ブリオンボールトニュース
今週ブリオンボールトでは、金投資家の月間の投資傾向を表す「金投資家インデックス」の3月数値を今週発表しました。この詳細を伝えるプレスリリースが、金の情報を日本語で発信しているゴールドニュースサイトで「 安全資産として金現物を求める投資家が急増」と取り上げられました。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週英国では、パナマ文書とキャメロン英国首相のオフショアファンドへの関与に関して大きく伝えられています。
パナマ文書とは、ご存知のようにパナマ法律事務所モサック・フォンセカによって作成された機密文書であり、昨年ドイツの新聞社と国債調査報道ジャーナリス ト連合へ流出されたものが、調査分析を経て、今月3日に主要メディアで発表されたものです。
モサック・フォンセカ法律事務所は、オフショア金融センターにおける企業の設立、オフショア企業の管理と資産管理サービスを提供をしています。そのため、 流出した文書から、ケイマン諸島やバージン諸島などのタックスヘイブン(租税回避地)において、富裕層が富を守るためにオフショア取引を利用していること が分かりました。そして、その富裕層には、多くの現職の大統領や首相、元首の名が連なっています。
既に、アイスランドのグンロイグソン首相がこの問題で辞任しており、アルゼンチンのマクリ大統領については検察が捜査を開始したことも伝えられています。
今回英国メディアが注目したのは、この文書によって明らかとなった、キャメロン首相の亡父が租税回避地に投資ファンドを設立していたことですが、 キャメロン首相は、昨日ファンドの持ち分を一時期保有していたことも認めるまでは、このようなオフショアファンド等への投資はしていないと否定していまし た。
金融危機以降緊縮財政を推し進める中、富の格差を是正することも目指し、富裕層が利用するオフショア取引を含む租税回避対策を強化する方針を 2013年のG8サミットで打ち出し、国内の法整備を進めていたことからも、このニュースは現政権にとっては痛手となることでしょう。
そして、首相の側近も、この投資ファンドに投資していたことを最初から認めているべきだったと対応の悪さを指摘していますが、野党が今後厳しく首相を追求するのは間違いないことでしょう。
また、メディアでは英国のEU離脱を問う国民投票に絡めて、キャメロン首相にとってマイナスのニュースは、キャメロン首相率いるEU離脱反対派にとってもマイナス効果があるだろうとも分析しています。
キャメロン首相が法律に反していないことは確かのようですが、EU離脱を問う国民投票にも影響を与えることになるのか、最新の世論調査でもほぼ離脱賛成と 反対派の割合は拮抗していることからも、このニュースがどのように今後展開するのかを興味深く見守りたいと思います。