ニュースレター(3月27日)1195.75ドル ドル安、ショートカバー、中東情勢緊迫で金相場上昇
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1195.75ドルと、前週同価格から1%上げています。
週明け月曜日は、前週のFOMC以来ドル安が進む中、金相場は緩やかに上昇し、今月6日の良好な米国雇用統計でドル高が進み金相場が急落する前の水準、トロイオンスあたり1190ドルを超えるところまで戻すこととなりました。
翌火曜日は、前日の上げを受け継ぎトロイオンスあたり1194ドルまで上げたものの、米国消費者物価指数が予想の−0.1%を上回り0.0%となったことから、 多少なりともFRBが望むインフレ上昇のサインとしてドルが強まり、1188ドルまで押し下げられました。しかし、結果的にはトロイオンスあたり10ドル未満の狭いレンジでの動きとなりました。
水曜日は、注目の経済指標である米国耐久財受注が予想の0.4%を下回り-1.4%となったことから、金相場はトロイオンスあたり1200ドルを試しましたが超えることなく、それ以降はトロイオンスあたり5ドル以内の狭いレンジでの取引となりました。
木曜日は、アジア時間にサウジアラビアなど10ヵ国がイエメンに軍事介入するなど、中東情勢の緊迫化したことが伝えられ、トロイオンスあたり1219ドルまで大きく上げましたが、その後ロンドン時間に押し戻され、ロンドン時間昼に発表された、米国新規失業保険申請件数が過去5 週間で最も低い値であったことから緩やかに値を下げることとなりました。
本日金曜日は、ロンドン時間19:45にFRBイエレン議長のスピーチを控え、金相場は緩やかに下げています。
その他市場のニュース
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国際通貨基金(IMF)によると、2月にカザフスタンが2.7トン、マレーシアとタジキスタンが0.6トン、それぞれ金準備に積み増したことが明らかとなったこと。 -
中国の香港からの金の輸入が2月に前年比減少したことが明らかとなったこと。これにより、中国への香港からの金の輸入は、過去12ヶ月の11ヶ月が前年比減少し、上海を通した金の輸入が許可されてからは25%減となったこと。 -
LBMA金価格の直接参加者が、JPモルガン・チェース銀行が加わり、計7社となったこと。
ブリオンボールトニュース
5月30日に東京・よみうり大手町ホールで行われるゴールドフェスティバル2015の第3部トークセッション 『5カ国比較:ニッポンの金、世界のゴールド』の登壇者として、このゴールドフェスティバルサイトで、本日より私のこともご紹介いただいています。
申込受付は今月13日から開始されています。毎年申し込み締め切り前に定員一杯となる人気のイベントです。お早めにお申込みください。
今週も弊社リサーチ主任、エィドリアン・アッシュのコメントが主要欧米メディアで取り上げられました。
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MarketWatch: 「金先物価格が過去3週間で最高水準へ」
ここでは、「先週の金相場の上げはショートカバーであり、為替動向に注目が行く中、今週木曜日のユーロ圏のマネーサプライと銀行貸出データは、ユーロ圏がデフレへ向かっているかを判断する一つの重要な指標であろう。」というコメントが取り上げられています。
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City AM: 「金貨購入について」
金価格下落にもかかわらず、金貨の需要は維持されていることを伝える記事で、ブリオンボールトの金投資家インデックスの2月数値が、過去22ヶ月で最も高い水準となったことが取り上げられ、この背景として、ブリオンボールトリサーチ主任エィドリアン・アッシュの英国投資家が5月総選挙の結果の不透明さと、ポンド建て資産下落へ懸念を高めているという分析も取り上げています。
今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週英国でも、ドイツ旅客機墜落のニュースが大きく取り上げられています。副操縦士が意図的にこの旅客機を墜落させた可能性があることや、この副操縦士が「就労不可」を指示する医師の診断書を破棄していたことなど、次々と驚くような事実が伝えられています。この全容が解明されるにはしばらく時間がかかると思いますが、まずは犠牲者の方々のご冥福を心からお祈りいたします。
それでは、今週は、英国の国営放送BBCの人気番組「Top Gear(トップギア)」のプレゼンタージェレミー・クラークソン氏が、番組プロジューサーに暴行を加えたことから、この番組を降板させられることとなったことが大きく伝えられていることに触れてみましょう。
まず「トップギア」という番組からご紹介すると、英国では1977年から放映されている自動車番組です。当初は、自動車情報番組であったようですが、1988年にジェレミー・クラークソン氏が番組に起用されてからは、彼の歯に衣着せない語り口と、車の情報をより面白く伝えるジャーナリスティックな才能や、奇想天外な企画等で国民的な人気を得ることとなりました。
その後、ジェレミー・クラークソン氏が、他の経験も積みたいと降板してからは視聴率も悪くなり、2001年には一旦番組は終了していました。しかし、翌2002年にジェレミー・クラークソン氏が番組に戻り新たなスタートを切り、現在では、日本も含む170カ国で放映されており、1週間に3億5千万人によって視聴される、BBCの主要番組に至っていました。
今回ジェレミー・クラークソン氏がプロジューサーに暴行をしたのは、仕事後に約束されていたステーキの夕食が、時間が遅くなったために、簡単なスナックの食事となったことに対して激怒したためとのこと。
このことが明らかとなった3月10日に、BBCはジェレミー・クラークソン氏を謹慎処分とし、放映予定の番組は放映中止となっていました。そのために、この番組とジェレミー・クラークソン氏ファンによって、ジェレミー・クラークソン氏を番組に戻すことを訴える、100万を超えるネット署名が集まっているとも伝えられています。
ジェレミー・クラークソン氏の強い個性があってこその「トップギア」の成功であり、今まで極端な発言などで問題を起こしても許されてきた彼ですが、BBCにとっても、今回のBBCスタッフへの暴行は、何らかの処分が相当な、一線を超えた行為と見なさなければならないものだという判断でした。
サンデー・タイムズにコラムも持ち、著書も数多く出し、ジャーナリストとして高い才能はあるものの、常に物議を釀すことをむしろ楽しんでいるような彼が、今回のことで少し頭を冷やしてくれることを願うばかりです。