ニュースレター(2024年6月17日)フランス政情不安が残る中で、金ETFの最大銘柄は1月以来の週間の減少をし、中国需要も軟化し、金価格は下げる 2024年6月17日 月曜日 17:13 フランスを筆頭に世界の政情が不透明であるにもかかわらず、世界最大銘柄の金ETFが1月以来最大の週間の資金流出を記録し、世界最大の金の消費国である中国の需要も継続強さが見られない中で、金価格は月曜日に下落していました。 今日発表された新しいデータでは、中国の5月の住宅価格の下落は悪化したものの、小売売上高は予想を上回り、鉱工業生産の伸びは市場予想を下回り、固定資産への投資も下回っていました。 そして、中国人民銀行が主要金利を10カ月連続で据え置く中で、鉄鉱石先物が下げ、5月半ばに史上最高値をつけていた銅が8週ぶりの低さへ15%下げる中で、銀は金よりも大きく下げていました。 世界最大の金ETFのSPDRゴールドシェア(GLD)が先週残高を1.2%減少させたことが伝えられる中で、ドル建て金価格は本日ロンドン時間昼過ぎに0.6%下落し、 前週の金曜日の上げ幅の一部を失い、トロイオンスあたり2319ドルとなっました。これは、フランス株価指数のCAC40が、前週の6%安と2年ぶりの週間の下げ幅を見せた後に、その下落基調を本日も受け継ぎ、欧州株価が下げる中でのことでした。 前週のフランス株価の暴落は、市場から1500億ユーロを一掃ししていましたが、これは、マクロン大統領の政党が欧州議会の投票で敗北したことを受け、マクロン大統領が議会解散、総選挙を行うという衝撃的な決定を下したことへの市場の反応でした。 ユーロ建て金相場は、先週末の1週間ぶりの高値から0.8%下落し2164ユーロとなり、先週の上昇幅の3分の1を失っていました。この間ポンド建て金相場は、木曜日のイングランド銀行の政策金利発表を前にロンドン時間昼過ぎまでに0.5%安のトロイオンスあたり1830ポンドへと下げていました。 一方、上海金取引所の金相場は、本日1gあたり547円と1週間ぶりの高値となっていました。 しかし、ロンドン価格に対する上海黄金交易所の価格プレミアムは、事実上輸入業者が海外で金を購入し、世界最大の消費市場である中国に輸入することで得られるインセンティブですが、トロイオンスあたり26ドルと1週間ぶりの低水準まで下落し、国内需要の軟化を示していました。 歴史的にはトロイオンスあたり平均約8ドルであった上海黄金交易所の金価格のプレミアムは、 中国政府が民間の地金輸入を制限した後、2023年9月に史上最高値の120ドルまで上昇していました。 その後落ち着いたものの、プレミアムは再び上昇し、今年4月には50ドルを超え、貴金属が史上最高値を更新し続けたことで、世界第2位の経済大国である中国の投資需要が高まっていました。 このピークの後、中国の金の卸売需要は「コロナ危機で需要が影響を受けていた2020年5月以降で最も弱い5月を経験しました。」と、金鉱山会社のマーケティング団体のワールド・ゴールド・カウンシルの中国のリサーチ責任者のRey Jia氏は 最新のレポートで述べていました。 Jia氏によると、5月に上海黄金交易所で承認された倉庫からエンドユーザーの需要によって引き出された金は82トンで、4月の131トンから1/3以上減少し、「10年間の平均を34%下回る」と述べていました。 「それにもかかわらず、今年初めの需要の強さにより、2024年の金の引き出しは年初から合計736トンとなり、過去最高の金価格であったにもかかわらず、前年比35トン増となっている。」と続けていました。 5月に中国の金ETFが6ヶ月連続で増加し、過去最高の規模となったこととは対照的に、金曜日にニューヨークで上場され、ロンドンと米国で地金を保管する世界最大のSPDRゴールドシェア(NYSEArca: GLD)は、4.0トン減少し、その週間の流出量は10.3トンとなっていました。これにより、GLDは今年3月の4年ぶりの低水準である815.1トンを10.2トン上回る低い水準となっています。 一方、世界第2位規模の 金ETFであるiShareゴールド(NYSEArca: IAU)は、この1ヶ月で最大の週間の減少幅となる1.7トンの残高を減少させ、2020年3月以来の低い水準へ下げていました。 フランスの現財務大臣であるブルーノ・ル・メール氏は、エマニュエル・マクロン大統領とともに、 マリーヌ・ルペン氏のユーロ懐疑的な極右政党の国民連合党への投票に反対するように、ユーロ圏の第2の経済国であるフランスが、多額の財政支出とVAT削減を行おうとしている国民連合党が勝利することで金融危機を起こすリスクに直面していると警告していました。 一方、英国の世論調査では、7月4日に行われる総選挙で、与党保守党が「 選挙で消滅する」と指摘されており、リシ・スナク首相の前任者であるリズ・トラス氏が、財源なき減税計画で英国債市場の危機を引き起こした、短期間の悲惨な政権以来最大のリードを許していることが明らかになっていました。 年間需要の60%近くが工業用である銀の価格は、ロンドン時間昼過ぎに、トロイオンスあたり29.23ドルと1.1%下落していました。 世界最大銀ETF銘柄のiシェアーズのシルバートラスト(NYSEArca: SLV)は先週2.2%残高を増加させ、過去2ヶ月で最大の残高量となっていました。