ニュースレター(4月15日)1227.10ドル 中国懸念、原油安懸念が後退する中、ドル高から金相場は下落
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は1227.10ドルと、前週同価格から1%下げています。
月曜日金相場は、先週金曜日の上昇傾向を受け継ぎ、ドル安が続く中、先週の終値から1.4%ほど上昇することとなりました。これは、3週間ぶりの高 い水準となり、銀もまた3週間ぶりの水準へ上昇しましたが、その上げ幅は金を上回り、3.5%となりました。そのために、金銀レシオが2%近く大きく下 げることとなりました。
火曜日金相場は前日の上げ基調を保持し、サウジアラビアとロシアが石油生産凍結について合意に達すると伝えられ、NY原油が41.30ドル台まで上昇する中、3月18日以来のトロイオンスあたり1260ドルを一時超える事となりました。
また、銀相場も上昇を続け、トロイオンスあたり16.19ドルに一時達し、昨年10月以来の高水準となり、今週に入り5.4%の上昇となりました。
水曜日は、金相場は緩やかに下げることとなりました。これは、同日発表された中国の貿易統計で輸出が予想を上回り、輸入も予想の下げ幅より少ない等、改善 が見られたこと、また今月17日に行われる産油国会合で生産量凍結の合意に至るという観測も広がり、リスクオフ基調がリスクオンへと変化したことで株価が 上昇していたことからです。
なお、同日ロンドン午後に発表された米国小売売上高は、予想を下回りマイナスとなったことから、発表後金相場は多少その下げを取り戻してはいました。
木曜日金相場は、前日からのリスクオン傾向を受け継ぎ、ドルが強含む中、原油価格と株式市場も上げる中、前日終値から2%近く下げることとなりました。
なお、同日発表された米国消費者物価指数は、予想の0.2%には届きませんでしたが、前回の-0.2%から0.1%と上昇し、米新規失業保険申請件数は25.3万件と、1973年以来の低い水準となったことも、ドル高を進めた模様です。
この間銀相場は金とは異なり、前日の昨年10月以来の高値からは下げたものの、高い水準で推移することとなりました。そのため、金銀レシオは同日1%下げることとなりました。
本日金曜日は、中国の経済指標、鉱工業生産、国内総生産、小売売上高などが、予想と同水準、もしくは上回るものであったものの、世界株式市場が上げ渋る中でもドル高は続いており、金相場も昨日の下げを取り戻せずにいます。
しかし、銀相場は昨日の高い水準を維持しており、金銀レシオは76と今年の最低水準へと下げています。
その他の市場のニュース
-
中国黄金交易所(SGE)の公式サイトで人民元建ての金の値決めが4月19日から始まることが発表されたこと。これによると、この値決めのメンバーは、スタンダードチャータード銀行とANZを含む12の銀行、金鉱会社2社、宝飾会社2社、スイスのMKS PUMP社で始められるとのこと。 -
金のリースレートが、2013年初旬以来初めてマイナスとなったこと。これは、年初からの金価格上昇で金を借りる需要が減少し、貸出の費用が上昇していることが要因とのこと。 -
ドイツ銀行が、銀値決め価格の不正操作の申し立てに関する訴訟で合意に至ったと、ブルームバーグが伝えたこと。
ブリオンボールトニュース
今年初旬からの金相場の上昇の背景を解説する英主要日刊紙テレグラフの「金上昇:誰が金をなぜ買っているのか」の記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任のエィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられてました。
この記事では、金相場は年初から20%上昇し、金融危機以来のパフォーマンスを見せているとし、金ETF、金貨、ブリオンボールト等において金の需要の高まりが記録されていると紹介しています。
そして、エィドリアンのコメントの「金は他の投資資産のパフォーマンスが悪ければ、良くなる傾向がある。しかし、人々の中央銀行への信頼が揺らいだ際に輝きを見せる。」と、取り上げています。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
お知らせ
昨年は私もパネリストとして参加させていただいた、ゴールドフェスティバルが、今年は7月2日によみうり大手町ホールで開催されます。
その申し込み受付が本日から開始されました。いつも、申込受付から数週間で定員となる人気のイベントです。よろしければ、下記のリンクで早めにお申し込みください。
|
ロンドン便り
今週の英国からのニュースでは、英国のEU離脱の是非を問う国民投票へ10週間となり、本日正式にそのためのキャンペーンが始まりましたので、このニュースについてお届けしましょう。
EU離脱派は「Vote Leave (離脱のために一票を)」という名でキャンペーンを行い、EU残留派は「Britain Stronger in Europe (英国は欧州の中でより強くなる)」という名を掲げています。
EU残留派はキャメロン首相が率いていますが、野党党首ジェレミー・コービン氏も昨日野党労働党と共に残留派をサポートすると述べています。労働党 メンバーの残留派支持は、確かに離脱はを上回っているようですが、コービン氏は1975年の国民投票では、欧州経済共同体(EEC)離脱賛成に投票してお り、長年EUに疑念を示してきた彼が今回残留派と宣言したことは、多少予想外ではあったようです。
それに対しEU離脱派は、与党保守党内の下院議員330人中130人が離脱派とのこと。その中には、キャメロン首相の長年の盟友マイケル・ガヴ法相 や,第1次キャメロン政権発足時に国防相を務めたリアム・フォックス議員,マイケル・ハワード前党首、また国民的人気が高いロンドン市長のボリス・ジョン ソン氏も含まれています。
先週お伝えしたパナマ文書で痛手を負ったキャメロン首相の求心力の陰りが伝えられる中、最新の調査会社ICMの世論調査では離脱派が先月末に比べ2ポイント上昇の45%に対し、残留派は42%と3ポイント減少しているようです。
ただ、同時期テレビの朝の番組で行われた世論調査では残留派が40%、離脱派が39%と、残留派が上回っているので、両派の支持が拮抗していることは確かのようです。
先のパナマ文書発覚前にも、中東やアフリカからの難民危機や、パリやブリュッセルのテロによって、EU懐疑派の世論が高まっており、更なる事件や危機などが国民投票までに発生した場合、浮動票に動きが出る可能性もあります。
当然離脱となった場合、ポンド安を招くなど、英国経済に与える影響も大きことからも、今後の関連ニュースについては、随時ここでお伝えしていきたいと思います。