ニュースレター(3月20日)1183.10ドル FOMCの内容がハト派的であったことからドル安が進み、金相場上昇
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1183.10ドルと前週同価格から2.6%上昇しています。
週明け月曜日の金相場は、昨今よく見られるパターンとなり、アジア時間に上げたものの、ロンドン時間とニューヨーク時間で押し戻されることになりました。これは、アジアにおいては安値拾いの需要がしっかりあるものの、欧米の時間では、好調な米雇用統計以来、弱気市場となっていることから、FOMCを前に売りが先行していたためです。
ちなみに、同日発表された主要指標の一つである米国鉱工業生産は、予想を下回り弱含んだものとなりました。
翌火曜日は、ロンドン時間昼過ぎに発表された米国住宅着工件数が予想と前回を下回る、昨年11月以来の低いものだったものの、住宅建設許可数は予想を上回る相容れないものとなりました。そこで、金相場は翌日のFOMCの声明を前に一時下げ幅を広げ、昨年11月以来の低値のトロイオンスあたり1144ドルまで一時下げたものの、1158ドルまで短時間で反発し、その後緩やかに下げることとなりました。
水曜日は、ロンドン時間夕方に注目のFOMC声明が発表され、その後記者会見が行われました。その内容は、「忍耐強く」の文言を削除したものの、忍耐強くならないことを示してるわけではないと釘を刺すなど、4月の引き上げは無いことが確認され、しかも、インフレ率とGDP予想が共に前回から引き下げられ、FOMCメンバーによる金利引き上げペースもより緩やかなものとなったことから、近い将来の利上げはないことが確認され、ハト派的と市場が認識することとなりました。
これにより、ドルが下げ、株価や原油や他の貴金属と共に金相場は上昇し、トロイオンスあたり20ドルほど大きく急騰することとなりました。この上げは、このところショートポジションが積み増していたことからも、ショートカバーによるところもあったようです。
木曜日は、前日の上げを多少失って始まったものの、ロンドン時間午後に発表された3月フィラデルフィア連銀景況指数が予想の7.1を下回る5.0であったことから、トロイオンス1170ドルへと前日の水準まで戻すこととなりました。
本日金曜日も、重要経済指標はない中、FOMCの結果、ショートポジションの整理も進んでいるようで、金相場は更に上昇をしています。
その他市場のニュース
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100年の歴史を持つロンドン値決め価格が終わりを告げ、新たなLBMA金価格が本日から始まったこと。この詳細は、「
ロンドン値決め価格に代わるLBMA Gold Priceについて」でご覧ください。 -
中国人民銀行が木曜日に、金の輸出入に関して、要件を満たせば、中国の金鉱会社、精錬会社や金融機関に4月1日より許可を出すと発表。現在は中国では15行の銀行み。
ブリオンボールトニュース
今週月曜日にブルーンバーグ日本が弊社ブリオンボールトと日本の独立系投資銀行のドラグーンキャピタルの提携、そして弊社サービスに日本円取引が加わる事を取り上げています。正式には5月に発表予定でしたが、今回情報伝わったために、今週記事が出ることとなりました。日本円市場の準備、ドラグーンキャピタル社による日本でのサービスローンチ日程が決まりましたら、皆様にはいち早くご連絡いたします。
国内独立系投資銀が金事業に参入、英社と提携-円建て24時間取引提供
また、欧米主要メディアでは弊社リサーチ主任エィドリアンの市場分析コメントを下記のように取り上げています。
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米経済サイトMarketWatchの金相場に関する詳細の分析記事。
ここでは、エィドリアンの「ドル建て金相場が2010年4月以来の低いロンドン値決め価格であるトロイオンスあたり1152ドルを記録する中、ユーロ建て 金相場は、1096.10ユーロと、今年1月の過去20ヶ月でも最も高い水準の終値に次ぐ価格を金曜日に記録している」というコメントを引用しています。
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英国主要日刊紙「テレグラフ」のエネルギー市場の価格の動きを解説し、ドル高の影響を受ける金価格にも触れている記事。
ここでは、エィドリアンの「先週金曜日のロンドン値決め価格ドル建てでは2010年4月以来の低い水準であるものの、先週金曜日のユーロ建てにおいては過 去20ヶ月で最も高い水準となった1月以来の高さである」というコメントを引用した上で、「ドルとドル以外の世界が乖離していることが明らかだ。」という エイドリアンの言葉で記事を締めくくっています。
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今週木曜日で100年近い歴史を持つロンドン金値決めが終わりを告げ、本日金曜日からLBMA金価格が新たに始まったことを伝えるロイターの記事。
ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメント「この電子システムを利用したオークションと、その記録 を残す新たな方式は、市場の中のロンドンの役割に関する市場外の見方を修復することでしょう。(その古さ故に不正操作の可能性等を疑われてきたことか ら)」が取り上げられています。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
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ブリオンボールト・リサーチ部門の、「ロンドン値決め価格に代わるLBMA Gold Priceについて」
今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週は、本日16年ぶりに英国で見れる部分日食の話題が英国主要メディアで伝えられていました。
前回英国で部分日食が見れたのは1999年で、次回は2026年であることからも、メディアでは今週初めから広く伝えられ、BBCではこの日食の特別番組も準備されていました。また、英国王立グリニッジ天文台では、12台の望遠鏡を用意し、朝8時半から始まる日食のために開始時間を遅らせる学校も数多くあるなど、国中がこの話題でもちきりとなっていました。
残念ながら、ロンドンは曇り空で部分日食を見ることはできませんでしたが、英国北のスコットランドや北アイルランドなどでは見ることができたようです。その模様や皆既日食が見れるスコットランド沖まで飛行機を飛ばして撮影されたビデオはBBCが伝えています。
実際の日食は見られなかったものの、曇り空の下でも日食時に日が陰ったことは分かり、小鳥のさえずりも多少途絶えるような静けさも生まれ、日食のメカニズムが解明されていなかった昔の人々が、日食を重大な天変と見ていたこともうなずけました。
今日は英国では春分の日でもあり、スーパームーンが見れる日でもあるとのこと。天体に関する3つの現象が重なるということは、極めて稀であるとのことですので、日食を見逃したロンドンで、せめて今晩スーパームーンを見ながら、春の訪れを祝うことができればと思います。
重要なお知らせ
毎年恒例の金投資に関する様々な情報が提供される「ゴールドフェスティバ ル2015」が、5月30日に開催されます。この申込は13日(金)から開始されています。毎年申し込み締め切り前に定員一杯となりますので、お見逃しの ないようにお申込みください。
な お、今年は私も「トークセッション:世界の金、その現実を現地の方に直接聞きます。5ヵ国比較: 日 本の金、世界のゴールド」に英国市場を代表し、パネリストとして登壇します。そのため、このニュースレター購読者の皆様も参加いただけましたら、会場で是非お声をお掛けください。当日お会いできるのを楽しみにしています。
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