ニュースレター(3月17日)1229.60ドルFOMCのサプライズのない利上げと利上げペース予想で金上昇
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は1229.60ドルと前週同価格から2.2%上昇しています。
週明け月曜日は、今週FOMCが火曜日と水曜日に行われることからも、市場は様子見で狭いレンジでの取引となりました。
火曜日金相場は、翌日のFOMCを待つ中ドルインデックスも高止まりしていましたが、トロイオンスあたり1200ドルを割ることなく狭いレンジで推移することとなりました。
同日は米生産者物価指数が発表され、前年比は予想を上回る2.2%と2012年3月以来の早いペースの上昇となりました。そして、翌日の米消費者物価指数も2.7%が予想されていました。これは、2012年2月以来の早いペースで、この場合FEDの目標2%を上回ることとなります。
なお、翌日のFEDによる利上げ予想はFEDWatchでは93%まで上昇していました。
水曜日金相場は、同日夜発表のFOMCの結果を待つ中、トロイオンスあたり1200ドルを挟んで狭いレンジで推移していましたが、FOMCでフェデラルファンドレートは予想通り0.25%引き上げられ、また今後2回の利上げが今年予想されるなど、ほぼサプライズのないものであったことからも、発表直後から金価格はトロイオンスあたり20ドルを越えて上昇することとなりました。
なお、同日発表された米消費者物価指数は、予想通りの前回2.5%を上回る2.7%となりました。
また、同日行われていたオランダの下院選で極右・自由党が第一党になることが懸念され、オランダ国債の利回りが下落していました。
木曜日金価格はトロイオンスあたり1233ドルと、前日のFOMC以前の価格から一時2.6%上昇するなど上昇基調が続いていました。
また、同日銀価格は一時4.3%上昇し、プラチナ価格も一時4.4%上昇していました。
なお、同日市場が注目していたオランダの下院の選挙結果は、与党の中道右派、自由民主党が第1党を維持したことから、ユーロが5週間ぶりの高さへ上げることとなりました。
本日金曜日金相場は、昨日の上昇基調を受け継ぎ一時トロイオンスあたり1231ドルと付けるなど高い水準で推移しています。
なお、本日発表されたロイータ・ミシガン大消費者信頼感指数は、2000年11月以来の高い水準となっていましたが、金相場には影響を与えませんでした。また、ドイツの主要紙Handelesblattで、ECBの利上げが近い将来行われると伝えられたことで、ユーロが強含んでいます。
その他の市場のニュース
-
今週金のETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアは、昨日までに11.8トン残高を増加させていたこと。 -
先週末発表の先週火曜日のコメックス金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、前週から22%残高を減少させていたこと。 -
コメックス銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に今年初めて減少していましたが、そのポジションは未だ先週を除き昨年8月以来の高水準となっていたこと。 -
ロシアの中央銀行が保有しているパラジウムをロシアの非鉄金属生産企業ノリリスク・ニッケルへ同社の顧客からの受注を満たすため売却していたことをロイターが伝えていたこと。ロシア中銀のパラジウムの保有高は公表されていないとのこと。
ブリオンボールトニュース
-
プラチナサービスについて
ブリオンボールトでは、今週火曜日にプラチナサービスも既存のサービスに追加し、欧米のお客様へ提供を始めました。
そこで、ナスダック等の主要メディアでこのニュースが取り上げられています。
なお、このサービスの日本語と日本円での提供はもうしばらくお待ちいただくことになりますが、英語サイトで、米国ドル、英国ポンド、ユーロ資金をご利用いただけるお客様は、このサービスをご利用いただけます。
ご希望であれば、下記の弊社英語サイトへのリンクをご利用ください。
-
経済サイトGoodWay:著名ファイナンシャルプラナー伊藤亮太氏の「フィナンシャルプランナーが語るトランプ相場を乗り切る貯蓄法とは!?」
この記事では、著名フィナンシャルプランナーの伊藤 亮太氏が、トランプ相場を乗り切る守りの投資法として金投資を提案し、ブリオンボールトのサービスを紹介しています。
-
モーニングスター「米連銀の利上げにもかかわらず金上昇」
今週米国の利上げが行われたことにもかかわらず、金が上昇している背景を解説する記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任のエィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられています。
ここで、エィドリアンは、インフレが上昇していることで実質金利が下落していることに言及し、「それはイエレンFRB議長が示唆する以上に早いペースでドルの価値が下がっていることを意味し、そのために、1986年以来金価格は利上げがされた際に(されなかった時よりも)大きな割合で上昇している。」とコメントしています。
そして、米国の金利引き上げ後に、金利引下げ後以上に頻繁に金価格の上昇が起きているというエィドリアンの分析も取り上げています。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週の英国のニュースとしては、スコットランド自治政府のスタージョン首相がスコットランドの独立を問う2回めの住民投票をメイ首相に掛け合うと宣言し、それに対して昨日メイ首相が、2度目の住民投票を2018年秋から2019年春までに行うというスタージョン首相の要求は、実施する時期ではないとして拒否したことが伝えられています。
スコットランド独立住民投票は2014年9月に行われ、独立反対が55%と独立は否決されていました。
しかし、昨年英国のEU離脱が決定したことによって、2度目の投票を行うことが正当化されるだけの「重大な変化や状況」があったとして、スコットランドの独立を公約に掲げるスコットランド国民党の党首でもあるスタージョン首相は再度住民投票を求めたのでした。
スコットランドの独立を問う住民選挙は英国政府の許可が必要です。そのために、2014年の住民投票は2012年に前キャメロン首相が合意書に署名したことから実施が決まりました。
今回メイ首相は、スタージョン首相の希望する時期は、英国とEUのEU離脱交渉の最中でもあり、離脱交渉に全力を注ぐべきとして拒否をしたものの、将来的に実施する可能性を排除することは難しい模様です。
今週、英国のEU離脱を正式に通告する権限をメイ首相に与える法律が議会で可決され、エリザベス女王が承認していることからも、離脱通告は何時でも可能となっています。
離脱交渉に全力を注ぐために、スコットランド独立の住民選挙をこの時期に実施しないというメイ首相の考えにはメディアでの伝え方でも多くの人々が理解を示すことができるものと感じます。しかし、スコットランドの独立を公約としている党の党首であり、EUの残留を強く求めていたスタージョン首相にとっては、独立はできない上に、英国と共にEUからも離脱をしなければならない現状は、受け入れがたいものなのでしょう。
この問題はスコットランドと英国の歴史や、スコットランド自治政府発足の背景、その経済状況などが絡み複雑なものですので、また別の機会にここで詳しく取り上げてみましょう。