ニュースレター(3月4日)1277.50ドル:良好な雇用統計データの中も金相場は上昇
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1277.50ドルと、前週同価格から4%上昇しています。
週明け月曜日は、週末行われていたG20 で具体的な成長支援策が打ち出されなかったことへの失望感の広がりで欧米株価が下げる中、上昇して始まることとなりました。
その後、中国人民銀行の預金準備率引き上げや、欧州中銀の追加景気刺激策期待などから、欧米株が上昇を初め、多少頭を抑えられる形となりましたが、シカゴ購買部協会景気指数が予想を下回り、その下げ幅を取り戻し更に押し上げられることとなりました。
翌火曜日は、中国製造業PMIが予想を下回りロンドン時間午前中に金相場は上げたものの、午後に発表されたISM製造業景況指数が、経済活動の収縮を意味する50を 切ったものの、予想と前回を上回り昨年9月以来5ヶ月ぶりの高水準に改善したことから、株高となり、金相場を押し下げることとなりました。
水曜日に金相場は、中国株式市場が急伸しロンドン時間早朝に下げたものの、欧米株式が序盤の上げ幅を削る中、上昇することとなりました。
なお、同日発表の米国雇用統計の先行指標と見られているADP全国雇用統計は、前回20.5万人(修正19.3万人)と予想19万人を上回り21.4万人となりましたが、発表後トロイオンスあたり5ドルほど下げた後再び上昇することとなりました。
木曜日金相場は、ドルが下げ、欧米株価が下げる中、トロイオンスあたり1260ドルを超えて上昇することとなりました。これは、同日発表の米国 ISM非製造業景況指数は予想を上回ったものの、前回から多少下げ、4か月連続の低下となり、新規失業保険申請件数が前回と予想を上回ったことなどが要因 でした。
本日金曜日は、市場注目の米雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数が24.2万人と予想の19万人と前回の15.1万人を上回りました。また、前回数値 は17.2万人と上方修正され、失業率は、4.9%と前回と予想と変化はなく、良好なデータとなりました。
しかし、平均時給は前月比-0.1%と前回0.5%と予想0.2%を下回り、週平均労働時間も34.4と前回と予想の34.6を下回り、同時に発表さ れた米国貿易収支は、456.8億ドルの赤字と、予想の440億ドルと前回433.6億ドル(修正値の447億ドル)を上回ることとなりました。
そのため、金相場は、先のデータ発表後一時下げたものの、30分後にはその下げを取り戻し、トロイオンスあたり1270ドル前後を推移しています。
その他の市場のニュース
- コメックスの金先物・オプションの取引高が前年同月比50%増で2月として過去最高水準となったことがブルームバーグで伝えられたこと。
- 金ETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアがの残高が木曜日に793トンと、年初から150トン増加させていること。
ブリオンボールトニュース
ゴールドのあらゆる情報を日本語で発信する「ゴールドニュース」サイトに、ブリオンボールトの金投資家インデックス2月数値のプレスリリース「金相場が過去4年間で最も速いペースで上昇する中、新たな顧客が倍増すると共に、金の売却も進む。」が掲載されました。
また、米主要経済サイトのMarketWatchの「金先物価格が米雇用統計後も上昇傾向にある」という記事でブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。
ここでエィドリアンは、「金価格は、今回の雇用統計データが今月のFRBの金利引き上げに相当しないという観測にサポートされている」とし、「インフレ観測 の変化も注目している」とし、「特に指標の発表がない中、価格が上昇しているのは、資金運用業者や投資家が、保険の位置付けというよりも、強気市場にな りつつあるという認識で金を購入しているからだ」と述べています。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週のロンドン便りでは、今月英国BBCのスポーツ部門の協力で行われている、スポーツ・リリーフというチャリティー活動について紹介しましょう。
英国では、様々なチャリティー団体が活発に活動していますが、スポーツリリーフは英国内外の社会的弱者をサポートする目的で、運動をすることで寄付を募ることを目的に2002年に始められ、2年毎に3月に行われています。
2014年は、約6700万ポンド(約107億円)を集めており、今年はまだ始まったばかりで既にこの額を上回っています。
スポーツリリーフのユニークなことは、有名人や一般の人々がそれぞれ個人のスポーツのターゲットを決め、それを実行することで恵まれない人々のために寄付を募るところです。
今年はエディ・イザードというコメディアンが、南アフリカで27日間毎日マラソンを走るということを行い、また元イギリス代表でキャプテンも務めた サッカープレイヤーのアラン・シアラーと元ウェールズ代表のロビー・サヴェージも3日間休むこと無く、1000人が参加して行う5人制サッカーを監督する など、それぞれが限界に挑戦する姿が、増える寄付金額と共にBBCで放映されています。
個人も同様に、大手スーパーのセインズベリーが、ラン、スイム、サイクリングのイベントを英国様々な地域で用意し、これに参加することで、その参加費用がチャリティーへの寄付となります。
今年は、新たな試みで、27人のビジネスリーダーが120マイル(192キロ)をリレーで走り、寄付金を集めるとのことです。このビジネスリーダーには投資銀行のゴールドマン・サックスやGoogleのCEOも含まれているとのこと。
昨年のロンドン・マラソンでは、イングランド銀行のマーク・カーニー総裁も、癌のチャリティーのために走り、6万ポンド(約960万円)の寄付金を集めました。
今月英国は、ビジネス界やテレビ界の人々も巻き込み、英国はスポーツのチャリティーイベント一色となりそうです。